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ただのリオンとして [sideリオン]
しおりを挟む逃げていて心から良かったと思えたのが、僕が魔術を扱うのに長けていた事と獣の時の姿が暗闇に溶け込みやすい黒色だった事だ。
お陰で何とか追っ手を撒く事に成功し、金貨を握らせ検問も無事突破する。
職務的にどうなのかと言いたい所だが今回ばかりは助かったので何も言えない。
国を出てからと言うもの、追っ手はないが呪いだけは次から次へと掛けられるのを傷の痛みに耐えながら少しは呪いを受けるも結界で防ぎ続けた。
ひたすらに走り続け、エリーゼさんに助けられたあの森にたどり着いた所で体力的にも限界が迫り、脚を止めて身体を少しでも休める事に専念した。
この森に来て何日経っただろうか。
結界を張り続け耐えていたが、ついに魔力も底を尽きそうになり、精神が弱った僕は心のどこかで諦めかけていた。
__あぁ、僕はここで生を終えるのだろうか、と。
その時、なけなしの魔力で張っていた結界が外部から誰かによって壊される。
__敵か味方か分からない。
痛む体に鞭打ち、近付いてくる二つの魔力を辿るとそれは人間と人間ではない者の魔力。
動く事の出来ない僕は、追っ手の者でない事を祈りながらじっと待っていた。
暫くして力なく開けた視界に入って来たのは、炎を纏った様な鬣を持つ凛々しい使い魔と一人の茶色の髪色を持つ美しい冒険者の女性、エリーゼさんだった。
彼女達の持つ雰囲気、そして言葉によって追っ手の者ではない事が分かり、安堵からか呪いと傷の痛みが増す。
そんな瀕死の状態の何者かも分からない僕に、エリーゼさんは迷わず癒しを施してくれた。
ふわり、と数日ぶりに体が軽くなっていく。
かけられた呪いも、傷も消えて僕は歓喜に震えた。
__あぁ、僕はまだ生きていて良いのか。
嬉しい、と感じるこの感情は一体いつぶりだろう。
まだ生きていて良いという事ならば、彼女に救われたこの命__
___僕の持てる全てで彼女を守ろう。
そう心に誓った。
貴族としての僕と、いつかは向き合わなければならない日が来るのは分かってるけれど…。
冒険者の僕…ただのリオンとして、自由に生きてみたいとも思ったんだ。
[sideリオン 了]
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