まだ見ぬ未来へ駆け抜けて!

小林汐希

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28章 修学旅行の持ち物

第105話 緊張の修学旅行なんだから

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「花菜、どうしたの? なんか緊張してる?」

 飛行機の座席は両隣が千景ちゃんと長谷川先生。

 まったく、そこまであの班分けを徹底していなくてもいいと思うけど。

 逆にそっちの方で心配になっちゃうくらい。

「ごめん、どうも飛行機だけは苦手で……」

「そーだった。慣れないと飛行機は落ち着かないもんねぇ。薬は飲んできた?」

「うん、空港に着いたときに飲んでおいたよ。救護班が乗り物酔いして患者第一号は不名誉記録だし」




 4月2日の朝、羽田空港から福岡空港へのフライト。

 集合場所は空港の出発ロビーだったから、今日だけは偶然を装って一緒に到着した。先生たちは生徒よりも早く到着している必要があるのに加え、新人の長谷川先生は早く行くと言っていたのに合わせたから、集合場所に着いてもまだ誰も来ていなかった。

「まだみんな来てないから、朝飯食べるか?」

「いいんですか?」

 お店で食べてもいいけれど、そこを誰かに見つかってしまうのも嫌だったから、サンドイッチをテイクアウトして展望デッキに上がってベンチに並んで座った。

「天気でよかったな」

「福岡の方も暖かそうでよかったです」

「どうしても外歩きが多いからな。雨で街中散策はやりたくない」

「そうですね……」

 目の前で次々に離陸していく飛行機を眺めていると、私も飛びたって自由になりたいなぁと思ってしまうのは、私もまだ子どもなのかな。

「どうした? 体調悪いのか?」

「いいえ、普通に酔い止めです」

「そうか、気分が悪くなったら教えてくれな」

 食事を終えて、薬をペットボトルの水で流し込んでいた私を心配してくれた先生。

 いつも使うバスや電車で酔うことはないのだけど、ジェットコースターみたいに体が浮き上がるような感覚に弱い。

 何気なくそれを千景ちゃんに話したら、弱い酔い止めを飲んでおけばいいよと学校帰りにドラッグストアまでつき合ってくれた。

 飛行機が苦手というより、色々なものに乗り慣れていないのは本当のことだから。

 お母さんと二人だけの生活ではそんなに生活圏も広くないし、飛行機で出かけるなんてこともこれまで一度もなかった。

 同じように、ジェットコースターなんて、これまで何回乗ったか……。たぶん片手で数えられるくらいだと思う。慣れていないのも仕方ないことなのかもしれない。

 もしこれがクリスマスの時みたいに周りがみんな他人の中で二人きりだったら、手を握っていたかも。

 でも今はグッと我慢。先生にも目配せしたら「分かってる」というように、何の言葉もなく頷いた。

「花菜、そういうときはお薬に任せて眠っちゃうのがいいよ。着陸したら起こすから。アイマスクも使う?」

「ありがとう。助かるよ」

 朝も早かったし、寝てしまえばちょうどいい。アイマスクを借りてシートを少しだけリクライニングさせてもらって、いつの間にか私は寝息を立てていたみたいだ。
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