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28章 修学旅行の持ち物
第106話 私だけの追加持ち物
しおりを挟む長谷川先生が考えた……(私の入れ知恵付き)、この旅行の班分けは他のクラスでもかなり衝撃的な話題になったみたい。
担任の先生がクラスの交友関係をここまで詳細に把握しているというのは、これまでに聞いたことがなかったというもの。
それはそうだ。「私」という内部情報源がなかったら、さすがにあのグループ分けは無理だと先生も苦笑いだったからね。
加えて、それを修学旅行の班分けにオフィシャルに使ったことの方が反響としては大きかったみたいだと、あちこちから伝わってくる情報を聞いていると分かってくる。
「5組の班分けこそ、本当に修学旅行を楽しむためには必要!」という声が他のクラスでもあがったみたいだけど、素案を作るときから前もって情報を渡しておいたからできた芸当で、結局他のクラスでは実現しなかったみたい。
そして千景ちゃんと私の二人は、あの日のくじ引きのとおり、救護班としての役目で、常にクラスの最後部に回されることになっていた。
千景ちゃんはいろいろ言いたいこともありそうだったけれど、私にとっては不幸中の幸いで、もし足のあの部分を痛めたとしても他に迷惑をかけなくて済む。
いや……、今回の私の緊張感はそれだけが原因じゃない。
この旅行先のどこかで、私はあるイベントが行われることを確信していたから。
先生からあの夜に言われたとおり、誰にも言わなかった追加の持ち物。
あのメモにはいつも持っている学生証の他に、保険証と印鑑。
決定的だったのは私の「戸籍全部事項証明書」を区役所で取って一緒に持っていくようにと書いてあったんだよ。
保険証まではいいとして修学旅行に普通はそんなものは必要がないよね。
あの夜、私の誕生日を改めて確かめた。間違いなく、私の誕生日を「記念の日」にしようとしてくれていること。
それは誰も口には出さなかったけど、茜音先生や結花先生からも何となく伝わってきた。
みんな私を見る目が変わっていたから。
これまでに何人か珠実園を卒園した子がいたけれど、その直前のような空気。
珠実園では、本当に円満な形だと認められない限り途中卒園はさせない。
その子がこの後の人生を幸せに送れると先生たち全員が確信したとき。幸せに送り出すという嬉しさと、それでいて少しの寂しさが混じるような……。
そう、まさに旅立つ花嫁さんを送り出すときのような感覚だ。
そして、その視線が私に向けられている。
つまり私に内緒にしておきながら何かの計画が進みつつある。それは私の人生の新しい出発になるということ。
「私だって気づかないふりしてるの大変なんだから……」
状況証拠だけでも、十分にその内容は分かってしまう。
でもきっと先生はサプライズにしたいのだろうし、クリスマスのときの経験から、万が一にも先走って私たちどちらかの行動から噂が出るのを防ぎたいという心遣いなんだろう。
だから私は今日まで深く追求することもなく流してきた。
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