鳳凰の巣には雛が眠る〜かつて遊び人だった俺と慰み者だった君が恋人になるまで〜

タケミヤタツミ

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二章:冷たい鳥籠(雛子過去編)

10:愛玩具*

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確かに衣食住は保証されて、最上家の先祖が設立したという名門の女子中学へ編入することになった。
金髪の雛子は最初こそ注目されたが、周囲に溶け込むことは得意なのでクラスメイトのご令嬢達とも当たり障りなく。
それに何しろ最上家の親族とあれば下手な対応など出来まい。

飽くまでも表向きは当主から実の娘のように可愛がられていたが、実際は愛玩具に過ぎず。
運転手付きの車で送迎されていた本当の理由も登下校中に逃がさない為だった。


編入させられたのは厳しいお嬢様校、仮にも最上家の親族を名乗る以上は体裁もある訳だ。
転校前も進学校だったことだし、勉強が好きな方の雛子にとってそこは苦にならない。

ネットなどは制限を掛けられたが「ただ身体を開くだけの馬鹿な女では駄目だ」と代わりに本や映画ならジャンルを問わず山のように与えられた。
そういえば、もともと当主もこうした芸術には理解が深い文化人として有名だったか。

娼婦の価値を高める為には教養も必要ということだろう。

この辺りから雛子は自分を「椿姫」のモデル、マリ・デュプレシだと思うことにした。
両親が健在だった頃は声楽をやっていたのでオペラは分かる。
幼い頃に親を亡くし、親戚の老人に預けられて処女を奪われた後は娼婦として身を費やす。
金持ちに見初められてからは教養を身に着けて華やかに生き、肺病で若くして命を散らした悲劇の美女。
そう思えば、咳が出る時も雛子は「もう自分は長くないのだ」と憂鬱に浸ることを愉しめる。

我ながら馬鹿馬鹿しいとも思うが、ごっこ遊びでもしないとやっていられない。
抵抗と呼ぶにしてもささやかなもの。


ならばその「身体を開くだけの馬鹿な女」の振りをしたら早々に解放されるだろうか。

いや、だったら良いが余計に面倒なことになるやも知れず正直なところあまり勝機の見えない賭け。
それにこんな孤立無援の地で中学生一人が放り出されて、その後はどう生きろと。
何にしても今は耐えるしか出来ず。

しかし当主は立場があるので今までなら後腐れのない相手を愛人にしてきたようだが、それなら雛子は何なのか。
どうあっても飽きられる可能性もあるのだし。


それに、何も夜伽は毎日のことでもなかった。
流石に当主は多忙なので一日中書斎に籠もって仕事をしていることもあれば、出張だとかで海外へも飛ぶ。

ただ、屋敷に居る間はいつ求められるやら。
遅い時間に帰ってきた時は就寝中に夜這いを掛けられた。
学校から帰って早々に制服のスカートに手を突っ込まれたこともある。

そう、そこから先の話だ。


もうすぐ夜が来るので屋敷中に灯りが灯る頃。
レトロな格子の大きな窓が並ぶ廊下も燃え尽きそうな夕陽が見えず東側は薄暗い。
光と闇がグラデーションを織り成す空、代わりに昇り始めた月が顔を出していた。

帰宅してから随分と経つというのに、着替えもせず制服のまま雛子は当主に呼ばれて扉の前。
約束の時間を確かめてから書斎に足を踏み入れた。

紫外線は本の大敵なので、ここはいつ来ても太陽からの隠れ家といった雰囲気だった。
天井まで届く本棚で埋まった壁、頑丈な重々しい机。
暗い部屋は陰影が濃く、灯りは卓上で暖かな光を持つヴィンテージのランプのみ。
読書するにはさぞ居心地が良さそうな空間でもそれは叶わない。

当主が雛子を呼ぶ用なんて知れたこと。


処女喪失から数ヶ月、愛玩具として当主の好みに変えられてきた。
もともと令嬢なので所作や学は基礎が備わっているとして、髪の長さから身に纏う香りまでも。
現在、手入れされつつも伸びた雛子の金髪は肩までの長さ。
癖っ毛なので触れるとふわふわ柔らかく、以前よりもずっと少女らしくなった。

名門私立冠羽かんう女学園の制服は菫色のワンピース。
首に黒いリボンタイを結び、清楚で上品なデザインなので人気が高い。
雛子が着れば明るい髪色と相まって大変可愛らしくなる。

これから全て穢されてしまう訳だが。
扉の鍵を掛ける金属音はやたら大きく耳に響いた。


そういう趣向なのか、単なる情欲の捌け口として扱われるのでなく書斎では閨事の技巧や羞恥的なことをじっくり教え込まれる。
好き勝手に可愛がるだけでなく躾の時間。

身体の支度を済ませて、そのままの格好で指定の時間に来いという命令だった。

雛子が自分の手で長いスカートを捲り上げると、裾を握り締める両拳と呼吸が微かに震える。
帰宅早々にショーツを奪われて外気晒されていた裸の下腹部。
金色の翳りはまだ薄いので筋までよく見えてしまう。


白い太腿を撫でる当主の手は気味が悪い生暖かさ。
「脚を開け」と内股までも這う。
浅黒く節くれ立った指が花弁を探り当てた。
堅く閉じていて当然なのに、もう熱を秘めていて指先がゆっくりと沈む。

「ふ……ッ、あぅ……」

時間までに焦らされていた雛子の身体は勝手に反応を示すようになってしまった。
そして書斎の匂いは度重なる調教により情欲を掻き立てる。
これではパブロフの犬。
卑しくも涎を垂らし、男の指を美味そうに咥え込む。


喘ぎを最初に聴くのは自分の耳。
それが嫌で雛子は声を抑える癖がついていた。
悲鳴も懇願も甘くなってしまいそうで、奥歯を噛んで耐える。

机に上半身を伏せ、すっかりスカートを捲り上げられた剥き出しの尻を突き出す格好。
卓上のランプに痴態を照らし出されて羞恥のあまり涙が溢れてきた。
泣き顔を見せたくなくて制服の袖を濡らすだけ。

もっとも当主の方とて、尻の谷間に顔を埋めて夢中で舐め回しているところ。
大きめの丸い双丘は熟れて裂けた果実を思わせる。
柔らかな濃桃色の果肉から滴る蜜に、まだ幼くも甘やかで濃い雌の匂い。
男は鷲鼻を押し付けながらさも美味そうに貪る。
獣じみた息遣いと、じゅるじゅると淫らな音に雛子は酷く怯えていた。
蹂躙してくるのは舌と唾液だけでなく、突き刺す指までも本数を増やされる。

捌け口として扱われるだけならまだ良かった。
これだけではまだ終わらず、愛玩具として更に作り変えられていく。
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