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15.リオンのこれから
しおりを挟む「…それで、リオンと言ったか。君はこれからどうするつもりだ?エリーゼちゃんの話だと色々大変そうな環境にいる様だが…」
サージェさんの問いにぽふん、と狼の姿から人間の姿になるリオンくん。
まだ狼の姿だと喋れないと言っていたからそれでだろう。
リオンくんはちらりと私を見てからサージェさんへと向き直る。
「僕は…確かに色々と問題はありますが、エリーゼさんに助けて頂いたこの身。これからは恩返しをさせて頂こうかと思っています。まぁ、エリーゼさんが宜しければ、ですけれど…」
そう言って不安そうに私の様子を伺ってくるリオンくん。
そんなリオンくんに、何故か今は存在しない…リオンくんのもふもふの狼の耳と尻尾が見えた気がした。
…うるうると“捨てないで”といわんばかりの表情ってどうなの?!
こんなの断るなんて無理でしょう!!
そもそも断る要素ないけれど!
もふもふと可愛いは正義…!
…うん。どう考えても断る選択肢は私にはなかった。
肩に乗ったままのジルも何も言わないから問題ないと言う事で。
寧ろ、眠そうにくぁっと欠伸をしている。可愛い。
「…それじゃあ、リオンくん。宜しくね?」
にこり、と笑みを浮かべて了承の意を示す。
とたんにぱぁあっ、と嬉しそうな表情になったリオンくんは私に向かって片膝を立てて跪いた。
…は?!!何で跪いたの?!
「……え?え?!リオンくん?!」
私は突然の事に慌てる事しか出来ない。
__なに?!この状況…!!!
慌てふためく私をよそにリオンくんは冷静なままにこり、と笑いながら手を差し出してくる。
「エリーゼさん、少し手を借りても?」
「え?あ、はい…!」
キャパオーバーした私は言われるがまま、右手をリオンくんの掌に乗せてしまう。
その様子に笑みを深くしたリオンくんは目を閉じ、重ねた私の手をそっと引き寄せると額へと付けた。
そして、言葉を紡ぐ。
「__我、リオンの名において、汝エリーゼを守る事をここに誓う__」
それは何かの呪文だったらしく、ぱぁっと虹色の綺麗な光がリオンくんと私を覆う。
暫くすると光は収まるが、私の身には特に変わった事はなかった。
「…リオンくん、今のは一体?」
訳が分からずエリーゼは首を傾げてしまう。
リオンくんは相変わらず笑みを浮かべたまま、手を離し立ち上がってから呪文の説明をしてくれた。
「…簡単に言うとね。少し離れていたとしても、エリーゼさんに危機が訪れると僕に伝わる、って呪文です」
「そんな魔法もあるの…?!凄い!…あれ?でも、魔力は大丈夫なの?」
今のリオンくんは魔力枯渇状態に近いはず。
「はい。これは魔力は殆ど使わないで済むものだから大丈夫ですよ。色々と制約はあるんですが」
保険は掛けて置かないと、とリオンくん。
「……ちょ、ちょっと良いか?」
知らない魔法に感心していると、 静かだったサージェさんのどこか戸惑いを含んだ声が私とリオンくんに掛けられた。
「…どうしたんですか?サージェさん」
「あぁ、その様子だと…やっぱりか。はぁ…エリーゼちゃん、取り敢えず依頼の報告は承ったから依頼完了だ。迅速に解決して貰った分、報酬は上乗せして置いたからな」
「あ。はい、分かりました」
「報酬はこの書面に記載してある金額になる。報酬の受け渡しは…明日の昼にまたギルドに来てくれ」
報酬が次の日なのは今回の依頼が本当に完遂されたのかをギルド関係者が確認する為で、確認方法は企業秘密らしい。
部屋から出るべくエリーゼが立ち上がると、サージェさんがリオンくんだけに待ったを掛けた。
「…リオン、は残ってくれるか?少し話がある。エリーゼちゃんはすまないが部屋の外で待っていてくれ」
「…分かりました。ではリオンくん、部屋の外で待っているね?」
リオンくんに話とは何だろう?と気にはしつつも大人しく部屋から退出したエリーゼは、リオンくんが出てくるまで廊下でジルを抱っこし可愛がるのであった。
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