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上杉と武田
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上杉は授業中、後ろから武田を眺めて目を細めた。
綺麗な姿勢で黒板の文字をノートにとる武田だがきっと内心、穏やかでは無いだろう。
武田の本心を剥がして晒してやりたい。
上杉は薄笑いの顔を隠す様に机に教科書を立てた。
武田と同じように上杉もまた嗜虐心を持っていた。
でもそれは物理的な物では無く精神的な物で武田のそれとは少し違う。
もっと違うのは上杉自身、それを良しとして楽しんでいた。
目立つ事なく大人しく過ごすつもりの学校生活だったが武田と言うオモチャを見つけて上杉は楽しくなってしまった。
武田を追い詰めて泣かして可愛がってやりたい。
流石に異常だと言う自覚はあるのでそれを表には出さないが都合よく武田は孤立している。昼休みのチャイムは上杉にとってお楽しみタイムになった。
無神経を装って武田の神経を逆撫でする。
嫌がる武田を見ると上杉はゾクゾクした。
それから一週間が経った。
上杉は物おじしない性格からすぐにクラスに馴染み、授業中よく寝るので一部の先生からはもう目をつけられていた。
飄々とし誰とでも裏表なく接する。そんな上杉を武田は冷めた目で見ていた。
相変わらず昼休みになると非常階段に上杉はやってくる。それが武田には理解出来なかった。
四限目終了のチャイムがなると武田はいつも上杉を置いてさっさと教室を出て行く。
「武田くん何でいつも先に行くん?」
文句を言いながらこの日も後から上杉は非常階段にやって来た。当たり前に隣に座る上杉に武田はしっかりと顔を向けて尋ねた。
「……君、いつまでここに来る気なの?」
「何で? おったらあかん?」
「君なら他の人と一緒に過ごせるだろ。ぼくに気を使ってるつもりなら必要ないよ」
「あー。武田くん捻くれとるわ。俺そんなええ奴ちゃうよ?」
上杉は武田にニヤけて首を傾けた。傾げた拍子に制服から鎖骨が見えて何だか色っぽく見える。見入ってしまいそうで武田はサッと目を逸らした。
「三好くんも言ってただろ。ぼくと上杉くんが一緒にいると違和感あるって」
「へぇー。武田くんは他人の目が気になるんや」
「君が目立つからだよ」
「目立つん嫌いやねんけどなぁ」
「は? どの口が言ってんの」
視線を上杉に戻して武田はハッとした。
上杉と目が合って息を呑む。
「普通を装うんも楽やないよ? 俺は武田くんとおると楽や」
口元は笑っているが上杉の目は笑っていない。刺すように上杉から凝視されていた。
まるで見透かされたかの様な気持ちになり武田は押し黙った。
自分が普通じゃ無いのを上杉が見抜いたのでは無いかと思い、体が冷えていく感覚がする。
武田の凍り付いた表情に上杉はようやく目を細めて笑った。
「早よ飯食お。次、体育あるみたいやし」
表情をコロリと変えて上杉はパンの袋を開けて口にした。
武田は上杉の得体の知れなさに気後れしていた。
上杉行人。キラキラした光の中にいるみたいな彼にも何か闇がある。
しかし武田はそれを探ろうとは思わなかった。
綺麗な姿勢で黒板の文字をノートにとる武田だがきっと内心、穏やかでは無いだろう。
武田の本心を剥がして晒してやりたい。
上杉は薄笑いの顔を隠す様に机に教科書を立てた。
武田と同じように上杉もまた嗜虐心を持っていた。
でもそれは物理的な物では無く精神的な物で武田のそれとは少し違う。
もっと違うのは上杉自身、それを良しとして楽しんでいた。
目立つ事なく大人しく過ごすつもりの学校生活だったが武田と言うオモチャを見つけて上杉は楽しくなってしまった。
武田を追い詰めて泣かして可愛がってやりたい。
流石に異常だと言う自覚はあるのでそれを表には出さないが都合よく武田は孤立している。昼休みのチャイムは上杉にとってお楽しみタイムになった。
無神経を装って武田の神経を逆撫でする。
嫌がる武田を見ると上杉はゾクゾクした。
それから一週間が経った。
上杉は物おじしない性格からすぐにクラスに馴染み、授業中よく寝るので一部の先生からはもう目をつけられていた。
飄々とし誰とでも裏表なく接する。そんな上杉を武田は冷めた目で見ていた。
相変わらず昼休みになると非常階段に上杉はやってくる。それが武田には理解出来なかった。
四限目終了のチャイムがなると武田はいつも上杉を置いてさっさと教室を出て行く。
「武田くん何でいつも先に行くん?」
文句を言いながらこの日も後から上杉は非常階段にやって来た。当たり前に隣に座る上杉に武田はしっかりと顔を向けて尋ねた。
「……君、いつまでここに来る気なの?」
「何で? おったらあかん?」
「君なら他の人と一緒に過ごせるだろ。ぼくに気を使ってるつもりなら必要ないよ」
「あー。武田くん捻くれとるわ。俺そんなええ奴ちゃうよ?」
上杉は武田にニヤけて首を傾けた。傾げた拍子に制服から鎖骨が見えて何だか色っぽく見える。見入ってしまいそうで武田はサッと目を逸らした。
「三好くんも言ってただろ。ぼくと上杉くんが一緒にいると違和感あるって」
「へぇー。武田くんは他人の目が気になるんや」
「君が目立つからだよ」
「目立つん嫌いやねんけどなぁ」
「は? どの口が言ってんの」
視線を上杉に戻して武田はハッとした。
上杉と目が合って息を呑む。
「普通を装うんも楽やないよ? 俺は武田くんとおると楽や」
口元は笑っているが上杉の目は笑っていない。刺すように上杉から凝視されていた。
まるで見透かされたかの様な気持ちになり武田は押し黙った。
自分が普通じゃ無いのを上杉が見抜いたのでは無いかと思い、体が冷えていく感覚がする。
武田の凍り付いた表情に上杉はようやく目を細めて笑った。
「早よ飯食お。次、体育あるみたいやし」
表情をコロリと変えて上杉はパンの袋を開けて口にした。
武田は上杉の得体の知れなさに気後れしていた。
上杉行人。キラキラした光の中にいるみたいな彼にも何か闇がある。
しかし武田はそれを探ろうとは思わなかった。
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