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しおりを挟む舞踏会の喧騒を抜け中庭に逃げ出した二人。
さすがに邪魔をする者はいない。
今ひと時は、二人だけのもの。
「セイラ、待たせて悪かった。それに黙っていたことも。
どう転ぶかわからなかったから、最終的にケリがつくまで伏せていたんだ。
心配させたね。本当にすまなかった」
ロベルトはセイラに向き合い、その手を握りながら許しを請うた。
「ロベルト様は騎士をお辞めになったと聞きました。それに、養子に入られるとも」
「うん。ガーラント家は元々クレイン家の遠縁に当たるんだ。
ガーラント家は跡取りがいないから、騎士である自分に跡を継がないかと誘いはきていた。
でも騎士に誇りを持っていたし、爵位を持つことの重責からずっと逃げていたんだ。
私には領地を治めつつ、辺境の地を守ることは荷が重すぎると思っていた。
だが、君との将来を見据えた時に運命だと思えてね。
君となら、セイラとなら超えられると思えたんだ」
真っすぐに見つめるその目に嘘はない。熱いまなざしにセイラの瞳も揺らいでいく。
「ロベルト様からの連絡が途絶えてしまって。どうすることもできなくて。
それなのに、ガーラント家からの婚約の申し出が・・・前の当主様からのお話だとばかり思って。私の噂はどんどん一人歩きして、誰にも相談できなくて、それなのに、ロベルト様からのお返事が他の方の代筆で・・・私は、私は・・・」
ぼろぼろと流れる涙を拭いもしないで、ただロベルトを責めるセイラ。
今までの思いを全て受け止めて欲しいと、子どものように泣きじゃくりながら攻め立てる。
ロベルトは、そんなセイラを包み込むように胸の中に抱きしめる。
「不安にさせたね。でも、もう大丈夫。すべてうまくいった。
これからはずっと一緒だ。誰にも邪魔はさせない。
セイラ、これからずっと私の側にいて欲しい。死が二人を分かつまで、ずっと」
腕の中にセイラを包み込み、背中をゆっくりと摩るように、なだめるように手を添える。
「ずっと一緒です。ずっと、ずっとおそばを離れません。覚悟してください」
少し落ち着きを取り戻したその顔に、泣き顔のような笑顔を作りロベルトを見上げた。
「くくく。ひどい顔だ」
ロベルトは堪らず口元に手を当てて、セイラの顔を覗き込む。
「ひどっ!誰のせいだと思っているのですか?もう、知りません!
私、ガーラント家になど嫁ぎませんから!!」
「あ?いや、すまない。そんなつもりじゃ・・・」
「じゃあ、どんなおつもりだったのですか?絶対に許しませんからね。もう帰ります」
「いや、セイラ待ってくれ。頼む、私が悪かった、許してくれ」
「知りません。ついてこないで下さい」
「ちょっ、セイラ!」
静かなはずの王宮中庭が、にわかに騒がしくなった。
二人の未来を象徴するような一幕。
中庭の池で羽を休めていた水鳥だけが、二人を見ていた。
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