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二章:冷たい鳥籠(雛子過去編)
34:図書館
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初めて行く図書館はちょっとしたテーマパーク並みに心が躍る。
灼けそうな陽射しを遮断して、古い紙の匂いとひんやりした静かな空気に満ちた館内。
関東から北国まで幾つもの図書館を巡ってきたが、どこの図書館も雛子にとって一つの森を思わせる。
無数の巨木が立ち並ぶような圧巻の本棚。
そこにずっしりと詰め込まれた本は言うなれば果実といったところか。
一口齧るような気軽さで立ち読みしては、手に取ったり戻したり。
「あ」
本棚の前でつい本の世界に入り込みそうになっていたところ、急に一歩下げられる。
背後から雛子が着ていたUVカットパーカーの裾を掴んだ鳳一郎の所為。
何かと思えば、いつの間にか隣には見知らぬ男。
雛子の前に並んだ本を取ろうと、こちらに腕を伸ばし掛けていた。
これは失礼、邪魔になっていた形。
雛子の方が悪かったのだが巨人のような鳳一郎の出現には面食らったのか。
結局何も取らず、男は逃げるように去って行った。
「いや……ほら、立ち読みは行儀悪ィから座って読みな」
「……ん」
背後から雛子を引っ張って受け止めたのはそういうことか。
そうして保護者じみたことを言うが、鳳一郎にマナーを指摘されるとは不覚。
ここは素直に頷いて、抱えた本を机へ持って行った。
それにしても日頃から淑女扱いで雛子と適切な距離を保っている鳳一郎のこと。
だというのに急に服を掴むなんて、少し引っ掛かりは感じた。
子供じゃあるまいし一声掛けるだけで済むところを彼にしては随分と荒っぽい。
目で活字を追いながらも頭の片隅ではそうして妙に思っていた。
そして、違和感というものは意外と馬鹿にならない。
鳳一郎の言動に隠れた意図。
雛子がそれを知ったのは数十分後のこと。
画集なので眺めるだけですぐ読み終わり、戻そうと席を立った時だった。
本棚に挟まれた死角、褪せたグレーのTシャツの背中が覗く。
あれは先程、雛子の隣に立っていた男だ。
一応謝った方が良いのだろうか、却って気まずいだろうか。
そんな考えで靄々としつつ視線で追っていたら気付いてしまった。
原則としてはマナーが悪いものの、立ち読みしている利用者の姿なんてどこにでもある。
棚の前に居るのは中学生くらいの少女。
その後ろからこっそり蹲って、男はスカートの中を覗いていた。
滅多に動じない雛子も血の気が引き、喉が引き攣る。
「……雛子、司書さん呼んできな」
不意に、背後から降ってきた声が金縛りを解いた。
動けずにいた雛子に代わり、割って入る為に一歩踏み出したのは鳳一郎。
ここは任せても大丈夫だという力強い安堵で再び血が巡り出し、雛子は言われた通り貸し出しカウンターの方へ駆け出した。
図書館では走るななんて、今は知るものか。
そこから先はちょっとした騒動。
図書館で静かな午後を過ごそうという予定は引っくり返って、しっちゃかめっちゃか。
どうするのかと思えば、鳳一郎は雛子の時と違って中学生でなく男の方に声を掛けていた。
またも慌てて逃げ出そうにもあっさり大きな手に捕獲される。
二メートル近い巨体はそれだけで威圧感があり、見合うだけの怪力も備わっているので絡められたら離れず。
加えて何やら耳元で囁かれると、男は固まったように動けなくなっていた。
実は片手にスマホを構えてスカートの中を盗撮までしていた上、一般的に図書館は監視カメラが付いているもので証拠もしっかりと。
警察を呼ぶ呼ばないで揉めたり、中学生の親御さんにお礼を言われたりと慌ただしかった。
「バイトしてるゲーセンでも痴漢やらナンパやらよくあってな……なんかもう、ヤバそうな奴とか雰囲気で分かるようになっちまったわ」
苦い溜息と共に鳳一郎はそう吐き出す。
雛子の時もあれは本を取る振りをして、胸を触ろうとしていたのが真相。
手が当たっても偶然を装えるので、以前にも触った触らないで他の女性利用者と同様のトラブルを起こしたことがあるという。
痴漢は他の犯罪よりも再犯率が高い傾向。
出禁にしていた筈がいつの間にか潜り込んでいたらしく、雛子の呼んできた司書が男に向かって「またお前か」と怒鳴っていた。
悪意とはどこにでもある。
いや、あちらからすれば自覚すら無いのだ。
ただそこに居る女から勝手に色情を感じて、勝手に触れたり覗いたりと不躾に侵入してくる。
そうしてあの屋敷で自分が何をされていたのか重なる、否応なしに。
幾度となく鷹人から贈られた愛の言葉も今や虚しい。
肉欲の免罪符にならないとは、雛子が自分で返したこと。
「お疲れさん」
涼しい館内を出ると再び蒸し暑さを容赦なく浴びる。
何やかんやですっかり遅くなった帰り道、鳳一郎が労りの声を掛けてきた。
自分の方が疲れているくせに。
事情を聞くにしても、行き違いが無いように同じことを何度も言ったりするもの。
不届き者を捕まえたのは鳳一郎なので、雛子よりも司書や警備員と話をしている時間はあちらの方がずっと長かったのだ。
「ゆっくり読書したかったろうに悪かったな」
「別に、災害みたいなものだし仕方ないでしょ……」
鳳一郎が謝ることではないのに。
どうせ気になる本があったところで今日は借りられないので構わないが。
まだ雛子は学生証が無いので貸し出しカードを作るとしたら秋になってしまう。
それにしても職場で何度も通報したことがあると言っていただけあり、確かに鳳一郎は事情聴取の受け答えなどにも慣れていた。
ならばこんな面倒なことになるとは知っていたのでは。
「こうやって面倒なことになるの分かってても躊躇わないんだね、鳳一郎って」
「だってなぁ、知らない間に好き勝手にされてるのは誰でも腹立つモンだろ。バレても誤魔化せるし何でもないことだと思ってっからやるんだよ、それならいっそ大事になった方が良い」
鳳一郎は雛子でなく見ず知らずの少女相手でも助けの手を差し伸べる。
正義感も下心も無しに、当たり前のこととして。
「そりゃお前、俺は紳士だからよ」
真面目な表情を作ってそう言い切る。
「その方が格好良い」という意味や冗談半分もあれば、もう一つ含まれていた。
鳳一郎の父親がそういう人だったのだ。
紳士の精神を受け継ぐとは、そういうこと。
「じゃ、セキセイ寄ってくか?」
「そういう空気かな、今……気持ち切り替えるのは大事だと思うけど」
「何だよ、奢ってやろうってのに」
「……じゃ、行く」
気を遣われているのか、それとも単に空腹なのか分かりゃしない。
一歩踏み込んでみれば鋭い目もピアスも見せ掛け。
昔と変わらずに鳳一郎は「気軽」を纏って接してくる。
灼けそうな陽射しを遮断して、古い紙の匂いとひんやりした静かな空気に満ちた館内。
関東から北国まで幾つもの図書館を巡ってきたが、どこの図書館も雛子にとって一つの森を思わせる。
無数の巨木が立ち並ぶような圧巻の本棚。
そこにずっしりと詰め込まれた本は言うなれば果実といったところか。
一口齧るような気軽さで立ち読みしては、手に取ったり戻したり。
「あ」
本棚の前でつい本の世界に入り込みそうになっていたところ、急に一歩下げられる。
背後から雛子が着ていたUVカットパーカーの裾を掴んだ鳳一郎の所為。
何かと思えば、いつの間にか隣には見知らぬ男。
雛子の前に並んだ本を取ろうと、こちらに腕を伸ばし掛けていた。
これは失礼、邪魔になっていた形。
雛子の方が悪かったのだが巨人のような鳳一郎の出現には面食らったのか。
結局何も取らず、男は逃げるように去って行った。
「いや……ほら、立ち読みは行儀悪ィから座って読みな」
「……ん」
背後から雛子を引っ張って受け止めたのはそういうことか。
そうして保護者じみたことを言うが、鳳一郎にマナーを指摘されるとは不覚。
ここは素直に頷いて、抱えた本を机へ持って行った。
それにしても日頃から淑女扱いで雛子と適切な距離を保っている鳳一郎のこと。
だというのに急に服を掴むなんて、少し引っ掛かりは感じた。
子供じゃあるまいし一声掛けるだけで済むところを彼にしては随分と荒っぽい。
目で活字を追いながらも頭の片隅ではそうして妙に思っていた。
そして、違和感というものは意外と馬鹿にならない。
鳳一郎の言動に隠れた意図。
雛子がそれを知ったのは数十分後のこと。
画集なので眺めるだけですぐ読み終わり、戻そうと席を立った時だった。
本棚に挟まれた死角、褪せたグレーのTシャツの背中が覗く。
あれは先程、雛子の隣に立っていた男だ。
一応謝った方が良いのだろうか、却って気まずいだろうか。
そんな考えで靄々としつつ視線で追っていたら気付いてしまった。
原則としてはマナーが悪いものの、立ち読みしている利用者の姿なんてどこにでもある。
棚の前に居るのは中学生くらいの少女。
その後ろからこっそり蹲って、男はスカートの中を覗いていた。
滅多に動じない雛子も血の気が引き、喉が引き攣る。
「……雛子、司書さん呼んできな」
不意に、背後から降ってきた声が金縛りを解いた。
動けずにいた雛子に代わり、割って入る為に一歩踏み出したのは鳳一郎。
ここは任せても大丈夫だという力強い安堵で再び血が巡り出し、雛子は言われた通り貸し出しカウンターの方へ駆け出した。
図書館では走るななんて、今は知るものか。
そこから先はちょっとした騒動。
図書館で静かな午後を過ごそうという予定は引っくり返って、しっちゃかめっちゃか。
どうするのかと思えば、鳳一郎は雛子の時と違って中学生でなく男の方に声を掛けていた。
またも慌てて逃げ出そうにもあっさり大きな手に捕獲される。
二メートル近い巨体はそれだけで威圧感があり、見合うだけの怪力も備わっているので絡められたら離れず。
加えて何やら耳元で囁かれると、男は固まったように動けなくなっていた。
実は片手にスマホを構えてスカートの中を盗撮までしていた上、一般的に図書館は監視カメラが付いているもので証拠もしっかりと。
警察を呼ぶ呼ばないで揉めたり、中学生の親御さんにお礼を言われたりと慌ただしかった。
「バイトしてるゲーセンでも痴漢やらナンパやらよくあってな……なんかもう、ヤバそうな奴とか雰囲気で分かるようになっちまったわ」
苦い溜息と共に鳳一郎はそう吐き出す。
雛子の時もあれは本を取る振りをして、胸を触ろうとしていたのが真相。
手が当たっても偶然を装えるので、以前にも触った触らないで他の女性利用者と同様のトラブルを起こしたことがあるという。
痴漢は他の犯罪よりも再犯率が高い傾向。
出禁にしていた筈がいつの間にか潜り込んでいたらしく、雛子の呼んできた司書が男に向かって「またお前か」と怒鳴っていた。
悪意とはどこにでもある。
いや、あちらからすれば自覚すら無いのだ。
ただそこに居る女から勝手に色情を感じて、勝手に触れたり覗いたりと不躾に侵入してくる。
そうしてあの屋敷で自分が何をされていたのか重なる、否応なしに。
幾度となく鷹人から贈られた愛の言葉も今や虚しい。
肉欲の免罪符にならないとは、雛子が自分で返したこと。
「お疲れさん」
涼しい館内を出ると再び蒸し暑さを容赦なく浴びる。
何やかんやですっかり遅くなった帰り道、鳳一郎が労りの声を掛けてきた。
自分の方が疲れているくせに。
事情を聞くにしても、行き違いが無いように同じことを何度も言ったりするもの。
不届き者を捕まえたのは鳳一郎なので、雛子よりも司書や警備員と話をしている時間はあちらの方がずっと長かったのだ。
「ゆっくり読書したかったろうに悪かったな」
「別に、災害みたいなものだし仕方ないでしょ……」
鳳一郎が謝ることではないのに。
どうせ気になる本があったところで今日は借りられないので構わないが。
まだ雛子は学生証が無いので貸し出しカードを作るとしたら秋になってしまう。
それにしても職場で何度も通報したことがあると言っていただけあり、確かに鳳一郎は事情聴取の受け答えなどにも慣れていた。
ならばこんな面倒なことになるとは知っていたのでは。
「こうやって面倒なことになるの分かってても躊躇わないんだね、鳳一郎って」
「だってなぁ、知らない間に好き勝手にされてるのは誰でも腹立つモンだろ。バレても誤魔化せるし何でもないことだと思ってっからやるんだよ、それならいっそ大事になった方が良い」
鳳一郎は雛子でなく見ず知らずの少女相手でも助けの手を差し伸べる。
正義感も下心も無しに、当たり前のこととして。
「そりゃお前、俺は紳士だからよ」
真面目な表情を作ってそう言い切る。
「その方が格好良い」という意味や冗談半分もあれば、もう一つ含まれていた。
鳳一郎の父親がそういう人だったのだ。
紳士の精神を受け継ぐとは、そういうこと。
「じゃ、セキセイ寄ってくか?」
「そういう空気かな、今……気持ち切り替えるのは大事だと思うけど」
「何だよ、奢ってやろうってのに」
「……じゃ、行く」
気を遣われているのか、それとも単に空腹なのか分かりゃしない。
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