まだ見ぬ未来へ駆け抜けて!

小林汐希

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39章 珠実園での緊急会議

第161話 人生のパートナーとは

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 その夜、中島さんと篠崎くん、私と長谷川先生は珠実園にある和室にお布団を入れてもらって泊まることになった。

 二人がきちんと話し合う必要があること。このままお家に帰っても中島さんは落ち着くことが出来ないかもしれないと結花先生が進言したから。

「あの、長谷川先生? 不思議だったんですけど、松本さんはどうして……」

 篠崎くんの疑問は当然だと思う。珠実園から通っていることも知っている人は知っている。

 でも、さっきの会議室の中に入れるのとはまた別だから。

「松本さんは特別なんですよ。僕が言うのも問題発言かもしれませんが、妊娠や出産を除いて、これから中島さんと篠崎くんが経験することをすでに済ませている女性なのですよ」

「え? それって……」

 先生は、二人に見えるように私の手を握ってくれた。

「篠崎くんにとって中島さんが大切な人であるように、僕に松本さんはもう欠けてはいけない存在なんです。大切な人生のパートナーになってくれましたからね」

 瞬時に意味を理解した二人は目を見開いた。

「そうか、それで校長先生は長谷川先生のところなら答えをくれるかもと言ったんだ」

 まったく、あの校長先生は私たちをうまく利用しちゃって……。でも確かに他の人では本当に結婚や妊娠という問題に対して、同じ年代の目線で話が出来なかったと思う。


 そのあと、中島さんはお家が落ちつくまで珠実園でカウンセリングを受けながら過ごすとの説明があったから、私の部屋を明け渡すことにした。

 私の荷物も半分以上は運び出しが終わっている。残りの片づけをして掃除をするくらいなら、明日1日あれば十分に間に合う。


「長谷川先生の謎の恋人って、松本さんだったのね。そっかぁ、でもなんか納得しちゃった。体育祭のあれも、夫婦だったら当然よね」

「うん、幼なじみだから。私はそれしか恋愛ができなかったんだ。それにお母さんがいなくなっちゃって、恋愛と言うより私の保護者として引き取ってくれたって方が強いかも。中島さんが羨ましい」

「学校一の長谷川先生の奥さんだなんて、それはお互いさま。触ってみる?」

「いいの?」

 笑顔で頷いて、パジャマのおなかの部分をたくし上げてくれた。まだほとんど外からは分からない。中島さんが私の手を少し強くお腹に押し込むと、私にはまだ無いお腹の中の存在感があった。この中に小さな赤ちゃんがいる。中島さんが必死で守ったんだよ。もう立派なお母さんだよね。

「もう大丈夫だから、元気に産まれてきてね。ちょっと先を越されちゃったな」

「私……、この子と生きていくって決めるまで本当に悩んだ。松本さんたちはそんなことないようにね。赤ちゃんは時期が来ればきっと来てくれるから」

 さっきまであんなに険しい顔をして泣いていたのに、今は本当に優しい顔をしている。そんな中島さんとはずっと親友でいられると思った。



「そう言えば、私を放課後に準備室に呼んだのは、なんだったんですか?」

 あまりにも大きな事件ですっかり忘れていたっけ。

 長谷川先生が私に学校の名前が入った封筒を渡してくれた。

「今日通知が届いてな。これを渡したかった。あと2年間、しっかり勉強して、今よりももっといい嫁さんになってくれよ?」

「はいっ! それが終わったら赤ちゃん欲しいです」

「バカ、それはコウノトリに任せるって決めただろ?」

「長谷川先生、意外にロマンチストなんですね」

 去年のように二人きりではなかったけれど、泣いた後にみんなで笑えて、忘れられない素敵な夜は過ぎていったんだ……。
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