恋愛 出会いから婚約まで

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王宮主催のパーティー

 仕事が休みで侍女の自室で休んでいると、ドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
「ちょっと、失礼するよ」
そう言って入ってきたのは祖父だった。
「あれー、どうしたのおじいちゃん」
「今日は休みだと聞いたが、あいつとは会っていないのか」
「えっ、今日、彼は討伐部隊に駆り出されて王宮にいないの」
「ふーん、そうか。ところでこんなものを持ってきたんだが」
「何、おじいちゃん」
私は綺麗な封筒を受け取った。それは王家主催のパーティーの招待状だった。それも二通。「あいつにも渡しておいてくれ、当日はなるべく人中で過ごすように、できればあいつといてくれればいいのだが・・王家主催ともなると一緒にいるのは難しくなるからのう。一人にだけはならないように」
祖父は真剣な表情でそう言うとさらに続けた
「それでどうなんだ。あいつとは仲良くやっとるのか」
祖父はそう言いながら私に頭を撫でた。私は照れながら
「いつもと変わらず仲良くしているわ。でも、そろそろ周囲に隠しておくのが難しくなってきて・・」
私が困ったように言うと
「大丈夫だ、もう少しの辛抱だ。策はあると言っただろ。まぁ、じいちゃんに任せておけ」
そう言うと私の頭をまた撫でると足早におじいちゃんは帰っていった。
次の日の夕方、ドラガル様が厩舎に向かう時間に厩舎に行ってみるとドラゴをブラッシングしているドラガル様がいた。
「ドラガル様、お疲れ様です」
「エリーゼ、さっき戻った。思った以上に手間取ってしまった」
何でも街のはずれに盗賊が出て街への荷物が狙われ被害が大きくなってきたため、討伐部隊に助っ人として駆り出されたのだ。
「大丈夫だったんですか、怪我はないですか」
「あぁ、大丈夫だ。かなりの人数で荷物を狙ってきて、計画もかなり周到だったから時間を要したが・・そう言えば・・こちらの情報が洩れている・・」
そう言ってドラガル様はしばし沈黙され何か考えているようだった。
「そうそうドラガル様。昨日おじいちゃんが来てこれをドラガル様にって渡していったの。王宮主催のパーティーの招待状」
私は、ドラガル様に招待状を手渡した。
「その時におじいちゃんが私になるべく一人になるなみたいなことを言っていたわ。おじいちゃんが私にそんなことを言うのが珍しくて・・おじいちゃんは私が剣と護身術がどれぐらいできるか知っているのに・・」
私が苦笑いしながらそう言うと
「いや、そう言うだけの理由が何かあるはずだ。当日は気を抜かないように、俺もなるべくエリーゼから目を離さないようにしておくが・・傍についておくことができればいいのだが王宮主催ともなれば一緒にいるのは難しいだろう」
ドラガル様は悔しそうに言われた。
「わかった。気を付けておく」
そう言うと私は仕事があったので夜勤前の仮眠のために侍女の自室へと戻った。
次の休暇は、王家主催のパーティーの準備のために屋敷に戻った。屋敷の戻ると私が王家主催のパーティーに参加することは誰もが知っており、何も言わなくても次から次へと準備が行われた。屋敷には祖父もいて、私がドレスを何色にするか悩んでいると
「エリーゼは赤が似合うから赤にしよう。よく目立った方がいい」
と珍しく助言をしてきた。私はドラガル様とお揃いになるようなドレスがよかったため祖父の意見に賛成した。
「おじいちゃんがそう言うなら赤にするわ。目立ち過ぎたらどうしましょう」
「はははー。公爵家令嬢が他の令嬢に負けてもらっては困る。まぁ、お前が着飾って困る奴は一人ぐらいしかいないだろう。はははー」
祖父は笑いながら部屋から出ていった。ドレスは赤で腰から裾にかけて金糸を使用した花の刺繍が散りばめられるデザインで動きやすいよう布は少なめにした。上半身は首にかけるデザインとし胸元は開かないタイプにした。このデザインもなぜだか一部祖父の意見が採用されている。
髪は後ろで結い上げる予定だが今度は前回と違いボリュームを出し後ろからも目立つようにした。当日のエスコートは祖父がしてくれることになっている。本当はドラガル様がよかったのだが身分が違いすぎるため申し込めなかった。

そうして、パーティー当日。
私は赤のドレスに身を包むと祖父のエスコートで会場入りをした。受付が終わると名前を読み上げられ会場へと入っていく。私が挨拶を終えると周囲の視線が痛かった。社交界デビュー以外おおやけの場に出ることがなかったためかなりの人が正装した私を見るのが初めてだったからだ。
「エドワード様にこんなお綺麗なお孫さんがおられたとは驚きました」
そう言いながら多くの人が挨拶にきた。私は一人一人に丁寧に挨拶していった。一生分の笑顔を出し切ったぐらいの愛想を振り撒いて・・ので一時間も経たない間に疲労がピークになった。
「エリーゼ、疲れただろう。そろそろソファーに腰かけて休んでおかないとこの後のダンスがつらいぞ」
祖父が小声でそう言ってくれたので、部屋の片隅にあるソファーに目立たないように移動し腰かけた。図便では目立たないように移動したつもりだったが、なんせ赤色のドレスであるどんなに離れていても一目瞭然である。公爵令嬢である私が祖父から離れ一人になったタイミングを世の男性が見逃すはずもなく・・また多くの男性に囲まれてしまった。
「ご令嬢、少しお時間よろしいでしょうか」
あぁ、やっぱりこうなるのよねぇと思いながら、私は祖父と打ち合わせしていた通り
「今、祖父に大事な話があるから一人で待つように言われていますの。申し訳ありませんが一人にしていただけとの助かるのですが・・」
と本当に困ります感を出しながらそう言った。すると、男性たちは揃って祖父の方を見た。すると祖父がこちらに向かって笑いかけてきた。ちょっと威圧するような感じで・・すると男性たちは
「じゃあ、お話が終わったころに伺います」
と言いその場を離れていった。祖父は流石である。そうして、しばしの休息を満喫していると、ソファー横の壁に一人の男性が壁にもたれるように腕組みしながら立った。私が横目で見ると騎士の正装をしたドラガル様だった。今日は前髪を後ろに撫で上げ青を基調とした騎士正装服に身を包んでいた。やっぱり騎士の正装はかっこいい、ドラガル様が着ているとさらにである。私がちらっとドラガル様の方に目をやると、周囲に気付かれないように腕組みしている指先を挙げられた。今日は彼も招待客のはずだが見ていると騎士の仕事を隠れてしているように感じられる。相変わらず周囲の令嬢はドラガル様の傷を見ると何やら囁いていたが・・一部の令嬢は違ってドラガル様に声を掛けようか迷っているようでもあった。ドラガル様と何度か一緒にパーティーに出席するようになってから前髪を下ろして私に微笑みかけているドラガル様のかっこよさに一部の令嬢が気付いてしまったのだ。身分が上の令嬢は、ドラガル様が男爵家であるため声はかけられないが身分が下になってくると話は違ってくる。女性の方の身分が上になってくると相手の家に圧力をかけ、結婚に持ち込むことができるのだ。しかし、前髪を撫で上げ腕組みをしているドラガル様に誰が声を掛けることができるだろう。ドラガル様には申し訳ないが傷があってよかったとエリーゼは心の中で思っていた。ドラガル様は暇だといわん態度でずっとそこに立っておられた。そうしてしばらく一緒の時を過ごしていると祖父が私の元にやって小声でドラガル様に
「どうだ、エリーゼは綺麗だろう。このホールの男たちはみんなエリーゼに夢中でどうしてものにしようか考えておるぞ。嫉妬のし過ぎでおかしくなりそうだろう。しっかりエリーゼを守っておれよ。わしが信用しとるのはお前だけだからのう」
そう言うと私の手を引いた。あぁ、第二ラウンドが始まるのねぇ。私は諦め立ち上がった。
背中に突き刺さるようなドラガル様の視線を感じながら・・
「エリーゼ一曲踊ろうか」
祖父と踊ると次から次へとダンスの申し込みがあった。私は疲れた体にムチ打ちながら時々休憩を挟みつつ十曲ほど踊った。そこで演奏が変わり談笑時間になった。私はダンス前に座っていたソファー戻り腰を下ろした。横にはこれ以上声を掛けられないようにと祖父が座ってくれていた。もちろんドラガル様もソファーの横の壁にもたれたままだ。すると祖父が小声で再びドラガル様に声を掛けた
「おい、どうだ。お前も疲れただろう。嫉妬で」
と嬉しそうに。私が横目で確認すると、ドラガル様は顔色を変えず前を向いたまま無視を決め込んでおられたが・・こめかみのあたりがピクリとなるのがわかった。あぁ、おじいちゃんは人を煽るのが好きねぇ、困ったものだわっと私が思っていると一人の侍女が飲み物を持って現れた。
「お嬢様、お飲み物はいかがですか」
その侍女は他の令嬢にも飲み物を配っており、口にした令嬢たちに変化はないようだったので喉が渇いていた私はいただくことにした。
「ありがとう。いただくわ」
そう言いグラスを受け取り、ひとくち口にした。一瞬味に違和感を覚えたが気のせいと思いもうひとくち口にした。しばらくソファーに座り休んでいたが、ふいに頭を動かした時急に眩暈を覚えた。私は多くの人とのダンスが体にこえたのだろうと思い、休憩室でしばらく休むことにした。
「おじいちゃん、やっぱり疲れたみたい。ちょっと休憩室でしばらく休んできてもいいかなぁ」
「おぉそうか。あんだけ相手をしたら疲れるのう。しばらく休んでおいで」
私が立ち上がり祖父と話していると
「どうかされましたか」
と傍にいた侍女が声を掛けてきた
「ちょっとダンスで疲れたので休憩室で休もうと思って」
「それでは私が休憩室までお送りしましょうか」
と他の給仕をしていた侍女が声を掛けてきた。休憩室は男女別になっているため侍女の方が都合がいいと思ったためお願いすることにした。
「じゃあ、お願いするわ」
私がそう言うと侍女は私の手を引きホールを後にした。休憩室へと歩いていると侍女が
「ダンスの疲れもあるでしょうけど、多くの人がおられたのでひとあたりをされたのでは・・よければそこに庭がありますのでそちらで風にあたられた方が楽になるのではないでしょうか」
と言ってきた。私は侍女の言葉に納得し侍女のすすめる中庭で休むことにした。そこはホールからそれほど離れてはいないが周囲を壁で囲まれているためあまり音が聞こえず静かだった。庭には小さな噴水がありその前にベンチがひとつあった。侍女はそのベンチに私を座らせると傍に控えていた。私がベンチにもたれ休んでいると、数人の覆面をした男たちが現れた。私が驚いて立ち上がると傍で控えていた侍女が私の腕を掴んできた。私は侍女が安全な所へ誘導してくれると思い彼女を見たが違った。
「早く言われた部屋に連れていきましょう」
彼女も私に危害を加えようとしている仲間の一人だったのだ。
「誰かー誰かー」
私は大きな声で叫んだが、周囲の壁に塞がれ声は誰にも届かず、誰も助けには来る気配はなかった。私は自分で何とかするしかないと思い、侍女の腕を掴み返すと捻り上げ地面へと押し倒した。しかし、私の周囲は男性に囲まれており身動きできない状況に全く変わりはなかった。私は一人でも多く敵の動きを封じる方が得策と考え、押し倒した侍女の肩を外して痛みで身動きができないようにしてから立ち上がりドレスの下から短刀を取り出した。それを見た男たちはそれぞれ剣を抜くと
「少々怪我を負わすことになっても仕方がない。ここから連れ去り部屋に連れていくぞ」
と言い一斉に私に襲い掛かってきた。私は男たちの剣をかわしながら一人の男性を短刀で倒し剣を奪い取った。そこから一人ずつ確実に倒していくようただひたすら剣を振って戦い続けた。しかし、覆面の男性たちは一人一人が腕が立ちなかなか思うように倒すことができなかった。そうしてしばらく攻防が続き何とか二人の動きを封じることができたが・・やはり多勢に無勢である。ドレスを着て戦う私の体力はもうすでに限界にきていた。私がどうしようか考えていると
「エリーゼ!」
後ろからドラガル様の声がした。
「お前たち俺のエリーゼになんてことを!」
そう言うとドラガル様は走ってくるなり私の前の男に切りかかった。その時さらに後ろから
「ドラガル!殺してはならぬ」
と祖父の声がした。ドラガル様は舌打ちをすると動きを封じる程度に切りつけた。そこからの時間は驚くほど早かった。私の前の男を切りつけたと思った瞬間、次の男の前に移動し切りつけ、そのまま次の男へと間髪入れずに切りかかっていった。そうして私が数回瞬きをしている間に六人ほどいた男たちは地面へと倒れていたのだ。
「エリーゼ、大丈夫か、怪我はないか」
とドラガル様は息も切らさず声を掛けてきたのだ。私はドラガル様の強さに呆気にとられ反応するのを忘れてしまっていた。すると
「ドラガル、急げ」
そう再び後ろから声がかかり、ドラガル様は躊躇なく私を抱き上げると
「走るから俺の首に掴まってろ」
と言った。私は恥ずかしかったがそんなことを言っている場合ではなかったのでドラガル様の首に掴まった。ドラガル様はその後何も言わずに私を抱えながら祖父の後を追いかけた。その走りはまるで何も持っていないかのような走りで息も上がることもないまま後追いかけて走っていた。私は落ちないようにドラガル様の首に掴まっていた。そうして、しばらく廊下を走り人通りの少ない階へと移動すると、ひとつの部屋の前で中の様子を伺う人物がいた。なんと騎士様だ。騎士様は口の前に指を立てると中の様子を伺うようにドアに耳を当てた。ドラガル様は私を下ろすと同じようにドアに耳を当てたので私も同じように耳を当て中の様子を伺った。
中からは・・
「大変です。失敗しました。あの令嬢只者ではなく、剣が使えまして・・」
「何を言っている!相手は公爵令嬢だぞ、そんなわけがあるか!お前たちは間違った令嬢を攫おうとしたのではないか!俺は公爵令嬢のエリーゼを攫って来いと赤いドレスを着た令嬢だと言っただろうが早くしないと薬の効果が弱まって既成事実どころではなくなる!」
「言われた通りそうしました。でも失敗したんです。早くここから逃げないとあいつらがこのことを言ってしまったら・・」
「はぁ、そんなわけないだろう。あいつらは俺に逆らうことはできん。お前もそうだろう」
「もう許してください、これまでから言うことを聞いてきたではないですか。早く娘に会わせてください。もう半年以上になるんですよ・・あぁ」
ついに男は泣き出した。
「もういい、出ていけ」
私たちはドアから耳を離した。すると祖父たちは
「はいはい、仲間割れはそれぐらいでおしまいにしてもらおうか」
と言いながら中へと入っていった。
「今の話は、全部聞かせてもらったよ。ねぇ、陛下」
「えっ」
私とドラガルは部屋へと続くもう一つのドアを見て驚いた。
「やはりワイシャル家だったか、はぁ」
そこには国王陛下が立っており溜息を吐かれた。
「以前から動きが怪しいと思い調査していてよかったのう。よくもわしの可愛い孫娘を危険な目にあわせてくれた。どう処分してやろうか。皇太子・陛下の命も狙った不届きものだこのまま野放しにはできんのう」
「そうじゃのう。ゆくゆくはわしの孫にもなるエリーゼによくもひどいことをしたものだ。わしも許せん。陛下どうします」
えっいいの。今の問いかけ?私が思ったようにドラガル様も思ったみたいで驚きの表情になっていた。
「そうじゃなぁ、お前たちの可愛い孫娘は、わしの孫娘みたいなものだから打ち首にするか」
そう陛下が言うと祖父たちもうんうんと頷いていた。その時後ろから声がした。
「私の息子が何かしでかしたのでしょうか」
おとなしそうな中年男性が中へと入ってきた。すると
「おぉ、本当の黒幕のお出ましじゃ」
騎士様は不敵な笑みを浮かべながら振り返った。
「息子が何かしたのか」
男はさらに問い掛けてきた。
「お前の息子はわしの孫娘を手籠めにしようとしたのだ」
それを聞いた中年男性は、男の元に駆け寄り問い詰めた。
「そんな。おい、どうしてそんなことをしようとしたんだ」
「だって、父上がバルシャール公爵令嬢と縁ができれば政治がしやすくなるって話していたから・・父上の秘書に相談としたら既成事実があれば何も相手は言えなくなるって・・だから屋敷で働いていた奴らに連れてくるように言ったんだ」
「お前はそんなふうに理解してしまったのか。こんなことはしてはいけない。私の言い方が悪かったんだなぁ。こんなことをお前にさせてしまって本当に悪かった。父を許してくれ」
そこまで静かに聞いていた祖父が
「はいはい。芝居はもういいですよ。もう証拠は挙がっているんですから。なんなら全部お見せしましょうか。まぁあまりに莫大過ぎてここに持ってくるだけでも一苦労ですけど」
祖父はそう言うと不敵な笑みを浮かべながらさらに続けた。
「皇太子を熊に襲わせたのも陛下の寝室に暗殺者を送り込んでいたこともそうして自身の妾に産ませた息子にわしの孫娘を襲わせたことも・・全て。本当にあくどい奴だ。使用する者の家族を人質に言うことを聞かせるとか・・」
男の顔から一気に血の気が引いていった。
「何のことをいっているのか。よくわからんが・・」
「じゃあ、もっと詳しく説明しよう」
「これはお前の秘書が猟師を脅してさせていたと猟師本人から聞いたことだが、皇太子に森で鹿狩りをする予定が持ち上がった時、お前は森の下調べをかって出て森の安全について報告書を上に提出していたなぁ。しかし、実際は熊が潜んでいる森で・・それも親子連れの熊がいる。皇太子が狩りに出る数時間前に子熊を殺して親熊を手負いにし、皇太子の鞍に子熊のにおいを染み込ませた布を忍ばせ親熊が襲い掛かるよう手配していたと、そしていざ皇太子が狩りに出た時、護衛騎士を引き離すよう傍でわざと事件を起こし注意を引き付け護衛がドラガル一人になったところを襲わせたのだ。その時の布を処分したつもりだったみたいだがわしの手のものが事前に見つけすり替えたので証拠としてわしの手元にある。襲撃を裏付ける証拠だからな。もっと説明がいるか」
「そんなことがあったのか。わしの秘書がなんてことを・・」
「おいおい、まだとぼけるのか。まぁ熊による襲撃は予測できなかったから、証拠もまぁ少ないが、陛下暗殺はそのようにはいかんぞ。そう、予測しておったからのう」
祖父はそこで不敵な笑みを浮かべた。
「おい、ここへ連れてこい」
祖父がそう声を掛けると
騎士が二人の男と女を連れてきた。男はそのものたちの顔を見るなりすぐに目をそらした。
「ほーら、よく知ってるだろ。一人は秘書で一人はお前の屋敷に仕えている侍女だ。侍女と言ってもお前が無理やり手籠めにした侍女だからなぁ・・何も言わんのか。なら、お前と秘書が自室で話しているのをこの侍女が逐一報告してくれた。お前たちが破り捨てた書類もな。まぁ間諜は他にもおるからのう。まだまだ証拠はあるぞ」
男はその場に項垂れた
「陛下どうする?」
「そうじゃのう。やはり、こ奴も打ち首にするか。子どもが打ち首で親が流刑では子どもが可哀そうじゃろう」
陛下は表情を変えずそう言い捨て右手を挙げた。すると部屋に控えていた騎士が男たちを連れて行った。私とドラガル様は状況が理解できず呆気にとられその光景を見ていた。すると急にドラガル様が私の方を向くと何も言わずに私を強く抱き締めてきた。
「えっ」
「エリーゼ、無事でよかった。エリーゼが男たちに囲まれている姿を見た時は心臓が止まるかと思った。よかった本当に無事で」
そう言うと今度は私の肩に手を置き私を引き離すと
「どこも怪我はしていないか」
と体を調べだした。私が慌てて
「ドラガル様が助けてくれたので大丈夫です。でも実戦はしたことがなかったので疲れました」
と言うとドラガル様はいつもの優しい笑顔で私のことを見つめた。そうして私たちが見つめあっていると横からの突き刺さるような視線を感じた。
「いい加減、イチャイチャするのは止めてほしいのだが・・」
騎士様がそう言いながら祖父の方を見た。
「そうだ、陛下の前だぞ。陛下も困るだろう」
すると
「まぁ、よいではないか。若者の恋愛はいいのう初心で」
と陛下は微笑ながらそう言われた。
「お前は変わらんのう。昔から色恋が好きだったのう」
祖父のその発言を聞いて、
「おじいちゃん!国王陛下にそんな口をきくのはよくないわよ」
私が注意すると
「別にいいんだ。他に誰もおらんから」
「別にいいんじゃよ。わしらは悪友じゃから」
陛下はまた微笑まれた。ええー、陛下もおじいちゃんの悪友なの!私は眩暈を覚えた。
それから私たちは祖父たちにあてがわれている部屋へと場所を移した。そこでなんと陛下と共にお茶を飲みながらの談笑となったのだ。
「だから、わしたちは学友なのだ。だから人前では畏まっているが三人でいる時はこんな感じで話しておる」
祖父はそう言って二人を見た。二人も嬉しそうに目を合わせていた。
それから祖父はが今までの事の成り行きを話してくれた。
話はこうだ・・
以前から王家に反感を抱いている貴族がいることは知っていたが誰が首謀となって噂などを流しているか突き止めることができずにいたと。そんな時筆頭護衛騎士をしていた騎士様が田舎でのんびり過ごすと言い出した。しかし王宮内で不穏な空気が流れているこの時期に騎士様が辞めるのはよくないという話にもなったが敵を誘いだすにはもってこいの話題でもあったので表向きは辞めることにして、実際は国王陛下の専属護衛騎士をすることになったという。しかし週末の二日間の休みだけは譲れないと週休二日での勤務をしていたと。よくよく考えると騎士様は週末だけ私の屋敷に来ていたのだ。私の専属騎士と言っても私は幼く屋敷にいるときに襲われる心配なんてなかったからだ。その頃私の祖父は軍事指揮官をしていたが息子にその地位を譲り隠居生活を送るという表向きの理由で仕事を辞めた。実際は首謀となっている貴族を見つけるための策を練るために・・そうしている時皇太子襲撃が起こったのだ。動き始めてすぐの襲撃であったため事前に把握することができず結果、ドラガル様が怪我をしてしまうことになったことが未だに悔いが残っていると。ドラガル様が皇太子を庇って熊に襲われ怪我を負った時の騎士様の怒りようはもう半端なく周囲の誰かが殺されてしまうのではと思うほどだったと。そもそも皇太子の警護は騎士様がドラガル様の腕を見込んでの配置であったが、子熊を殺された母熊の怒りを護衛騎士一人で立ち向かうのは自殺行為レベルだったが、剣が立つドラガル様だったので何とか怪我程度で済み皇太子を守ることができたと。今から考えると怪我ぐらいで済んでよかったと本当に思える。さっき助けてもらった時の剣術の腕前を見たから思うのだが、その時にドラガル様がいなければ皇太子の命が今頃はなかっただろう。そう考えると事の重大さに寒気がした。その後皇太子殺害に失敗した相手は、今度は標的を変えてくるだろうということになり、暗殺を視野に入れた警護が考えられた。ここでまたドラガル様の登場になるのだが、やはり騎士の中で腕が立ち信用が置けるのはドラガル様しかおらず、表向きは顔に傷を負ったことを理由に国王の夜勤警護としたと。そんな理由は知らず耐えておられたドラガル様の事を考えると胸が苦しくなってしまうが・・多分騎士様も同じ気持ちだっただろうと考えると何とも言えない。実際、ドラガル様が警護にあたってから三人の暗殺者が送り込まれた。全て返り討ちにあったのだけど・・そうしているうちに今度は暗殺ではなく権力を握ろうと画策していることがわかりその策の中の標的が私だったのだ。私は公爵家の次女、おまけに父親は軍事指揮官ともなればやはり悪役にとって手に入れたい物件ということになったらしい。実際はどこで仕掛けてくるか分からなかったが、今回の王宮主催のパーティーではないかと警戒は強めていたが、まさか王宮侍女まで仲間に引き入れてくるとは思っておらず、気付くのが遅れてしまったと。ドラガル様が私の様子が気になり見てくるとホールを出ていったときにわずかではあるが剣がぶつかり合う金属音が聞こえたように感じ走ってきたということだった。パーティーの間、遠くから私たちの様子を伺っていた騎士様も異変に気付き駆けつけ、中庭から逃げ出す男を発見し後を追ったということだった。相手には、私が他の令嬢と違い剣術・護身術に長けている情報は無かったらしい。本当にバレてなくてよかったと今更ながら言える。もっと強い相手だったら私は今ここにいなかったかもしれないから・・祖父が連れ去られる可能性を視野に入れパーティーに着て行くドレスに色々意見を出し動きやすさを重視してくれたおかげで何とかもちこたえることができたが・・。前にもらった短剣のこれを想定してのプレゼントだったのか・・ドレスに意見を出してきた時点で薄々そんなことだろうとは考えていたがあまりにも私にとって大変なことだったので後で祖父になにかねだろうと私は心の中で考えていた。
とまぁこんな話だった。
私たちに説明し終わると騎士様が突然
「それにしてもあの時は驚いたなぁ。ドラガルよ」
急に騎士様に話を振られドラガル様は驚いていたが、
「あぁ、エリーゼがあんな大勢の男たちに囲まれていて戦っていたから・・」
「いや、違う違う。ドラガルお前はなんって言って走っていった?」
「さあぁ?」
ドラガル様が覚えていないといった感じで返答すると
「俺のエリーゼじゃよ」
「はぁ?」
「お前覚えておらんのか。わしは聞いたぞ、なぁエリーゼ」
話を私に振るのは止めてほしい。私は何も言わずに顔を赤らめ下を向いた。ドラガル様は、今気づいたように驚くと顔を赤らめ気まずそうに横を向いていた。
「いいのう。いいのう。青春、わしも昔はあったのう」
国王陛下は微笑みながら赤くなっている私たち二人を見ていた。
その後国王陛下と祖父たちは、後始末が残っとると私たちを部屋から追い出した。
「今日は色々なことがあり過ぎて疲れました」
私がそう言うと
「そうだなぁ。俺も疲れた。もう屋敷に戻るか」
ドラガル様がそう言ってきた。しかし、できればもう少しドラガル様と一緒に居たかった私は
「屋敷に帰る前にちょっと休みたいです」
と返答した。すると少し考えたドラガル様は
「じゃあ、厩舎の二階でも行こうか」
と声を掛けてくれた。私とドラガル様は、厩舎の二階で少し休んでから屋敷に帰ることにした。
二人で厩舎の二階に着くと紅茶を入れ、シーツを敷いた干し草のベッドに座った。そうして、温かな紅茶を飲みながら私はドラガル様に話しかけた
「今日は助けていただきありがとうございました。稽古の時も強いなぁって思っていたけど実際に戦っているのを目にすると強すぎて声も出なかったです。本当に強くてかっこよかったなぁー」
私は照れながらそう言った。本当にドラガル様の剣は無駄がなく戦っていたのに綺麗と思ってしまうほどだったのだ。
「あの時はもう無我夢中だったからどのようにして倒したか、実際あまり覚えていないんだ。いつもだと色々考えながら敵を倒していくのだが・・あの時はかなり動揺していたからなぁ。ホールから出て中庭の方から金属音がして駆けつけた時エリーゼが剣を持った男たちに囲まれていたからなぁ」
「でもみんな命に別状はないって言っていたし、あの状況でとっさにおじいちゃんの言葉に対応できるなんてやっぱり凄いと思います」
私は真剣な表情で言い足した。
「そうかなぁ。エリーゼにそう言ってもらえると嬉しいよ」
ドラガル様は微笑みながらそう言った。
「でも、おじいちゃんたち酷いですよねぇ。ドラガル様は傷を凄く気にしながら生活してたのに・・仕事も傷を理由に夜勤に回したし・・これはなにかしてもらわないと」
私はさらに言葉を続けた。
「でも・・私の本音は少し違って。私はドラガル様の顔に傷があってよかったって不謹慎だけど思っているんです。傷がなかったらこうして出会うこともなかったし、ドラガル様はかっこいいから二十歳まで独身ってことはなかったと思うし・・他の令嬢がドラガル様の傷を怖がって話しかけないでくれてよかったって・・だってドラガル様と言葉を交わしてしまうとすぐに良さがわかってしまうでしょ・・そうしたら・・私って酷いですねぇ。こんなことを考えてるなんておじいちゃんと変わらないかな・・」
そう言って私が下を向いていると、
「俺はエリーゼに出会う前までただただやってくる時間を過ごしているだけの生活を送っていた。しかし、今はエリーゼと出会って毎日が楽しいし次の日がくるのが待ち遠しいとまで思えるようになった。これは傷があったからの出会いだと考えると傷を負って気持ちがすさんでいた頃の自分に言ってやりたい気分だ。傷なんてどうでもよくなる人生が待っていると・・」
そう言うと、ドラガル様は持っていた紅茶のコップをテーブルに置き、私のコップも手から取るとテーブルに置いた。そうして私を自分の方に向かせると私を強く抱き締めた。私は最初は驚いたがドラガル様の背中に手を回すと私もドラガル様に抱き付いた。そうしてドラガル様に触れていると、今頃だがさっき戦っていた時の恐怖が蘇ってきて少し体が震えた。あの時ドラガル様が来るのが遅ければ私はどうなっていただろう。こんなふうに触れ合うことはできなかったのでは・・そう思うとドラガル様から離れたくなくそのままドラガル様に抱き付いていた。ドラガル様はそんな私の気持ちを知ってか知らずか何も言わずにずっと抱き締めていてくれた。どれぐらいそうしていただろう。外から馬の嘶きが聞こえた。すると
「まだこうしていたいが・・もう遅い時間になる。そろそろ屋敷に帰ろうか」
ドラガル様はそう言いながら私を自身から離し顔を覗き込んできた。私の顔がまだ暗いと感じたのかドラガル様は耳や頬に口づけを落としてきた。私がくすぐったそうに顔を振っても止めずに続けた。
「ドラガル様、くすぐったいです」
私がたまりかねて顔を上げそう言うと
「やっといつものエリーゼに戻った。今日はずっと一緒に居たいが婚約もしていない男女が同じ屋敷に行くことはできない。今日は襲われた後だから一人は心細く感じるだろう。俺も初めて人と戦った時は怖かった。男の俺でもそうだったんだ。女のエリーゼはもっと怖かったと思う。そんなエリーゼを屋敷に一人で帰すのは忍びないのだが・・」
ドラガル様は本当に悔しそうにそう言った。そして、
「俺自身は一緒に居てやれないが・・そうだ今度、また一緒に俺の生家に行こうか。嫌な思い出は楽しい思い出で上書きすればいい」
と笑顔で言うとポケットから綺麗に梱包された長い小箱を取り出し私に渡してきた。
「開けてみてくれ」
私が箱を開けると中にはネックレスが入っていた。ドラガル様は箱からネックレスを取り出すと私の首につけてくれた。それは赤い薔薇を形どった石が中央に一個ついているネックレスだった。私の好きなシンプルなデザインで赤い薔薇がドラガル様を連想させるものだったので凄く嬉しかった。ドラガル様は照れくさそうに
「本当はもっと違うタイミングで渡したかったのだが・・今日は色々あったので渡すのが遅くなってしまった。気に入ってくれると嬉しいのだが・・」
「ありがとうございます。凄く気に入りました。本当は・・やっぱり襲われて怖かったし目を閉じるとさっきの光景が蘇ってくるので・・今日は眠れないかなって思っていたんです。でもこのネックレスが一緒なら大丈夫そうです。ドラガル様がついていてくれるようで嬉しいです」
私は照れながら正直な気持ちを口にした。
「喜んでもらえたみたいでよかった。以前、ネックレスは興味がないようなことを言っていたから渡そうかどうしようか正直迷っていたのだが・・」
「こうしてドラガル様にもらうまで興味はなかったんですけど・・やっぱり好きな相手にもらうのは違うんですねぇ。すごく嬉しいですしずっと身につけていたい気持ちです」
私の返答を聞いたドラガル様はほっとしたといった表情で
「早くネックレスではなく俺が傍に居てやれるようになればいいんだが・・」
と言うと再び私を抱き締めてくれた。
「そうですね」
私はドラガル様の胸の中で微笑みながらそう返答した。その後別れ屋敷へと戻った。
 屋敷の戻ると湯あみを済ませ、寝台にもぐりこんだ。しかし一向に眠気は襲ってこず目を閉じると戦いの光景が蘇り怖さから眠ることができなかった。寝台の中でドラガル様にプレゼントしてもらったネックレスを握り締めてもやはり・・眠れなかった。私は仕方なくベランダに出て夜空を眺めて時間を潰すことにした。
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