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【 2015年9月27日 午後6時 】
しおりを挟む「この鐘は、夕方6時に鳴らす『昏鐘』時。『暮れ六つ』撞かれることにより、念じた日に時を戻してくれる。
但し、過去へ行けるのは、1回のみ。
戻れる時間も、この鐘の振動が完全に鳴り止む1時間だけ。
もし、あなたが過去を変えた場合、戻って来た時にどうなっているかは分からない。
自分が存在しなくなる可能性もあります。
それでも、あなたはその日に戻りたいですか?」
正直、初めは何を言っているんだろうと思った。
しかし、話を聞いているうちに、彼への気持ちが抑えられなくなり、一か八かこのお坊さんの言っていることを信じてみようと思うようになった。
時は、6時を迎えようとしている。
「はい、戻りたいです。あの日に戻って、彼を救いたいです」
そのお坊さんは、また笑顔で「分かりました」といいながら、私に白い耳栓を渡し、耳にするように言った。
そして、鐘の中に入るように促すと、私は恐る恐る釣鐘の中へ体を入れた。
「目を閉じ、両手を合わせ祈りなさい。あなたの戻りたい時間を強く念じるのです。然すれば、きっと願いが叶いますよ」
私は目を瞑り、両手を合わせ祈った。
あの日、あの噴火の直前、9月27日の午前11時に戻りたいと……。
お坊さんは、橦木を大きく振って鐘を撞いた。
『ゴォーーン……』
低く重い音と共に、凄い振動が体中を響かせた。
足、手、心臓、頭、全ての肉体がこの鐘の振動で震える。
まるでそれは、体が異世界へと導かれるように、肉体がバラバラになり時空を飛び越えるように、脳の中の思考も段々と薄れて行く。
一つ、二つ、三つと鐘が撞かれる度に、意識は薄れて行き、やがて鐘の数も数えられなくなっていた……。
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