だから、私はきみを呪う

ほし めぐま

文字の大きさ
30 / 104

義兄(あに)との遭遇

しおりを挟む
私はわかる。
義兄の視線を
興奮する息遣いを

義兄が27日くらいにわざわざ、
新潟から東京に来るということを

予想通りだった。

義兄は狐賀氏と別れる手筈を整えている
私に脈があると思っている。

だから、8月の27日。
おばあさんにお守りの授与《じゅよ》をしてる時、あれは私にこう声をかけた。

「ご利益あるんですかぁ。お姉さん。」

巫山戯ふざけたた髪の毛の色。
テープロープだらけの
サイバーパンクの原宿系の服。
変な色のサングラス。

声は…まあ、ありふれた若者。

ああ。art.ぼっくるか。

─すぅううう。

(私の顔が青白いことになぜ気づかない?)

(まだご婦人の授与の最中だと言うのに…。)

ご婦人に ようこそお参りくださいました。と言い、私は思い切り息を吸い頭を整理する。

(…本当に来たか。)

(また配信のネタにして、
                   これを笑いものにしてやろう。)

「そうですね。
   こちらの幸運守りは幸せになれますように…
                   …という意味がございますよ。」

(本当に末永く、頭お幸せに。)

すると踵を返し、とぼとぼと帰っていった。

「ようこそお参りくださいました。」

(帰る?…よかった。何事も無かった。)

これが1度目の遭遇。
2度目は職場の最寄り駅。
私は義兄のせいで精神が荒み、体が冷えるので季節外れのコートを着ながら、洗い物の装束をビニール袋に入れて持って帰った日の事だった。
コートが不要なくらい少し日が出て暑かった。

代官山ファッションに身を包んだ、ファンタスティックビーストのパチモンが改札の前をそわそわとポケモンのエンカウントしたらバトルが始まる系のNPCのように義兄が居た。

心のHPがない。
急いで駆けていけば、
あれに声掛けられずに済むだろうか。

─タッタッタッ。

「すみません!すみません!すみません!
   すみません!すすみません!すみません!」

(ああ。エンカウントとしてしまった。
  これはもう仕方ない身なりを整えているし、
  話だけは聴いて、この場を乗り切るか。)

横からNPCに声をかけて振り向かせた時みたいにぬるりと私は仕方なしにそれの方を向いた。

すると、
凄くそわそわしながら義兄はこう言った。

「あの、ナンパじゃあないんですけど…。」

(うんうん。ナンパではない。と。)

「見た目がすんごい好みで…。」

(見た目がすんごい好みぃ!?)

義兄が驚いた顔で沈黙する程には
度し難い顔を私はしていたんだと思う。

(それ…もう、ナンパじゃね?)

「ごめんなさい。」と私は言って、
義兄の空を切る手をを無視して通った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...