ニヤ国のサイキック・ヴァンパイア ～カプッとしちゃうぞ♪～

■第７章： 雪上決戦！

【 第６話： いざ決戦へ！ 】

　ヤーシブの隊列は、約２千人。
　馬に乗った騎士たち、その後ろを歩く歩兵たち、いくつかの馬車に様々な武器が乗っているようだ。
　前の列の一番大きな強そうな黒い馬に乗っているのが、エイト公だ。

　彼の身に纏っている白銀の鎧は、俺の黄金の鎧より数段スリムでかっこいい……。
　しかも、イケメンのエイト公にとても似合っている。

　エイト公は、遠くからでも俺の姿が分かったようだ。
　顔はどことなく、ニヤついている気がする。

『ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……』

「ふふっ、愚かなヤツめ」

『ヒヒ～ンッ！』

　エイト公は、隊列を止め、見張り台の俺に向かってこう言った。

「やあやあ我こそは、ヤーシブ国の王子、『エイト公』なり！　ニヤ国を滅ぼすために、ここに来た！」

「エイト公！　最後にもう一度だけ考え直しては、もらえないか！」
「ふふっ。ならば、ミャー姫を捧げよ！」

　エイト公の考えていることは分かっている……。
　ミャーを捧げても、ヤツは必ずニヤ国を滅ぼしにかかるだろう……。

「それは、断る！」
「ならば、決まりだ！！　賽さいは投げられた！！　いざ、決戦だ！！　皆の者、攻撃せよ！！」

『（ワーーーーッ！！）』

　エイト公の合図と共に、俺のいる見張り台に、一斉にヤーシブたちの弓矢が放たれた。

『ヒュン、ヒュン、カンッ、カンッ、ヒュン……』

　俺の黄金の鎧は、弓矢の貫通は防げていた。
　しかし、このまま攻撃をされ続ければ、いずれこの鎧も役に立たなくなるだろう……。

「タロー様！！　あの作戦はまだですか！？」

「グリフ、まだだ！！　まだ、全員城の前に来ていない！！」

『ヒュン、ヒュン、カンッ、カンッ、カンッ、ヒュン、カンッ……』

　無数の矢が俺の鎧を襲う。
　何百という兵士の放つ弓矢が、一斉に俺に襲いかかってくる。

『ヒュン、グワンッ、カンッ、ヒュン、グワサッ！！』

「ああぁーーーーっ！！」

　矢の一つが俺の鎧の隙間から入り込んできたのだ。

「タ、タロー様ぁーーーーっ！！」