婚約破棄されたので、令嬢辞めてもふもふに生きますわ!

るてぃー

文字の大きさ
21 / 27

17.来訪者

しおりを挟む


ぼろぼろと涙を流すリオンくん。


末っ子の私は誰かを泣き止ませる方法を知らない。
もちろんだがお兄様達は泣かないし。


困った末に私はソファーから立ち上がり手にしていたクッキーをリオンくんの口に突っ込んでいた。


「…え、えりーふぇひゃん??」


もごもごとクッキーを租借しながら、ぱちくりと目を瞬かせるリオンくん。


…あ、良かった、泣き止んだみたい。


「……取り乱してすみませんでした。あとクッキー、美味しかったです」



「ううん、大丈夫だけど…リオンくんが突然泣いちゃうから私も慌てちゃって、」


くぅううう…!


……急にクッキー食べさせちゃってごめんね、と続け様としたらどこからか何かの鳴き声の様な可愛らしい音が聞こえた。

「リオンくん、今の何の音だろう、ね…?……リオンくん?」


リオンくんに目を向けるとうつむきながらお腹を押さえて恥ずかしそうにぷるぷるとしていた。

え?

え?!!

今の音、リオンくんのお腹の音だったの?!


「す、すみません…!久しぶりに食べ物を食べたので…」


…真っ赤になって恥ずかしそうにしているこの可愛い生物は何ですか?

抱き締めちゃ駄目かな?
いや駄目だって分かってるけど!

可愛いものは可愛いよね!
…リオンくん、可愛すぎて罪深い。


「…エ、エリーゼさん?」

リオンくんに名前を呼ばれてハッと我に返る。
リオンくんの可愛さに脳内フリーズしかけた。危ない危ない。

ぶんぶんと顔を振ってから、お腹を空かせているリオンくんにマジックバックからサンドイッチが入ったバスケットを取り出し差し出す。

「リオンくん、これ食べて!もっと欲しかったら遠慮なく言ってね?まだまだあるから!」

「え?…あ、ありがとうございます。でも今どこから…?え?」

「それは後で話すから今はたくさん食べて!はい、ここに座って!」

「は、はい…!」

お腹を空かせている可愛いリオンくんを放っておくなんて出来ない…!

私は先程までジルと座っていたソファーへとリオンくんを誘導し、リオンくんのお食事タイムとしたのだった。


____


「美味しかったです…エリーゼさんありがとうございました」

「どういたしまして」

『私もクッキーたくさん食べる事が出来て満足です』

にっこりとお礼を言うリオンくんに続いて、私の膝の上でひたすらにクッキーを食べていたジルも満足そうに丸まっている。

ここはギルドなのになんだろうこの幸せ空間。頬がついついゆるんでしまう。


無事空っぽになったバスケットをしまい込みながら、リオンくんに好きな食べ物を聞いて買い出しでもしようかな、と考えていたら…


「あの!すみません。エリーゼ様でお間違えないでしょうか?」

「え?あ、はい…そうですが」


足早にやって来たギルド職員の女性に声を掛けられた。


「エリーゼ様に来客です。…ギルド内にまだいて下さって助かりました」

「…私に来客、ですか?」


私に来客?一体誰が?
ここに知り合いという知り合いはいないし。
家族の誰かならギルドで呼び出ししないはず。

全く心当たりのない来客。

ご案内しますので着いてきて下さい、と言われて来た所は、多分ギルドの応接室か何かで一番良い部屋の前。

どう見てもこの部屋の扉だけ格が違い、豪華な造りになっていたからだ。

ギルド職員さんに尋ねたらリオンくんも一緒に入室して良いらしい。


「…エリーゼ様をお連れ致しました」

『どうぞ』


そう言って開け放たれた部屋の大きなソファーに一人腰掛けていた人物と目がかち合う。

「……え?」


その顔を見て私は、わたくしは固まった。


__髪の毛、瞳の色は私の記憶とは違う。

けれど幼少の頃から見知った“彼”を見間違える訳がない。

…端正な顔付きでこの国の女性達を虜にする(らしい)、甘さを含んだ笑み。
“彼”はいつもの呼び方でわたくしの名前を呼んだ。


「…やあ、リーゼ。久しぶりだね」


どうして?!こんな所に貴方がいるのでしょうか…?!!


「…お久しぶりです。グレン様」



脳内の混乱を押し込めてエリーゼはこれまた久しぶりの淑女の礼を目の前にいる、この国の第三王子・グレンにしたのだった。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

処理中です...