恋愛 出会いから婚約まで

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生家(男爵の思い)

「ドラガル様これおいしいです。ドラガル様も飲まれてます?ケーキもおいしいし飲み物もおいしいし・・なにより隣にドラガル様がいるから私は嬉しいです」
エリーゼがそう言ったのを聞いた時、まずいと思った。いつも恥ずかしがり極力自分の気持ちを言わないエリーゼが「ドラガル様がいるから嬉しい」だと・・エリーゼはお酒が飲めない口だったのか・・そう考えているとふいにエリーゼに抱き付かれた。不意の出来事であったため俺はかなり動揺してしまった。何とか平静を装い
「エリーゼ、もしかして酔ってしまったのか」
とエリーゼに問い掛けた。
「酔ってないですよ。楽しいだけです」
エリーゼからは予測通りの返答があった。
「そうか、ならいいが」
俺はエリーゼに抱き付かれながら果実酒を飲みつつ考えを巡らしていた。するとエリーゼが俺のグラスと奪うと口づけてきたのだ。
「ほーら、果実酒よりおいしいでしょ」
俺の理性は限界を迎えようとしていた。「こんな可愛いエリーゼを黙って見ているなんて限界だ」俺は心の中でそう叫んだ。俺はなけなしの理性を総動員させて
「やっぱり酔ってしまったようだ。明日は王宮に戻らないといけないから今日は早めに休もうか」
と言いエリーゼの手を引くと寝台へと連れて行った。なんとかエリーゼを寝かせ安心した俺は愛おしさからエリーゼの額に口づけた。それがまずかった。エリーゼを刺激してしまったことに後で気が付いた。もうその時にはエリーゼに掴まってしまっていたのだが・・俺がどうしたものか考えているとエリーゼが眠たそうに瞼を閉じだしたのだ。これは行けると考えた俺は
「わかった。傍にいるよ」
とエリーゼに微笑みかけた。するとやっと首に巻き付けていた腕が緩んだのだ。俺は安心から油断してしまった。気付いた時にはエリーゼの横に寝てしまっていた。騎士としてなんたる失敗だ。敵と戦う時でも決して油断しなかったのに・・やっぱり好きな女性だとこうもだらしなくなってしまうものなのか・・そうして自分の胸を見下ろすと俺の胸では微笑んだエリーゼが静かに寝息を立てているのだ。しっかりと俺に抱き付いた状態で・・
「エリーゼ、エリーゼ」
何度呼びかけてもエリーゼからの反応はなかった。男として現状は非常にまずい。いくら騎士として日頃から鍛錬を行っていても俺も健全な男である。しかし、寝ているエリーゼになにかすることもできずただただエリーゼの寝顔を眺めることしかできなかった。はじめは・・しばらくおとなしく抱き付かれていた俺だったが一応俺も男である。好きな女性が腕の中で眠っているのに何もせずにおれるわけがない。寝ているエリーゼの体にそっと触れてみたがエリーゼが全く反応しないのをいいことに俺はエリーゼの首元に顔を寄せて首筋に口づけた。するとエリーゼはくすぐったいとも言いたげに身を捩るのだ。男としてその仕草がたまらなかった。何度か口づけを落としていると少しエリーゼの反応が変わってきた。それをいいことに今度はエリーゼの体を少し触ってみることにした。腰のあたりに触るとエリーゼがピクリと反応した。俺はたまらずまたエリーゼに口づけていた。エリーゼは寝ているにもかかわらず俺の口づけに反応し俺の背中の腕に力を込めてきたのだ。俺の理性はもうすっかり崩れ去ってしまっていた。夢中になりさらに強くエリーゼに口づけながら体に触れていると
「ドラガル様」
と口づけの合間にエリーゼが俺のことを呼んだのだ。俺がエリーゼの顔を見ると凄く嬉しそうに微笑んでいるのだ。目を閉じて・・俺はその顔を見てやっぱり目を開けているエリーゼの反応を見たいと思い、エリーゼに触れるのを止めた。
「あぁ、寝ているエリーゼに何かしてもいつもの反応じゃないから面白くないなぁ。やっぱり起きていて照れながら反応してくれるエリーゼがいいなぁ」
そう呟くと俺に引っ付いているエリーゼを抱き締めながら眠ることにした。眠りにつくまでかなりの時間を要したが・・それからどれぐらいの時間がたったのか俺もうつらうつらしていたためはっきりとした時間は分からなかったが、ふと周りが明るくなってきたように感じ目を開けようとした。すると下の方から視線を感じた。もしかしてエリーゼが目を覚ましたのでは・・と思いそのまま寝たふりをして様子を伺うことにした。どうもエリーゼはかなり動揺しているみたいだ。エリーゼの体が急に硬直したように感じたからだ。するとエリーゼが俺に背中を向けた。俺は可愛さから思わず抱き締めてしまった。するとやはり起きていたようでさらに体が硬直したのだ。俺は必死で耐えているエリーゼが可愛すぎて笑いをこらえるのが大変だった。
「ドラガル様、起きてたんですね」
そう言うとエリーゼが頬を膨らませながら振り返った。なんて可愛いのだろう。
「すまなかった。どうしようか必死に考えているエリーゼを見ていると言うタイミングを逃してしまった」
「絶対嘘です。慌てる私を見て喜んでたんでしょう」
エリーゼに怒られながら俺は・・やっぱり起きて話しているエリーゼは可愛いなぁ、昨日は止めて正解だったと全く違うことを考えていた。エリーゼはまだ怒っているようだったため、俺は
「エリーゼが俺にしたことを考えればこれぐらい仕返しをしても罰はあたらないだろう。昨晩から今まで俺は拷問に合っていた気分だったんだぞ」
と正直な気持ちを話した。いたずらしたことには触れずに・・そうしてあまりの可愛さからまた抱き締めていた。
「ドラガル様、すみませんでした。謝りますから許してください」
「今度、同じことがあったら俺は我慢しないからな」
俺はそう言うと起き上がりエリーゼの額に口づけすると足早に部屋を後にした。このままここに居続けてしまうとエリーゼにまたよからぬことをしかねないと思ったからだ。俺は火照る体を冷ますためベランダから自室へと戻った。自室でしばらく過ごしていたがもう眠ることもできず、早めにダイニングへと向かった。するとそこにはもうマルクがいて俺のことをややニヤニヤした表情で見ているではないか。やはりマルクの仕業だったのかと思いながら何も知らないのを装い情報誌に目を通していた。

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