かつて最弱だった魔獣4匹は、最強の頂きまで上り詰めたので同窓会をするようです。

カモミール

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2章:セントフィリアの冒険

11話.オルゴラズベリーの借金返済の冒険②:喧嘩

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*ロイ視点

「よし、とりあえずここのお題は立て替えといてやったぞ」

「おー。ありがとう。ご馳走様でした。この御恩は忘れません」
深々とオルはお辞儀をする。突然道端で少女が倒れた時はどうしたことかと思ったっけどこれで一件落着。
……って違う!!

「いや違うでしょ。君にはこれから頑張ってお金を返してもらいます」
「えー。ロイはケチだなぁ」


「いや君どれだけ食ったと思ってるの。基本一皿700円と考えて50皿で35銀貨(350000円)払ってもらうぞ」
「ロイ」
「なんだ?」
「食べたのは52皿だ」
にやりと笑ってオルは言った。
「いいよ!そんな端数は。代金35銅貨だったから、誤差があったんだろ。というか数えてたのかよ。妙なとこキッチリだなお前」
「えへへ」
オルはデレデレと笑顔の表情を見せる。
「褒めてないわ!」

まったく、本当にコイツといると調子が狂うな。
正直思ったより安かったし、領主の僕から
したらこのままおごってあげても別に構わないんだが。

だからといってこのままなぁなぁにするのは
コイツにとっても良くはないだろう。

どこから来たのかは知らないが、お金の取引ができな
ければこの先苦労するだろうし。

それに、コイツを使って良いことを思いついた。

僕はオルにお金の仕組みについて懇切丁寧に
説明した。
 
お金の単位には、

鉄貨(一鉄貨日本円で100円) 
銅貨(一銅貨日本円で1000円)  
銀貨(一銀貨日本円で10000円)
金貨(一金貨日本円で100000円)
があること。

お金でやり取りする大切さ。その他いろいろ

オルは全ての説明を聞き、
「うん、わかった !」
とどこか虚ろな目をして答えた。
本当に分かったのだろうか、不安だ。

まぁ、いいさ。じゃあやるか。
「じゃあついてきて」



街中を歩くが、人1人いない。
前はもっと賑わっていたのに。
何度見てもこの光景を見るたび、心が締め付けられる気分だ。

「なぁ、気になってたんだけどよ。こんなに誰もいないんじゃ働いても意味なくないか?お金って客からもらって、それが回ってくるものなんだろ?」
さっきのリアクション的に心配だったが、どうやら一応話は聞いていたようだ。

「ああ、君、魔獣四王を知ってるか?」
「あ、あー、うん名前を聞いたことくらいはあるよ」
急に目を逸らしたオルに違和感を感じた。何かあるのだろうか。

「?、まぁいいや、でそいつらが、この都市の近くで集まって何かしてるみたいなんだよ。おかげでこの街はこの通り。ちょっと前までは外からもたくさん人が来てたし、この道も人でいっぱいだったろうに」

「…ロイはさ、その魔獣四王のことどう思ってるんだ?」
「どうって…」
どこか今までのおちゃらけた雰囲気と違い、真剣な空気を感じた。
「そうだな。僕はそいつらからまだ、何もされてないし、憎んではない。けど」
「けど?」

「そいつらが集まらなきゃ、この街はこんなことにはならなかったから嫌いだ、とは思ってるよ」
「…そっか」

僕はこの街が好きだから、この質問に対してオルに気を使うつもりはなく、本音を言った。この少女が僕に共感してくれているのか、なんらかの理由で魔獣四王を悪く言って欲しくなかったのかそれは分からないが。


だが、オルは急に何やら不貞腐れたような顔になってしまい、
それ以降オルからこの話題を振ることはなく、
しばらく互いに無言の時間が続いた。

何となくさっきのやりとりから
険悪な雰囲気になっていることを感じていた。


「それで?私に何をさせたいの?」
そうしてしばらくして
どこかぶっきらぼうにオルは言った。

やはりさっきの答えは何か怒らせるようなことだったのか?

「あぁ、オルにはこの街の復興を手伝って欲しくて」
「復興?」

「今はこんな風にシーンとした街になっちゃってるだろ。けど、少し前までは色んな国から色んな人が来て賑やかな街だったんだぜ。これでも」
「へぇー」
「だから、領主の息子としてこの街をその時の元の姿に戻したいんだよ」
するとオルは額にシワを寄せ、うーんと悩んでいるような顔をしていった。
「…やっぱ分かんないや」
「あぁ、オルにやって欲しいこと言ってなかったっけ。オルには荷物持ちとか皿洗いとかサポート系の仕事をしてもらって」

「そうじゃなくてさー。何でロイがこんな街復興させる必要があんのさ?街が静かになったとかここの連中が勝手にびびってるだけじゃん。そんな奴らのためにロイが頑張る必要あるの?領主ならふんぞり返ってそいつらからお金貰っとけばいいじゃん。領主って貴族でそういうことやってる奴らだろ?知ってるぞ」
「オル?」
突然の暴力的な発言に僕は驚いた。

「やっぱ働くのやめよっかな」
先程までとは明らかにオルの態度が変わっていた。

「急にどうしたんだよ?」
困惑して僕は聞く。
「別に。ただ私は弱い奴は嫌いってだけ。誰かの助けをただ待ってる奴らなんか特に。災難てのはなー、自分の力でぶっ飛ばすもんだろ。そのために私は強くなったし。だからわたした……魔獣四王が集まった程度で何もできない奴らなんか助けたくないね。むしろロイはよくそんな奴らのためなんかに頑張れるよね」
「…」

そのオルの言葉からはオルの気持ちと一緒に意地を感じた。
何となくオルが嫌がっている理由がわかった気がする。

彼女の言っていることに色々と分からない部分もあったが、まとめると
オルは困難を1人で切り抜ける強さが大事だと言っているのだ。

それをしようともしない奴らを助けたくないと。
それは、親からも捨てられたという理不尽を受けた彼女の壮絶な人生から導き出された結論なのだろうか。

でもだとしたら、

その結論はとても悲しい、と僕は思った。
正直領民をまとめる立場からすれば理不尽な意見だとも感じたけれど、僕も真剣に答える必要がある。

呼吸を整え、僕はオルの目をみる。

「オルにどんな過去があって何に強くなって乗り換えたのかは僕には分かんないけどさ、この街の皆んなだってけっして弱くなんてない。何も知らないで勝手に悪く言うな!」
急に語気が強かなった僕に、オルは少し意外と言った顔をした。
「そうかなぁ?ありもしない恐怖に怖がってるビビリにしか見えないけどぉ?」

確かにいくら魔獣四王が集まったからって、皆んな何もかも諦めたように引きこもって、それが悪いっていうのは間違ってないかもしれない。けど。

「どれだけ強くたってできないことは誰にだってある、と思う。みんな怖いんだよ。魔獣四王集結なんて僕ら人間からすれば、魔王が4人傍にいるようなもんだ。オルは知らないと思うけど、僕も君だって奴らの一踏みでこなごなさ。だけどさ。こうなる前はこの街の市民皆んなこの街のために試行錯誤して頑張ってくれてたんだよ。商売してお金を貯めて、街を潤して、僕ら領主の権力にも負けじと意見して」

「だからって今この危機から逃げてるようじゃダメだろ」
「そうかもしれない。でも彼らの頑張りに僕ら領主側はすごい助けられてたのも事実だ。だから、民が怖がってる今こそ勇気を出して、彼らを導くのが僕たち領主の仕事だ。立ち向かえない危機が誰かに訪れてたら助けて、また助けられて、そうやって助け合って行動することが僕たち人間の強さだと僕は思う」
それを聞くとオルはキョトンとしたような顔をする。

「…助け合いが強さ?」
困惑したようにオルは言った。
その反応で僕は察した。

オルはきっと今まで誰にも助けられずに自分の力で乗り越えてきたんだ。

親に捨てられて、その後ずっと。
あるいは、オルの友達はオルを助けていたのかもしれない。けど、その大事さにオルは気づいてないんだ。

だったら、言ってやれ!
「そうだよ。オルは知らないみたいだけど、それだって超強い力なんだよ。オルが信じてる力くらい。っていうか君だって友達いるんだろ。その人たちだってオルが困ってたら助けてくれるんじゃないの?」
僕はオルの理論に反撃するつもりで力強く言った。
友達のことを引き合いに出されて、流石のオルも
狼狽えているようだ。

「そ、そりゃそうだけど」
「なのにオルがそんなに1人の強さに拘ってたら、オル、
「なっ!?」
返す言葉がないというようにオルは動揺しているのがわかった。
「で、でも結局ロイが勇気出したって結局意味ないんじゃないの?」
するとニヤーっとロイドは笑った。

「本当にそうかな?やっと僕たちの目的地に着いたし、見てみろよ」


そこには今までと打って変わってたくさんの人がいた。
皆んな忙しそうに出展の準備をしている。

ずっとこの街の人間が逃げただけだと思っていてオルは、その光景に言葉を失っているようだ。

そう、皆んな確かに一度は逃げたけど、街の奥でひっそりと反撃の機会を伺っていたんだ。

「オル、この街誰もいないって言ってたけど、ここにいるぞ」

「……」

そこには、数々の出店が並んでいた。
それも10や20ではなく、100近くある。

そう、オルが、逃げた弱者と言った住民たちは逃げながらもここで抗ってたんだ。
皆んながどこか活き活きとした顔で働いている。

僕は数日前、一件一件店を回って、
店を出してください、とお願いした時のことを思い出した。

あの時は、本当に慣れない事したせいで胃がひっくり返るような思いをしたっけっか。

けど、やってよかった。
オルにこんな顔をさせることができたんだから。

「僕たちはこの逆境にまだ負けてない。これから、祭りがあるんだ。僕はそれを反撃の狼煙にしたい。ここから全部取り戻す。だからオル、奢った分手伝ってくれるよな」

「ふっ、ふふ、くく、あっはっはっ」
オルの会った時からどこか不満そうだった顔がパァっと笑顔に変わった。

「群れることが人間の強さか。知らなかった。そっか。そりゃ面白いかも」
「なんだよ。そのひねくれた解釈」
「わかったよ。私の負け!仕方ないなぁ。私が手伝うんだから成功は間違いなしだな!任せておけ」

さぞ得意そうな顔でオルは胸に手を当てた

「その代わり、人間の強さってやつを見せてね、ロイ」

本当に大丈夫かな。こいつ。
得意そうなオルの顔を見ていたら、
なんだかちゃんと仕事できるのか、心配になってきた。







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