163 / 170
40章 卒業式のち披露宴!?
第162話 今日が約束の日だから
しおりを挟む3月1日、この日は私たちにとってとても大切な日になる。
高校の卒業式。そう。私たち二人がいろいろな人達としてきた『高校を卒業する』という約束がこの日で完結するのだから。
1年生のときとは違って、あっという間の2年間だった。
今朝も用意した朝ごはんを二人で食べて、いつもどおりにブラウス、スカート、ハイソックス、リボンタイと着替えていく。
そう、「いつもどおり」に。それが一番いいと思っているのに。
「支度終わりました」
「そうだな。最後の制服姿になるな。本当によく頑張ったな」
「はい……」
やだ……、そんな言葉をかけられたら、朝から涙がこぼれ落ちてしまいそう。
「じゃあ先に行って教室で待っているぞ。気をつけて来てくれな」
「はい、行ってらっしゃい。私も用意してすぐ追いかけます」
こんなやりとりも今日が最後。
『一緒に通学すると、どこで見られてしまうか分からない』
だからバス1本分をずらして家を出るようにしてきた。そんなことも今日で終わり。
いつもどおりにバスに乗って横浜駅へ。そこから相鉄線に乗り換える。
途中から通い方が変わってしまったけれど、みんなのおかげで3年間この学校に通うことができた。
卒業式は体育館で粛々と進められた。高校3年生の3学期はほとんど登校日も無いから、あまり凝った式典にすることはできない。だから1回の練習くらいで行えるような簡単なものにするのだと、今朝のホームルームで先生が内情をうちあけて笑わせてくれたっけ。
「3年5組」
各クラス担任の先生がマイクで一人一人の名前を呼んで、壇上に上がって校長先生から卒業証書を受け取る。
「松本花菜」
「はいっ」
壇上で校長先生に一礼をして、一歩前に出た。
「松本さん、よく頑張りました。これからはお互いに助け合って充実した人生を送ってくださいね」
「はい。いろいろご心配をおかけしました」
階段を下りたとき千景ちゃんが席で笑っているのが見えた。
中学と高校、本当にお世話になった。誰よりも私のことを最後までいつも心配してくれた親友。
これからもそれはずっと変わらない。
クラスが変わって、6組の番になる。
「中島知子」
あの中島さんだ。うまく隠したな……。もうすぐ7カ月くらいのはずなのに、お腹が大きく出ているという印象はない。
あの翌日、一緒に珠実園の私の部屋を片づけて、お掃除をして、部屋の鍵を結花先生立ち会いのもとで中島さんに手渡した。
その後も連絡を取り合っていて、今ではすっかり仲良しの中島さんも今日で高校生活が終わる。
彼女はあの日からしばらく珠実園で生活をしていた。
「なんだ、松本さんの仕事先ってここだったのね?」
部屋を明け渡したのに毎日通ってくる私のことが不思議だったみたいだけど、すぐに謎が解けたって。
「うん。途中から変えてもらったの。ここならみんないてくれるから」
「それなら、私も安心して来れるわ」
お家の方にも理解をしてもらって、今では両家のご両親ともお孫さんの誕生を楽しみにしているのだという。入籍はこの卒業式が終わってからにすると言っていたっけ。
「加藤治樹」
7組の加藤くん。彼のおかげであの体育祭も吹っ切れる事が出来た。
学校では公開できない私たちと違って、いつの間にか「バカップル」と呼ばれるくらい、千景ちゃんとの交際は順調に進んでいるって。
千景ちゃんとの受験も無事に同じ大学に進学が決まった。下宿はせずにお互い実家から通うんだって。その分のアルバイトをしたお給料は二人で貯めるなんて話も聞いている。
式の最後に校歌を歌う。これも最後だと思うと鼻の奥がツンとしてしまったのは、私だけじゃないよね、きっと……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
紙の上の空
中谷ととこ
ライト文芸
小学六年生の夏、父が突然、兄を連れてきた。
容姿に恵まれて才色兼備、誰もが憧れてしまう女性でありながら、裏表のない竹を割ったような性格の八重嶋碧(31)は、幼い頃からどこにいても注目され、男女問わず人気がある。
欲しいものは何でも手に入りそうな彼女だが、本当に欲しいものは自分のものにはならない。欲しいすら言えない。長い長い片想いは成就する見込みはなく半分腐りかけているのだが、なかなか捨てることができずにいた。
血の繋がりはない、兄の八重嶋公亮(33)は、未婚だがとっくに独立し家を出ている。
公亮の親友で、碧とは幼い頃からの顔見知りでもある、斎木丈太郎(33)は、碧の会社の近くのフレンチ店で料理人をしている。お互いに好き勝手言える気心の知れた仲だが、こちらはこちらで本心は隠したまま碧の動向を見守っていた。
サクラブストーリー
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。
しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。
桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。
※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
となりのソータロー
daisysacky
ライト文芸
ある日、転校生が宗太郎のクラスにやって来る。
彼は、子供の頃に遊びに行っていた、お化け屋敷で見かけた…
という噂を聞く。
そこは、ある事件のあった廃屋だった~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる