恋の絆は虹の色 【妹でも恋していい?】

小林汐希

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【第2章】その涙と笑顔が嬉しくて…

28話 ずっと温めていてくれたんだ…

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 そもそも、このホテルの宿泊付き旅行券は秀一さんが商店街の福引で当ててきたもの。

 高校の卒業式が終わったその足で、幼馴染みだったお隣のお兄ちゃんである秀一さんと結ばれた私たち。

 その勢いは止まらず、私の自宅でもあったカフェレストラン『さくら』を両親二人から継いで、今年で3年目になる。秀一さんも商店街のみんなから「二代目」と呼ばれてすっかり馴染んでいた。

 お店の方はありがたいことに、商店街のみんなだけでなく、お父さんやお母さんの時代からの常連さんが続けて通ってくれたり、今も取材を受けてフリーペーパーを見てきてくれるお客様も多い。

 でも、「代替わりしても敷居の高いお店にはしたくないね」と話し合って、学校帰りの高校生がおやつにできるくらいの値段のメニューからあるから、決して貧乏ではないけれど余裕があるというわけでもないというのが私たちの台所事情。

 だから、そうね……。入籍してからもうそれだけの時間が経ったけど、きちんとした挙式というのは挙げていなかった。


「ずっと、ご主人がサロンに一人でお見えだったんですよ。いつも奥さまのお写真を必ず何枚かスマホに入れてきてました」

 ブライダルコーディネーターさんがようやくネタ晴らしを始めてくれた。

 秀一さん、ずっと考えていたんだって。そして宿泊旅行に行けると決まってからが早かった。

「奥さまはしっかり者だから、新婚旅行も挙式もしていないと。今回の旅行費用は考えなくていいので、結婚式をプレゼントしてあげたいと伺ったんです」

「もぉ……、恥ずかしいですよぉ」

 確かに言われてみればそう……。入籍をしてすぐにお店のバタバタが始まってしまって。

 何とか赤字にならないようにと私が金庫番だから、レジャーの旅行だけじゃない。もし結婚式とか言われても……、きっと首を横に振っていただろう。

「ご主人、そんな奥さまを見て、『いつかは』とずっとご自身で貯金されていたそうなんです。複雑なご事情もあったと伺いました。本当ならこんなに若い奥さまにもっと楽しいことをさせてあげたいと思っていたそうです。どんなに苦労を掛けても、笑顔で自分を支えてくださる素敵な奥さまだと」

 覚えているよ……。あの日、「今すぐ桜を幸せにしてやるとはまだ自信持って言えないけど、一緒に頑張って、二人で歩いていかないか?」って言ってくれた。
 
 3年間、そんな思いを私にずっと持っていてくれたなんて……。

「私、恥ずかしいですね……。すぐ隣の大切な人の気持ちすら感じることができなかったなんて……」

「こんなにお若いのに、一生懸命にご主人を支えて生活されていらっしゃったんですもの。ご主人から当日の最後まで秘密にしていてほしいって、スタッフ一同口止めされていたんですよ」

 たぶん、双方の両親にも秀一さんが一人で計画を説明したんだと思う。

 どちらも私の性格をよく知っているから、この計画にも賛成と協力をしてくれたに違いないんだ……。
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