まだ見ぬ未来へ駆け抜けて!

小林汐希

文字の大きさ
127 / 170
32章 高校最後の夏休み

第126話 今日はお祭りだからね

しおりを挟む


 あの春の修学旅行で私の身体の事情を知った千景ちゃんの計らいで、整骨院の先生でもある彼女のお父さんが定期的に診てくれてリハビリやアドバイスも担当してくれている。

 千景ちゃんは私でもできる簡単なテーピングを教えてくれたり、先生がお風呂の後にマッサージやアイシングをしてくれたりと協力をしてくれて、少しずつだけど長く歩けるようになってきた。

 走ることも日常生活の範囲で、全力でなければ以前ほど怖くなくなってきた。

 だから学校がない日はいつもバスで15分の珠実園まで、歩きでは2倍の30分を歩いて通うことに決めたの。

 まだ涼しい朝とは言っても、夏休みの時期では全身汗だくになってしまう。

 早めにお家を出て珠実園でシャワーを浴びさせてもらって、着替えをしてからお仕事に入るようにしている。洗濯物はお仕事中に乾いちゃうから、リュックの底に入れて持ち帰れる。



 そして、今日はそんな中でも特別な日だったんだよね。

「おはようございます」

「花菜ちゃんおはよう!」

「今日は天気も大丈夫そうですね」

「その代わり昼間も暑いわよ?」

「ですよねー。晴れるのは夜だけでいいのにです」

 茜音先生や結花先生も朝から園庭にテーブルや荷物を運んだりテントを用意したりと大忙し。


 今夜は横浜市でも夏休み後半に行われる鶴見川の花火大会があるの。

 もともと観光ホテルがあった場所にある珠実園は高台にあって、横浜港から川崎までの夜景が一気に見渡せる。もちろんその景色の中に鶴見川も含まれているから、花火を見るには絶好のスポットなんだよね。

 毎年夏祭りと称して、夕方から児童センターにいつも遊びに来てくれる家族連れや珠実園の卒園生にも園庭を開放するんだって。

 そのための模擬店の準備を朝から進めることになっていたんだ。


 もちろん入所している子どもたちの生活もあるから、それに影響が出ないようにだけど、みんなも毎年楽しみにしていると聞いていた。

 先生たちだけじゃ足りないから、手伝いたいメンバーの立候補を募ったり、先生たちのご家族やいろんな知り合いを総動員してこの準備をするとのこと。一番の戦力は実は卒園生なんだって。私も来年には卒園生組となるけれど、それはそれで面白そうだと思っている。


 今年は珠実園の現役高校生組の一員でもある私もそんな模擬店班をやらせてもらうことにしていた。

 とはいっても、高校生の私たちに刃物や火を扱わせることはないようにと、かき氷の担当を割り当ててくれた。これなら私たちだけでも危ないことはない。調理室にある製氷機のストックを多めに作っておけばいい。

「これが花菜ちゃんだけなら私も何も心配しないで預けちゃうけど、他はそうもいかないじゃない? 来年は分けちゃおうかな?」

 もう結花先生。分かり切っているというか、やっぱりこの数年の人生経験の差は大きいなぁと笑うしかなかったっけ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」 かつて、私は信じていた。 優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な── そんな普通のお兄ちゃんを。 でも── 中学卒業の春、 帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、 私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった! 家では「戦利品だー!」と絶叫し、 年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、 さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!? ……ちがう。 こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない! たとえ、世界中がオタクを称えたって、 私は、絶対に── お兄ちゃんを“元に戻して”みせる! これは、 ブラコン妹と 中二病オタク姫が、 一人の「兄」をめぐって 全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──! そしていつしか、 誰も予想できなかった 本当の「大好き」のカタチを探す、 壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

となりのソータロー

daisysacky
ライト文芸
ある日、転校生が宗太郎のクラスにやって来る。 彼は、子供の頃に遊びに行っていた、お化け屋敷で見かけた… という噂を聞く。 そこは、ある事件のあった廃屋だった~

Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説

宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。 美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!! 【2022/6/11完結】  その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。  そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。 「制覇、今日は五時からだから。来てね」  隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。  担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。 ◇ こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく…… ――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

紙の上の空

中谷ととこ
ライト文芸
小学六年生の夏、父が突然、兄を連れてきた。 容姿に恵まれて才色兼備、誰もが憧れてしまう女性でありながら、裏表のない竹を割ったような性格の八重嶋碧(31)は、幼い頃からどこにいても注目され、男女問わず人気がある。 欲しいものは何でも手に入りそうな彼女だが、本当に欲しいものは自分のものにはならない。欲しいすら言えない。長い長い片想いは成就する見込みはなく半分腐りかけているのだが、なかなか捨てることができずにいた。 血の繋がりはない、兄の八重嶋公亮(33)は、未婚だがとっくに独立し家を出ている。 公亮の親友で、碧とは幼い頃からの顔見知りでもある、斎木丈太郎(33)は、碧の会社の近くのフレンチ店で料理人をしている。お互いに好き勝手言える気心の知れた仲だが、こちらはこちらで本心は隠したまま碧の動向を見守っていた。

処理中です...