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二章:冷たい鳥籠(雛子過去編)
33:向日葵
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ここはもう冷たい鳥籠の中ではないのだと、帰ってきたのだと、夏という季節は容赦なく実感させる。
全身を包み込む茹だるような蒸し暑さ。
「そばかすは太陽のキス」と言われるが、折角薄くなってきたというのに愛が熱烈で参ってしまう。
関東で過ごすのは大体四年ぶりになるか。
飛行機で北国から飛び去って、今の雛子は来島家に身を寄せていた。
広い屋敷とはいえ年頃の男も居るので、雛子の住処は平屋の離れ家。
まだ保護される立場なのだからとは千鳥達に言われたが、何かしら仕事をせねばと思ってしまうのは雛子の方なので家事手伝いのお小遣い制で落ち着いた。
少ない荷物を運び込んで引っ越し、新生活の手続きやら女性陣からの手厚い歓迎で慌ただしい夏の到来。
確かに空いた歳月での変化はありつつも、子供の頃から知っている来島家は酷く懐かしかった。
大仰な門に物々しい屋敷、間取りも匂いも馴染み深い。
だから時折、心が戻ってしまうことがある。
両親に愛され守られていて、まだ誰のものでもなかった頃の雛子に。
それでも月日の流れは身体を変化させていた。
残酷に確実に、恐るべき速度で。
ここに来てからの生活も格好が付いてきた土曜の昼。
ふと、離れ家に古いインターホンの少しこもった音が間延びして響く。
その所為か来客があってもあまり急く気にならず、雛子は緩い足取りで玄関へ向かった。
曇ったような磨りガラスと格子の引き戸越しに大きな影。
来島家の敷地内なのでインターホンを鳴らすとしたら内部の者、ここの住人は雛子も含めて長身ばかりとはいえあの体格に該当するなんて一人しか居らずクイズにもならない。
「……なに、鳳一郎?」
開けて早々、顔も見ずに名前を呼ぶ。
というか雛子が真正面から視線を向けてもせいぜいTシャツの胸元までなのだ。
首が痛くなる角度まで上げると、ようやく野性味のある鋭い目と複数のシルバーピアス。
成長したのはお互い様、すっかり「男」になった幼馴染がそこに居た。
もともと小学六年生で百七十センチを越えていた鳳一郎は今や二メートル近い巨人。
背が高いだけでなく全身が筋肉で分厚い。
子供の頃は活発な悪ガキといった印象だったが、もう余裕が出来て落ち着いた物腰。
自宅かつ部屋着でリラックスしているということもあってか、動物園で野生を忘れた猛獣じみた印象である。
そして、意外と花が似合う色男になった。
ガラスに鮮やかな黄色が透けていたと思えば正体は向日葵。
庭の片隅で背筋を伸ばしていた花か。
首を切られたばかりで随分と短くなり、大きな手に数本握られている。
「うちの分は取ったから、そっちの仏壇にもお供えしときな」
花を贈るのは別に口説いてる訳でなく、雛子の両親の分である。
鳳一郎も父達の仏壇に供えたので分けっこ。
「せっかく咲いたのに切っちゃって良かったの?」
「あぁ、すぐ枯れそうだしな」
連日猛暑の七月、陽射しはビームの強さ。
放って置くと群れで鳳一郎の背をも越して迫力のある向日葵だが、この暑さでは開く前に枯れてしまう方が多い。
何とか綺麗に咲いたものは数える程度。
それを躊躇いもなくお供えにしてしまう辺り、思い切りが良いというか。
「ていうか、暑いし上がったら?」
「いや、今汗掻いてるからあんまり寄ると悪ィし」
見かねて一度目の誘いは遠慮されてしまった。
何しろ筋肉質だと体温が人より高いらしく、真夏の鳳一郎は辛そうに見えたものだから。
この陽気で庭に出ていると汗が滝になるので首にタオルが必須。
「ん……それじゃ向日葵のお礼ってことで、アイスでも食べてきなさいよ」
それならば二度目は断りにくい台詞で。
こうなると鳳一郎も一呼吸悩んでから降参、お邪魔しますとサンダルを脱いだ。
テレビと卓袱台が揃った居間、和モダンの収納棚には両親の為の小さい仏壇が置いてある。
木製の箱型で両開き戸の中には位牌と写真。
これは雛子が最上家に居た頃から持っていたもので、向日葵を供えれば大変立派。
黄色い花はそこにあるだけで場に活気を与える。
ちょっとした用で来る時も、鳳一郎は欠かさずに手を合わせていた。
そういえば鷹人もこういうところはしっかり礼儀を弁えていたか。
なんて、別れた男の背中を重ね合わせてしまいそうになったところで雛子は台所へ引っ込んだ。
先程の遠慮は汗臭さを気にしてのことだろうが、むしろ仄かに香水を感じる。
鳳一郎が身動ぎする度にふわりと、どことなく甘みを抑えた柑橘系のカクテルを思わせる匂い。
気になるのに意識した傍から搔き消えてしまう儚さ。
手洗いついでに鳳一郎は頭から水を浴びたようで、タオルで雫を拭う様は風呂上がりのようだった。
そこに雛子がソーダバーを一本。
「ありがとな」
引き結んでいた唇を解いて素直に礼を言い、ビニールを剥がした水色の氷に鳳一郎が牙を立てる。
昔々の子供の頃、来島家の近所にあった駄菓子屋でこうして同じアイスを食べたことをふと思い出した。
もう巨漢となった彼が持つと随分小さく見えるが。
雛子もソーダを咥えれば、冷気が舌をきゅっと引き締める。
呆けているとどうもノスタルジーに引っ張られてしまう、夏とはそういう季節だった。
同年代の男の子と口を利くのは何年ぶりになるか。
ずっと女子校だった上、当主に若い男との接触を禁じられていた為。
鷹人の存在だけは本当にイレギュラーとしても。
それほどまでに異様な環境に身を置いていたのだ。
最初こそ成長という変化に戸惑いつつ、それでも鳳一郎は長年幼馴染として築いた信用がある。
昔から彼に嫌なことをされた覚えはあらず、怖いとは感じない。
男性恐怖症になってもおかしくない訳だが、こうして鳳一郎自身がさりげなく適切な距離を取ってくれている為でもある。
もう少し早ければ思春期特有の何やかんやで避けられたかもしれないが、これは雛子を淑女として扱ってのこと。
というのも今は亡き彼の父親が紳士の鑑だったそうで、その精神を受け継いでいるらしい。
加えて、来島家の女衆に厳しくそう指導されている。
「……昔行った駄菓子屋って、まだある?」
雛子の質問は唐突なようでアイス繋がり。
果たして、あの時のことを鳳一郎は覚えているのやら。
「あぁ、もしかしてセキセイ商店?あるっちゃあるけど、もともとは米屋だから駄菓子まだ取り扱ってっかな……後で行ってみるか?」
額に片手を当てて記憶を探る仕草を一つ、鳳一郎は返事をする。
どうやらあちらも頭の片隅に残っていたか。
「まぁ、ショッピングモールも出来たしここらも土地開発で変わっちまったからなぁ。どこか行きたいところあるなら他にも案内するけどよ」
「ん、それじゃ図書館とか……?」
昔から読書が好きだったこともあり、最上家では映画や本で現実逃避するのが癖になっていた。
ここはもう冷たい鳥籠の中ではないのだと、帰ってきたのだと、そう自分に言い聞かせてもやはり落ち着かずにいたのだ。
こうして、午後は陽射しから逃げて本の森へ。
全身を包み込む茹だるような蒸し暑さ。
「そばかすは太陽のキス」と言われるが、折角薄くなってきたというのに愛が熱烈で参ってしまう。
関東で過ごすのは大体四年ぶりになるか。
飛行機で北国から飛び去って、今の雛子は来島家に身を寄せていた。
広い屋敷とはいえ年頃の男も居るので、雛子の住処は平屋の離れ家。
まだ保護される立場なのだからとは千鳥達に言われたが、何かしら仕事をせねばと思ってしまうのは雛子の方なので家事手伝いのお小遣い制で落ち着いた。
少ない荷物を運び込んで引っ越し、新生活の手続きやら女性陣からの手厚い歓迎で慌ただしい夏の到来。
確かに空いた歳月での変化はありつつも、子供の頃から知っている来島家は酷く懐かしかった。
大仰な門に物々しい屋敷、間取りも匂いも馴染み深い。
だから時折、心が戻ってしまうことがある。
両親に愛され守られていて、まだ誰のものでもなかった頃の雛子に。
それでも月日の流れは身体を変化させていた。
残酷に確実に、恐るべき速度で。
ここに来てからの生活も格好が付いてきた土曜の昼。
ふと、離れ家に古いインターホンの少しこもった音が間延びして響く。
その所為か来客があってもあまり急く気にならず、雛子は緩い足取りで玄関へ向かった。
曇ったような磨りガラスと格子の引き戸越しに大きな影。
来島家の敷地内なのでインターホンを鳴らすとしたら内部の者、ここの住人は雛子も含めて長身ばかりとはいえあの体格に該当するなんて一人しか居らずクイズにもならない。
「……なに、鳳一郎?」
開けて早々、顔も見ずに名前を呼ぶ。
というか雛子が真正面から視線を向けてもせいぜいTシャツの胸元までなのだ。
首が痛くなる角度まで上げると、ようやく野性味のある鋭い目と複数のシルバーピアス。
成長したのはお互い様、すっかり「男」になった幼馴染がそこに居た。
もともと小学六年生で百七十センチを越えていた鳳一郎は今や二メートル近い巨人。
背が高いだけでなく全身が筋肉で分厚い。
子供の頃は活発な悪ガキといった印象だったが、もう余裕が出来て落ち着いた物腰。
自宅かつ部屋着でリラックスしているということもあってか、動物園で野生を忘れた猛獣じみた印象である。
そして、意外と花が似合う色男になった。
ガラスに鮮やかな黄色が透けていたと思えば正体は向日葵。
庭の片隅で背筋を伸ばしていた花か。
首を切られたばかりで随分と短くなり、大きな手に数本握られている。
「うちの分は取ったから、そっちの仏壇にもお供えしときな」
花を贈るのは別に口説いてる訳でなく、雛子の両親の分である。
鳳一郎も父達の仏壇に供えたので分けっこ。
「せっかく咲いたのに切っちゃって良かったの?」
「あぁ、すぐ枯れそうだしな」
連日猛暑の七月、陽射しはビームの強さ。
放って置くと群れで鳳一郎の背をも越して迫力のある向日葵だが、この暑さでは開く前に枯れてしまう方が多い。
何とか綺麗に咲いたものは数える程度。
それを躊躇いもなくお供えにしてしまう辺り、思い切りが良いというか。
「ていうか、暑いし上がったら?」
「いや、今汗掻いてるからあんまり寄ると悪ィし」
見かねて一度目の誘いは遠慮されてしまった。
何しろ筋肉質だと体温が人より高いらしく、真夏の鳳一郎は辛そうに見えたものだから。
この陽気で庭に出ていると汗が滝になるので首にタオルが必須。
「ん……それじゃ向日葵のお礼ってことで、アイスでも食べてきなさいよ」
それならば二度目は断りにくい台詞で。
こうなると鳳一郎も一呼吸悩んでから降参、お邪魔しますとサンダルを脱いだ。
テレビと卓袱台が揃った居間、和モダンの収納棚には両親の為の小さい仏壇が置いてある。
木製の箱型で両開き戸の中には位牌と写真。
これは雛子が最上家に居た頃から持っていたもので、向日葵を供えれば大変立派。
黄色い花はそこにあるだけで場に活気を与える。
ちょっとした用で来る時も、鳳一郎は欠かさずに手を合わせていた。
そういえば鷹人もこういうところはしっかり礼儀を弁えていたか。
なんて、別れた男の背中を重ね合わせてしまいそうになったところで雛子は台所へ引っ込んだ。
先程の遠慮は汗臭さを気にしてのことだろうが、むしろ仄かに香水を感じる。
鳳一郎が身動ぎする度にふわりと、どことなく甘みを抑えた柑橘系のカクテルを思わせる匂い。
気になるのに意識した傍から搔き消えてしまう儚さ。
手洗いついでに鳳一郎は頭から水を浴びたようで、タオルで雫を拭う様は風呂上がりのようだった。
そこに雛子がソーダバーを一本。
「ありがとな」
引き結んでいた唇を解いて素直に礼を言い、ビニールを剥がした水色の氷に鳳一郎が牙を立てる。
昔々の子供の頃、来島家の近所にあった駄菓子屋でこうして同じアイスを食べたことをふと思い出した。
もう巨漢となった彼が持つと随分小さく見えるが。
雛子もソーダを咥えれば、冷気が舌をきゅっと引き締める。
呆けているとどうもノスタルジーに引っ張られてしまう、夏とはそういう季節だった。
同年代の男の子と口を利くのは何年ぶりになるか。
ずっと女子校だった上、当主に若い男との接触を禁じられていた為。
鷹人の存在だけは本当にイレギュラーとしても。
それほどまでに異様な環境に身を置いていたのだ。
最初こそ成長という変化に戸惑いつつ、それでも鳳一郎は長年幼馴染として築いた信用がある。
昔から彼に嫌なことをされた覚えはあらず、怖いとは感じない。
男性恐怖症になってもおかしくない訳だが、こうして鳳一郎自身がさりげなく適切な距離を取ってくれている為でもある。
もう少し早ければ思春期特有の何やかんやで避けられたかもしれないが、これは雛子を淑女として扱ってのこと。
というのも今は亡き彼の父親が紳士の鑑だったそうで、その精神を受け継いでいるらしい。
加えて、来島家の女衆に厳しくそう指導されている。
「……昔行った駄菓子屋って、まだある?」
雛子の質問は唐突なようでアイス繋がり。
果たして、あの時のことを鳳一郎は覚えているのやら。
「あぁ、もしかしてセキセイ商店?あるっちゃあるけど、もともとは米屋だから駄菓子まだ取り扱ってっかな……後で行ってみるか?」
額に片手を当てて記憶を探る仕草を一つ、鳳一郎は返事をする。
どうやらあちらも頭の片隅に残っていたか。
「まぁ、ショッピングモールも出来たしここらも土地開発で変わっちまったからなぁ。どこか行きたいところあるなら他にも案内するけどよ」
「ん、それじゃ図書館とか……?」
昔から読書が好きだったこともあり、最上家では映画や本で現実逃避するのが癖になっていた。
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