5 / 14
【 第3話: 冷凍少女 】
しおりを挟むその老人の話を聞いてから、自分のアパートへ『この木箱』を持ち帰った。
あの老人に言われるがまま……。
その老人の名は、『西園寺』という。
いかにも、お金を持っていそうな名前だ。
部屋の中へその木箱を運び入れると、荷を解き、上の木の蓋を開ける。
大きさは70cm四方くらいか。
梱包材を取り除くと、大きなビニールに入った冷たい黒い塊がある。
その大きな塊を木箱から出し、ビニールを開け、黒い包みをゆっくりと開いてみる。
何やら、表面が白く凍った髪のようなものが覗いた。
恐る恐る黒い包みをゆっくり剥がしてみる……。
するとそこには……、
あの老人『西園寺』さんが言っていた通り、
『凍った少女』が入っていた……。
彼女は膝を抱えた状態で凍っている。
髪は長く、少しアッシュの入ったダークブラウン、服装は肩にフリルの付いたライトブルーのワンピースを着ているよう。
靴は履いておらず裸足のままで、肌は少し青白い感じに見える。
顔を下に向け、目も口も閉じている状態。
全体を見る限り、とても幼い印象。
西園寺さんが言うには、彼女は16歳だそうだ。
しばらくすると、床が濡れ始めた。
彼女の体が融け始めている証拠だ。
(僕はこの先、どうしたらいい……。
あの西園寺さんが言うことが、もし本当だとしたら……)
そんなことを考えていると、突然、彼女の体が『ピクッ』と動き始めた。
僕は慌てて干してあったバスタオルを取りにベランダへ走る。
戻ってくると、彼女は、すでに床に倒れるように横になっていた。
濡れた彼女の体を持ってきたバスタオルで懸命に拭く。
とても一枚では足りない。ハンドタオルも何枚か持ってきて雫をやさしく拭き取る。
彼女の肌に少し触れると、彼女の体はとても冷たかった。
髪もビッショリ濡れているよう。
僕はドライヤーを持ってくると、彼女の髪を乾かそうとスイッチを入れた。
『ブワァーッ』
「あ、熱い……」
彼女は僕の目の前で、初めてそうしゃべったんだ……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる