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【 第3話: 冷凍少女 】

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 その老人の話を聞いてから、自分のアパートへ『この木箱』を持ち帰った。
 あの老人に言われるがまま……。

 その老人の名は、『西園寺さいおんじ』という。
 いかにも、お金を持っていそうな名前だ。

 部屋の中へその木箱を運び入れると、荷を解き、上の木の蓋を開ける。
 大きさは70cm四方くらいか。

 梱包材を取り除くと、大きなビニールに入った冷たい黒い塊がある。
 その大きな塊を木箱から出し、ビニールを開け、黒い包みをゆっくりと開いてみる。

 何やら、表面が白く凍った髪のようなものが覗いた。
 恐る恐る黒い包みをゆっくり剥がしてみる……。
 するとそこには……、

 あの老人『西園寺』さんが言っていた通り、


 『凍った少女』が入っていた……。


 彼女は膝を抱えた状態で凍っている。
 髪は長く、少しアッシュの入ったダークブラウン、服装は肩にフリルの付いたライトブルーのワンピースを着ているよう。
 靴は履いておらず裸足はだしのままで、肌は少し青白い感じに見える。
 顔を下に向け、目も口も閉じている状態。

 全体を見る限り、とても幼い印象。
 西園寺さんが言うには、彼女は16歳だそうだ。

 しばらくすると、床が濡れ始めた。
 彼女の体が融け始めている証拠だ。

(僕はこの先、どうしたらいい……。
 あの西園寺さんが言うことが、もし本当だとしたら……)

 そんなことを考えていると、突然、彼女の体が『ピクッ』と動き始めた。

 僕は慌てて干してあったバスタオルを取りにベランダへ走る。
 戻ってくると、彼女は、すでに床に倒れるように横になっていた。

 濡れた彼女の体を持ってきたバスタオルで懸命に拭く。
 とても一枚では足りない。ハンドタオルも何枚か持ってきてしずくをやさしく拭き取る。
 彼女の肌に少し触れると、彼女の体はとても冷たかった。

 髪もビッショリ濡れているよう。
 僕はドライヤーを持ってくると、彼女の髪を乾かそうとスイッチを入れた。

『ブワァーッ』

「あ、熱い……」

 彼女は僕の目の前で、初めてそうしゃべったんだ……。


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