恋愛 出会いから婚約まで

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生家

 今日はなんとドラガル様と私の休日しかも連休が合ったので兼ねてから打ち合わせをしていたお出掛けをすることになった。基本私は侍女として王宮で暮らしており、休日があってもほとんど面倒だという理由で家に戻っていなかったので私の行動は、家の者は誰も知らない。今回は連休になるので一応、念を入れてメアリーにトラブル対処を頼んでおいた。いざ行くとなると凄く楽しみで昨日の仕事もここだけの話上の空だった。ドラガル様の仕事が終わるのを待って、ドラガル様の愛馬のドラゴに跨り出掛けることになっていた。向かう先がドラガル様の生家で着替えなどを持って行く必要がなく荷物は私の着替えだけだったので馬で出掛けることにしたのだ。
私は仕事が終わるとすぐに荷物を持ち厩舎へ向かった。私の仕事は五時に終わるがドラガル様の仕事が終わるのは六時なので厩舎の二階に上がり干し草のベッドに横になり待つことにした。
「あっ寝てしまったわ」
私が目を開くとそこにはドラガル様の顔があった。
「えっ、あっ、おはようございます」
「あっ、おはよう。眠そうだけど大丈夫?」
「大丈夫です。今何時ですか。私寝てしまっていました」
私が慌てて顔を隠しながらそう言うと
「まだ6時過ぎだ。もう少し寝顔を見ていてもよかったのだが・・」
「駄目です。もう、どうして起こしてくれなかったんですか。恥ずかしい・・」
「あぁ、寝ている姿を見ていたら可愛いなぁって」
ドラガル様は表情を変えずにそう言ってきた。私はさらに恥ずかしくなりながら
「もう出発ですか」
と、問い掛けた。
「あぁ、じゃあ行こうか。ドラゴが待ち切れなとさっきから騒がしいんだ」
ドラガル様はそう言うと私を手を引いて起こすと荷物を持って下りて行った。私はドラガル様に寝顔を見られたことにややショックを受けたが、気を取り直しすぐに身なりを整えると後を追いかけた。下に着くとドラガル様はフードを被り荷物を横に固定されていた。そうして自分が先に跨ると私に手を差し出された
「じゃあ、行こうか」
私もフードを目深に被るとドラガル様の手を取りドラゴに跨った。私が跨るとドラガル様はすぐに私の体を包み込むようにして手綱を握った。私は以前乗った時とは違い明らかにドラガル様との距離が近くなっていることに驚きながら・・出発した。
街を抜け森の中を走るころには、太陽が昇りあたりの美しい景色を映し出していた。
「気持ちいいですねぇ」
「そうだなぁ。今日はエリーゼが一緒だからいつも以上に気持ちがいい」
そう言ってドラガル様は手綱を握りながら私を後ろから抱き締めてきた。
「えっ」
私が体を硬直させると私の首元に顔を寄せながら
「本当にエリーゼといると楽しいなぁ。最初に一緒に馬に乗ったことを思い出したよ。あの時もエリーゼの髪から甘い匂いがしたなぁ」
「ドラガル様、ちょっと今の発言はまずいですよ。ちょっと変態になっていますよ」
私は慌てながら言い返した。ドラガル様はただただ笑っていた。私は揶揄われたことにその時気が付いた。最近よく思うのだがドラガル様はちょっと意地悪なところがあると、以前は気を遣ってあまり素の自分を見せられなかったが図書館でのことがあってからは以前とは少し違う感じになっていた。今までより距離が近くに感じられていいんだけど、心臓には悪い。私は顔を赤らめながら遠くの景色を眺めていた。ドラガル様の生家までは馬で三時間ぐらいかかるため私たちは途中の湖のほとりで休憩することにした。
「ここで一度休もうか。三時間馬に乗りっぱなしはしんどいだろう」
ドラガル様はそう言って私を馬から下ろした後、ドラゴに湖の水を飲ませながらブラッシングをしていた。
私は朝準備した朝食と飲み物をドラガル様に手渡した。
「えっ、いつ準備したんだ。エリーゼも仕事だったんだろう」
ドラガル様は驚いた顔で朝食を受け取りながらそう言った。
「侍女の仕事にも休憩時間があるんです。その時に簡単ではありますけど準備しました」
「へぇー。令嬢なのにこんなものも作れるのか」
「私は十二歳まで田舎にいてそこで働く人とよく食事を共にしていたのでその時に料理を教えてもらったんです。あまり上手ではないですけど・・」
私が照れながらそう言う間にドラガル様は朝食を全て食べ終えていた。
「少なかったですか」
「いいや、おいしかったからすぐに食べ終えただけだ。心配ないお腹は十分に満たされている」
と笑顔で返答された。それから半時程度休んだ後再び馬に跨り生家を目指した。ドラゴが頑張ってくれたため予想以上に早く到着しまだ昼にもなっていなかった。
ドラガル様の生家の敷地は広く、敷地内には湖があるようだった。屋敷は二階建ての木造で湖の方角には大きなテラスがあり屋敷の横には温室があった。連絡がしてあったこともあり到着するとすぐに使用人が玄関に並んで待ち構えていた。全員で七人、みんな高齢だった。
「坊ちゃま、到着を心待ちにしておりました。お連れの方がご友人のエリーゼ様でしょうか」
執事らしき高齢の男性が私に微笑みかけてきた。私は笑顔で
「はじめまして、エリーゼと申します。この度は私のわがままでドラガル様に同行させていただきました。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願い致します」
と公爵令嬢として恥ずかしくない挨拶をしたつもりだった。しかし、挨拶が終わっても使用人たちは何も反応しなかった。
「どうした、どうして何も言わない」
ドラガル様が使用人たちに声を掛けると一人が
「こんな綺麗で品があるご令嬢を坊ちゃまが連れてこられたと思うと感極まって・・」
と七人の使用人が一斉に涙を拭きだしたのだ。
「おいおい、そんなに泣くことはないだろう。エリーゼも困っているではないか」
そう言われ使用人たちがまずいという顔になり急いで私を部屋へと案内した。部屋は二階の日当たりがいい部屋でドラガル様の隣の部屋になっていた。執事らしき方は、他の部屋は使用していないのでこの部屋しかなかったと言われたが何かよからぬ思いがあるように感じるのは私の気のせいだろうか。私たちは夜勤明けの遠乗りだったので湯あみをした後それぞれの部屋で昼過ぎまで休むことにした。
三時間ぐらい休んだ後、持ってきた簡素なドレスに着替え一階にあるダイニングに向かうとそこには同じく簡素なシャツに着替えたドラガル様が情報誌に目を通していた。そしてその横で執事らしき方がドラガル様に縋るようにして
「それで坊ちゃま、どこであのご令嬢と知り合われたのですか、このじいに教えてください。一生のお願いですから」
ドラガル様は困ったという表情で無視を決め込んでおられた。私は静かに室内に入ると
「すみません。休ませていただいて」
と声を掛けた。執事らしき方は、私の声を聞くとすぐに
「では、昼食を準備するよう伝えてきます」
と言いドラガル様からすごい勢いで離れ厨房へと消えていった。ドラガル様は顔をあげると
「よく休めたか」
「えぇ、ぐっすり休めました」
「それはよかった。昼食が終わったら散歩にでも行こうか」
「はい」
私がドラガル様の隣に腰掛けるとドアの向こうが騒がしくなり、ついにはドアが開き先程の執事らしき方を含めた数人が倒れてきたのだ。
「あぁ、お前たち何をしているんだ」
ドラガル様は呆れたように
「昼食の準備は出来たのか。早く準備をしろ。どうせお前たちもまだ食べていないのだろう」
と声を掛けられた。すると使用人たちは揃って
「昼食をご一緒してもいいんですか」
と問いかけてきた。ドラガル様は面倒そうに
「いつも一緒に食べてるだろ。今日は別々がいいのか」
と、すると使用人たちは慌てたように
「いいえ、そのようなことはないです。是非ご一緒させていただきます」
と笑顔で言うと急いで昼食の準備を始めた。
「悪いな、屋敷の者は客人に慣れていないのだ」
「いいえ、大丈夫です。昔は我が家もみんなで一緒に食べていたのでむしろ楽しみなぐらいです」
と笑顔で答えた。私は心の中でこの屋敷での生活はかなり楽しそうと心を躍らせていた。
昼食は、この地方の家庭料理だった。流石高齢なだけあって我が家の料理人と比べてもひけをとらないおいしさだった。
「ここの料理は本当においしいですねぇ。さっきはお名前を伺うことができなかったのでできれば紹介していただけると嬉しいのですが・・」
私がそう言うとドラガル様が一人一人の仕事内容と名前を教えてくれた。先程から世話を焼いてくれていた方はやはり執事でマルクさん、侍女が二人でエマさんとケイトさん、料理人が二人でロンさんとタイガさん、庭師はエドガーさんで雑用係がスカーレットさんだった。彼らはドラガル様が生まれる前からこの屋敷に仕えているからドラガル様は孫のようにかわいいと口々に話していた。昼食の時間は楽しくあっという間に時間が経ってしまっていた。基本話題は私とドラガル様との出会いや今までの様子を伺うものだった。ドラガル様は終始私に対して申し訳なさそうにしていたが、かれらの質問には丁寧に返答していた。そうして一緒に過ごしているのを見ていると使用人って感じより祖父・祖母に囲まれている感じだった。
昼食の後二人で庭の散歩に出た。庭には多くの花が植えられておりどれも綺麗に花をつけていた。そして、屋敷の横にある温室にはなんと市場で一緒に食べたあのフルーツがたくさんなっていたのだ。
「ドラガル様、これって市場で食べたフルーツですよねぇ」
「あぁ、そうだ。また食べたくなったか」
私ははしゃいでしまったことが恥ずかしくなりフルーツを見つめたまま黙っていた。すると
「エマ、ジュースにしてくれるか」
と侍女のエマに頼まれた。
「かしこまりました」
そう言うと傍に控えていたエマさんは温室の奥へと入っていった。
「いいんですか。私なんかのためにせっかく育てたフルーツを採ってしまって」
「あぁ、この時のために育てておいたから大丈夫だ」
と笑顔で普通に返答された。私は嬉しさと気恥ずかしさからドラガル様から目をそらして温室内を見た。
一通り庭の散策を終え屋敷に戻ってくるとテラスへ招かれた。そうしてテーブルに着くと先程のフルーツの搾りたてジュースが運ばれてきた。
「どうぞ、お嬢様」
執事のマルクさんが私の前にジュースと一緒にチョコレートタルトを置いてくれた。
「マルクさん、ありがとう」
私がお礼を言うとまたマスクさんはハンカチで涙を拭きだしたのた。それを見ていたドラガル様が溜息をついた後、二人だけにしてほしいと言いマルクさんとエマさんは退室していった。
「本当に申し訳ない。いつもはあんなに涙もろくないのだが・・周囲がうるさくてゆっくりできないのではないか」
「いいえ、そのようなことはないです。私が幼いころ過ごしていた家も同じような感じだったのでむしろ懐かしいぐらいです」
私は昔を思い出しながらジュースを飲んだ。
「あーやっぱり甘くて美味しい。こんなに飲んでたら私のほっぺがとろけてなくなってしまいます」
と笑顔で言うとドラガル様は嬉しそうに微笑まれた。その後テラスから見える景色を堪能しているとあっという間に時間は過ぎ夕食の時間になった。夕食は洋食だったがこれもやはり絶品だった。夕食もみんなで食べたから終始楽しい話題がのぼり楽しい時間だった。夕食を終え、私は部屋に戻ると湯あみをし部屋着に着替えた。もう眠りについてもいい時間にはなっていたが眠るには惜しい気がして上着を羽織るとベランダに出て夜空を眺めていた。すると、続きになっているベランダのドアが開きドラガル様が現れた。
「エリーゼ、どうしたんだ、眠れないのか」
「いいえ、眠るのが惜しくて・・そうしたら窓から夜空が見えたので・・」
「そうか、ここは王宮とは違いたくさんの星が見えるからなぁ。冬が近づくと空気が澄んできてさらに夜空が綺麗に見える」
「へぇー。そうなんですか」
私がそう言いながら再び夜空を眺めていると、不意に背中が温かくなった。
「そんな薄着では寒いだろう」
そう言ってドラガル様が後ろから私を抱き締めたのだ。何度抱き締められても慣れず私は体を硬直させた。
「前にもこうして抱き締めたことがあったなぁ。あの時は自分の気持ちが自分でも分かっていなくて衝動でしてしまったのだが・・」
「今はどうなんですか」
「今は、エリーゼのことが好きだ。だから、ずっとこうしていたい」
ドラガル様はさらに強く私を抱き締めた。
「私もドラガル様のことが好きです」
そう言うと私はドラガル様の手を持ち正面に向き直った。するとゆっくりとドラガル様の顔が近づいてきた。私は瞼を閉じた。その後すぐに唇に柔らかなものが触れたが以前のような軽いものではなく何度も唇をついばむ口づけだった。私は気持ちよさからドラガル様の背中に手を回すとドラガル様の口づけに答えていた。するとドラガル様が
「エリーゼ、そんな無防備でいられるとちょっと困るのだが・・」
と言ってきた。私は恥ずかしくなりまた向きをかえ背中をドラガル様に預けると
「今日は一緒に来てよかったです。屋敷の方も親切にしてくれるし一緒に居て凄く楽しいです」
と夜空を再び眺めながら言った。
「それはよかった。俺としては誰にも邪魔されず二人きりで過ごしていたいのだが・・」
私はその言葉が嬉しく、恥ずかしさを隠すためにドラガル様に背中を預けたまま
「本当は私もドラガル様と二人だけがいいです」
と言った。すると
「じゃあ、明日は二人だけで遠乗りでもしようか。馬はドラゴだけだが・・」
ドラガル様は後ろから耳元で囁いてきた。私はそれを聞いて
「ドラガル様は時々意地悪ですねぇ。私の最初の間違いがそんなに面白いんですか」
とちょっと不貞腐れながら言った。
「そうだなぁ。あの一言は忘れられないなぁ。あの時からエリーゼに興味を持ち始めた気がするし・・」
そう言うと再び後ろから私を強く抱き締めてきた。しばらく一緒に夜空を眺めたのち、それぞれの部屋に分かれ休んだ。
次の日はロンさんとタイガさんが作ってくれた朝食を持って朝早くから遠乗りに出掛けた。行先はドラガル様が任されている領土にある農村だった。視察も兼ねての訪問だった。
「あそこに見えるのが村になる」
ドラガル様が後ろから声を掛けてきた。
「周りを果樹園に囲まれているんですねぇ」
「ここで一旦ドラゴから下りて朝食にしようか」
そう言うとドラガル様は馬から下りると一本の大木にドラゴを繋ぎ私を下ろすと大木の横に合ったベンチに腰を掛けた。
「ここからだと果樹園と村が一望できる。朝は霧がでているからやや幻想的に見える」
そう言ってベンチにもたれながらあたりを見渡していた。私もベンチに座ると景色を堪能しながら朝食を食べた。食べ終わると再びドラゴに跨り村を目指した。そうしているうちに果樹園に辿り着いた。私たちは馬から降りて果樹園内をドラゴを連れて歩いた。すると、果樹園から
「ドラガル様、今日も視察ですか。あっ、今日はデートでしたか」
「えっ、ドラガル様」
声が聞こえたかと思うと多くの人が次々と果樹園から出てきた。その中には私と年が近いであろう娘たちも多くいた。娘たちはこそこそ何かを話していた。
「えー、そうなの。ドラガル様にはやっぱり彼女がいたんだ。残念」
「前からそう言っていただろう。ドラガル様ほどの人に彼女がいない方が不思議だろ」
「えーでも今まで視察はいつもひとりだったから・・いないんじゃないかって期待してしまうものでしょう。ねぇ」
娘たちは口々にそう言いながらも楽しそうに話していた。周りの大人たちは笑顔でその様子を眺めていた。その中の一人がドラガル様に声を掛けてきた。
「それでどうなんです。やっぱりドラガル様のいいひとなんでしょうか」
それを聞いてドラガル様は
「あぁ」
と素気ない返事をしていた。すると
「おいおい、ドラガル様が照れているぞ。こりゃあ面白い。他の奴にも教えてやらないと」
そう言うと集まった人は蜘蛛の子を散らしたようにいなくなった。
「どうなったんですか」
私が呆気にとられてそう言うと
「まぁ、屋敷の者と同じってことだ」
と空を仰ぎ見ながらドラガル様はそう言われた。私は意味が分からなかったが、そのあと村に着いてその意味を知った。村に到着すると入り口に多くの人だかりができていて、凄い歓迎だったからだ。私たちは有無も言わさずレストランに連れ込まれ怒涛のような質問攻めにあったのだ。もちろん凄くおいしい昼食をご馳走になりながらだったが。嵐のような昼食を終えると私たちはやっと村人から解放された。
「すまなかったなぁ。ちょっとはこんなことになるのではと不安ではあったのだが・・予想以上だった」
「いいえ、大丈夫ですよ。ちょっと最初は驚きましたけど、みんないい人ばかりで楽しい時間が過ごせました。でも端の方で何人かお嬢さんが泣いているのを見た時はちょっと胸が苦しかったですけど・・」
「えっ、それは嫉妬か」
「いいえ、違います。かわいそうだなぁって思ったんです」
「じゃあ、エリーゼは俺が他の女性と仲良くしていた方がよかったのか」
「そんなことは言っていません」
私が少し怒ったように言うとドラガル様は笑いながら私の手を引き少し小高くなっている丘の上まで引っ張っていった。そこからはドラガル様の屋敷と湖が小さくだが見ることができた。
「凄く綺麗ですねぇ。まるで絵画のようです」
「そうだろう。この景色をエリーゼに見せたかったから、恥ずかしい思いに耐えながらここまで来たんだ。ここに来るにはどうしても村を抜けないといけなかったからな」
「そうだったんですか。ありがとうございました」
私はドラガル様に笑顔を見せながらそう言った。背中に突き刺さるような視線を感じながら・・そう景色を眺めている時も村人の誰かに見られていたのだ。ちなみに今は子ども達だった。
「お前らいまいい雰囲気だから声をだしたら駄目だからなぁ」
子どもたちなりに気を遣っているみたいだったがこちらには筒抜けだった。するとドラガル様が私の耳元で
「どうする?子どもたちの期待に応えないといけないとは思わないか」
と言ってきたのだ。私は顔を赤らめながら
「教育上よくないのでいいです!」
とドラガル様を睨みながら断った。するとドラガル様は嬉しそうにいつまでも笑っていた。それから二人で村や果樹園を見て回った。村の中も活気があり村人もみんな元気だった。そしてなによりドラガル様との距離がとても近いのだ。最近あった身内の話や猟での出来事、果樹園の問題など色々なことをドラガル様に話しているのだ。ドラガル様はその話を真剣に聞いて必要な時にはアドバイスをしたりされていた。そうしてドラガル様とひとしきり話すと村人は満足気に帰っていった。そうこうしているうちに夕方近くになっていた。
「そろそろ屋敷に帰ろうか」
「そうですねぇ。ついつい長居をしてしまいましたねぇ」
私がそう言うとドラガル様は足早にドラゴの所に行って跨ると私に手を伸ばしてきた。
「ちょっと夕日でも眺めてから帰ろうか」
そう言うとまた後ろから包み込むようにして手綱を持った。走りながらドラガル様が
「今日は楽しかったが、せっかく二人きりで過ごす予定だったのに結局馬に乗る時しか二人きりになれなかったなぁ」
と残念そうに呟かれた。私も同じ気持ちだったので嬉しくなり手綱を握っているドラガル様の手に手を重ねた。そうしながら馬を走らせていると夕日が沈む様子が見える湖のほとりにやってきた。
「ちょっとここで休んでから帰ろうか」
そう言うとドラガル様はドラゴから下りてほとりの大きな木にドラゴを繋がれた。そうして私をドラゴから下ろすと湖のほとりに腰を下ろすと隣にハンカチを敷いて私が座れるようにしてくれた。二人で夕日を見ているとドラガル様が急に私にもたれかかってきた。
「ドラガル様、疲れましたか。だったら横になってもらったらいいですよ」
私はそう言うと私の膝をたたいた。すると
「じゃあ遠慮なく」
ドラガル様はそう言うと私の膝に頭を乗せてきた。私は最初緊張したがそのうち緊張も和らぎ静かに目を閉じているドラガル様の髪の毛に触れていた。思っていた以上にドラガル様の髪ってやわらかいしさらさらしてると思いながら触っているとふいにドラガル様に手を握られた。
「気になって寝られないのだが・・」
そう言うと仰向けになり私と目を合わしてきた。そうして私の髪に触れると髪を自分の口元に持って行き口づけされたのだ。私は急に恥ずかしくなりドラガル様から目をそらした。
「エリーゼ」
ドラガル様は静かに私の名前を呼んだ
「はい」
私がドラガル様に目を向けると嬉しそうに今度は私の顔に手を伸ばしてきた。そうして私が目を逸らせないでいると手は首へと回り私をドラガル様へと引き寄せ口づけをされた。
「やっと二人きりになれた感じがした。まだこうしていたいが、もう夕日が沈んでしまった。残念だが屋敷に戻ろう。ここも昼間は安心だが夜は獣がやってきて危ないから・・」
そう言うと再びドラゴに跨ると屋敷に戻った。
屋敷に戻ると夕食の準備ができており少し早い夕食となった。夕食を終えると部屋に戻り湯あみをして部屋着に着替えた。特にすることもなかったので本を読んで過ごしていると扉をノックする音が聞こえてきた。
「はい」
「ドラガルだが一緒にお菓子でも食べないか」
私が扉を開けると簡素なシャツに着替えたドラガル様が箱と飲み物を持って立っていた。
「はい、いただきます」
私はそう言うと扉を開けドラガル様を中へと招いた。ドラガル様が中に入ると扉が音を立てて閉まった。私はちょっと焦ったが相手がドラガル様なので気にするのをやめテーブルに着いた。するとドラガル様は私の隣に腰を下ろすと箱から何種類かのケーキを取り出した。
「これどうしたんですか」
「ケイトが案を出してロンとタイガが作ったらしい。上手にできているかは保証できないらしいが・・どうもエリーゼに食べてもらいたくて作ったらしい。さっき俺の所に持ってきたんだ。なぜだか飲み物もちゃんと準備して」
そう笑いながらドラガル様は言った。やっぱり何か裏があるように思えるが・・でも実際のところドラガル様と一緒の時間を過ごしたいと思っていた私はみんなの気遣いに心の中で感謝した。
「これ野菜で作ってあるみたいです。街で売っているケーキと違っていておいしいです。これは何のジュースですかねぇ」
私はそう言って飲み物をひとくち飲んでみた。すると甘い味が口の中に広がるのと同時に喉が少し熱く感じる飲み物だった。今まで口にしたことがない感じだったのでドラガル様に聞いてみた。
「ドラガル様、この飲み物はこちらの地方で有名な飲み物なんでしょうか」
そう尋ねるとドラガル様はひとくち飲んで驚いていた。
「エリーゼ、これは果実酒だ。エリーゼはまだ十六歳だからまだ飲んだことがないだろう。一応お酒になるからやめておこうか」
そう言って私のグラスを取ろうとした。私はおいしかったので
「大丈夫です。果実酒なんでしょう。そんなにアルコールが高くないんじゃないんですか。それに少しぐらい酔ってもドラガル様がいるから大丈夫です」
私はそう言うと果実酒を少しずつ飲み続けた。そうしてグラス一杯飲み終えたころにはなんだか気持ちが高揚していた。
「ドラガル様これおいしいです。ドラガル様も飲んでます?ケーキもおいしいし飲み物もおいしいし・・なにより隣にドラガル様がいるから私は嬉しいです」
そう言うと隣りに座っているドラガル様に抱き付いた。
「エリーゼ、もしかして酔ってしまったのか」
「酔ってないですよ。楽しいだけです」
「そうか、ならいいが」
そう言うとドラガル様は私に抱き付かれながらグラスの果実酒を飲んでいた。私は私のことを見てくれないドラガル様に意地悪したくなりドラガル様からグラスを取り上げるとドラガル様に口づけた。
「ほーら、果実酒よりおいしいでしょ」
私の思考回路はおかしくなってしまっていたのだ。ドラガル様は驚くと
「やっぱり酔ってしまったようだ。明日は王宮に戻らないといけないから今日は早めに休もうか」
と言って私の手を引くと私を寝台へと連れて行った。私が言われるまま寝台に横になるとドラガル様は部屋の明かりを消し、部屋から出ていくために私の額に口づけた。その瞬間、私はドラガル様の首にしがみついた。
「じゃあ、ドラガル様も一緒に寝ましょう」
「エリーゼ、それはまずい。離してくれ」
「いやです。一緒に寝てくれるまで離しません」
ドラガル様は困り果てた感じで溜息をついた。そうしてお互いの攻防が続き・・
「わかった。傍にいるよ」
ドラガル様がそう言ったので私は首から手を離した。そうして寝台に腰かけようとしたドラガル様の腕を掴むと自分の寝台へと引っ張った。
「おい」
ドラガル様は抵抗しようとしたが、バランスを崩し私の思惑通り寝台の中に入った。
「ふふっ」
私は横になったドラガル様の胸に抱き付くと
「朝まで一緒ですからね。ドラガル様って温かい・・」
そのまま眠りについた。ドラガル様の気持ちも考えずにすやすやと眠ってしまったのだ。
 次の日、外が明るくなってきた頃、私は腕に重たさを感じ一度目を覚ました。そうして驚きのあまり声がでなかった。なんと隣でドラガル様が眠っているのだ。私を包み込むような形で・・そう腕の重たさはドラガル様の腕だったのだ。私は昨晩の事を必死に思い出した・・そうだ酔った私はドラガル様を寝台に誘いそのまま眠ってしまったのだ。私はドラガル様に気付かれないようにドラガル様の顔を見た。眠っているドラガル様は何とも言えない色気があり見ている私は恥ずかしくなってきた。私は寝ているふりを続けながら、向きをかえこれからどうしようかと考えていた。すると、ドラガル様が身を動かし私のことを抱き締めてきたのだ。私は体を硬直させた。しばらく必死になって耐えていると後ろから笑いを必死でこらえている声が聞こえてきた。私が恐る恐る振り返るとドラガル様と目が合った。
「ドラガル様、起きてたんですね」
私が怒ると
「すまなかった。どうしようか必死に考えているエリーゼを見ていると言うタイミングを逃してしまった」
「絶対嘘です。慌てる私を見て喜んでたんでしょう」
するとドラガル様は開き直り
「エリーゼが俺にしたことを考えればこれぐらい仕返しをしても罰はあたらないだろう。昨晩から今まで俺は拷問に合っていた気分だったんだぞ」
「拷問ですか?それは言いすぎでしょ」
「そんなことはない。好きな女性が無防備に自分の腕の中で寝ているのだぞ。拷問以外何物でもない」
そう言うとまた私を強く抱き締めた。
「ドラガル様、すみませんでした。謝りますから許してください」
「今度、同じことがあったら俺は我慢しないからな」
そう言うと起き上がり私の額に口づけすると手を振りながらベランダから出て行ってしまった。私は寂しさを感じながらどうしてベランダから出ていったのか疑問に感じたが、よくよく考えるともう明け方のため屋敷の使用人たちはほとんどが起きていることに気が付いた。みなさん高齢なので朝は早いのである。私の部屋から出てくるところを見られたら何を言われるか分からないからだ。そう思いながらもこうなることも全部予測範囲内なのでは・・と考えている私もいた。その後、布団の温もりを感じているとどうしてもドラガル様の顔が浮かび、もう一度眠りにつくことはできなかった。朝食の時間になりダイニングに行くとドラガル様が情報誌を読んでいた。
「おはようございます」
「おはよう。昨晩はよく眠れたか」
「えぇ、よく眠れました」
「そうか、それはよかった。やっぱり環境がいいとよく眠れるんだなぁ」
私はそう言われ何も返答することができなかった。やっぱりドラガル様は意地悪である。私がドラガル様の横に座るとケイトさんがスープを運んできてくれた。
「昨日はおいしいケーキと飲み物をありがとうございました。ロンさんとタイガさんにもおいしかったとお伝えください」
とお礼を言った。すると
「ケーキは届けるようマルクに頼みましたが飲み物はマルクが準備したんだと思いますよ」
それを聞いて、私はやっぱりマルクさんの仕業だったのかと心のどこかで納得した。ドラガル様のその返答を聞いて溜息をついていた。するとマルクさんがドラガル様に近づくと
「坊ちゃま、果実酒はおいしかったですか」
と微笑みながら聞いてきたのだ。するとドラガル様はややむっとした表情で
「エリーゼはまだ酒が飲めない年なのだが・・」
とマルクさんに言ったが当の本人はそれがどうしたと言った表情で
「おいしかったでしょ。二人で飲むなら果実酒がいいんですよ」
とウインクして出て行った。やっぱり、マルクさんには敵わないと心の中で思ったのはドラガル様も同じだったらしい。ドラガル様は大きな溜息をついていた。朝食を終えると王宮へ帰る準備をした。玄関で使用人たちの見送りを受け私たちは再びドラゴに跨り帰路についた。帰り道はあまり話が弾まず、お互いに黙っていることが多かった。王宮に到着すると厩舎で別れた。
 侍女の部屋の戻ると待ってましたとばかりにメアリーがやってきた。
「エリーゼ、どうだった楽しかった」
「えぇ、凄く景色が綺麗で空気も澄んでいてリフレッシュできたわ」
「そう、それでドラガル様とは進展があったの?」
「進展ってことは別にないけど・・ただ近くの村に行ってご馳走になったり、屋敷の人たちと話したりしていたわ。みんな凄くいい人ばかりだったから」
「ふーん、やっぱりエリーゼから色恋話は難しいわね。また何か進展したら教えてね」
そう言うとお土産のフルーツを持って足早に部屋へと帰っていった。私は一人になると急に寂しさが込上げてきた。ドラガル様と一緒に過ごした時間があまりにも楽しかったため一人になると寂しさが倍増したように感じられたのだ。今、別れた所なのにもう会いたいって思うなんて私って重症ねっと心に中で思った。そうして、これからどうしていこうかとも考えた。もうそろそろドラガル様に身分を打ち明けないと・・。やっぱり男爵家と公爵家では付き合うことは難しいわよね。どうしよう。こんなにドラガル様の事を好きになってしまっては・・次一緒に出掛ける機会があったら正直に話してみようかしら・・話して問題が解決するとは思えないけど・・そう考えていると自然と私の目から涙が溢れ出ししばらく止まることはなかった。 
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