女の子だと思っていた幼馴染みが、イケメン王子になっていました。

紅林オト

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エピローグ.今度は隣で

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「すみません、せっかく入ったのにマネージャーを減らしてしまって」
 頭を下げる俺に、森田先輩と奥村さんは微笑んだ。
「いいのよ。事情は色々聞いているから。復帰できそうでよかった」
「ま,少しはマネージャーのことも気にしてくれたら嬉しいけど」
「もちろん。重い物を運ぶときは手伝うんで、声かけてください」
 クラスマッチから一週間後。俺はマネージャーを辞めることを決意した。辞めて――今日からは選手になる。
 試合のトラウマを克服した後、俺は改めて今後どうするかを考えた。悠理にも相談に乗ってもらい、やっぱりサッカーをやりたいと結論を出した俺は、サトセンに選手にさせてくれと頭を下げに行った。
「クラスマッチ見てたらそうくると思ってたぞ。俺的には大歓迎だ」
 快く頷いてくれたサトセンには感謝しかない。
 家で父さんと母さんにも選手に戻ると報告をすると、二人は涙を流しながら「よかった」と言ってくれた。今着ている灰色の半袖ジャージに黒いショートパンツは、復帰祝いにと二人が買ってくれたものだった。
 コート脇でもう一度、愛用の黄色いスパイクの靴紐を結び直す。ただそれだけで戻ってきたという感じがした。今日からはコートの外ではなく、コートの内側が俺の居場所になる。
「ハル、早く! もうミーティング始まるよ!」
 顔を上げると、悠理がコートの中心で大きく手招きをしていた。俺はふっと微笑んで、悠理の元へと駆けていく。
「ごめん、待たせて」
「全然いいって」
 悠理と俺は恋人同士になっていた。けれど部活ではそういう雰囲気は出さないようにしようと決めていた。練習や部活の雰囲気を壊したくはなかったからだ。
 とはいえ関係自体を秘密にしているわけではなく、山本や有岡を始めとする数人は俺たちが付き合っていることを知っている。知っても変わらない態度で接してくれる彼らが、俺にはとてもありがたかった。
 ピピッとサトセンが笛を吹く。ミーティングが始まる合図だ。
 サッカー部の選手としての始まりが――すぐそこまでやってきている。
 ごくりと喉が小さくなった。身体が僅かに硬くなる。それでも勇気を振りしぼり、一歩前へと踏み出した。
 そんな俺の隣で、悠理がそっと微笑んでくれた。
 昔は俺が手を引いていた。
 最近までは彼に手を引かれていた。
 けれどこれからは、二人で並んで進んで行きたい。
 きっとこの先も、たくさん苦しいことがあるだろう。中学時代のトラウマ以上に、辛いことが起こるかもしれない。
 それでも悠理とならチームメイトとして――恋人として。お互いに支え合っていけると思うから。
「いっぱい楽しもうな、ハル」
「悠理と一緒なら絶対楽しくなる気がする」
 二人並んで、コートを駆けていく。
 広がる空は、青く澄みきっていた。
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