だから、私はきみを呪う

ほし めぐま

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長い長い夜 後半

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─すぅうう。シャアア!!

この晩はまだ続く。
どうやら私は世界に目をつけられていたらしい。

「にぃちゃんが対価に合わない事をして、
  にぃちゃんが大怪我負った。
  狐女。どうしてくれる?」

「何があったかお前の口で答えろ。」

「猫様がかっぱについてた、
   夜刀神を打ち倒しました。」

助かる術のひとつもない状態で、
私がいけないというのだろうか。

仕事帰りだったから石もなかったし、
うちの子達はかなわなかったし、

やっと助かったのに。

「それだけじゃないはずだ。
   谷。こいつが言ってる事の補足を。」

「敵の夜刀神にやられて、
   猫の下半身がなくなってました。」

「あと、あの人は弓も使ってました。」

「何号の弓?」

「2。」

「…なるほど。
  ぼくぅはこの女が厄介に
  目を逸らしてるようにしか見えんのだけど。」

─レイラちゃん!レイラちゃん!

「にぃちゃんは黙って!
   全てこの女の自業自得なんだから。」

「そして、嫌味な話。
  夜刀神の死骸に向かって、
  魑魅魍魎がお前の元に集まってるよ。」

笑うぬいぐるみ。
異臭。
私の部屋に散らばる夜刀神の鱗。

気を練って、網状にした所で鱗しか集まらない。
夜刀神本体は大きすぎて私もうちの子達も到底食べれない。食べたら、その神格の差で死んでしまうだろう。

「ぼくぅはにぃちゃんの回復の為に
  暫く、潜ります。
  女。お前の苦手なキンカチョウに代わるぞ。」

─すぅうう。

「また貴女ですか。何度目ですか。」

「暇ですね。
  猫の作った再生リストでも見ますか。」

徹夜なんてした事がないのに
魑魅魍魎を捌きながら、必死で鱗を集める。

流れるロリ神レクイエム。
涙を流す私を気にもとめず、
キンカチョウ様は谷氏にこう言った。

「あの子は人を守る為だけに
  自分の視力、聴力、味覚を失いました。
  貴方は通話を良くされていますが、
  霊力の耳しか、
  あの子には備わっていないのです。」

「このアプリはあの子に優しい。
  下手なコラボ機能もなければ、
  通話機能もない。」

「あの子を大事にしてくださいね。」

「そうそう。蛇のことですが。」

「彼は孤独では迷った果てに
   あの子達に兄弟として迎え入れられました。
   ああ。そういえば、そうだ。」

キンカチョウ様はふと、我に返る。
亡くなってしまった神様の再生リストを聴いて、
思い出したらしい。

魑魅魍魎は狐達を囲む。

「優しいあの子は、もう、居ないんでした。」

─レイラちゃん!

─すぅうう。

「レイラちゃん。」

榊乃葉氏《せんせい》だ。

「もう、大丈夫だよ。よく頑張ったね。
   あとは俺が全部食べるから。」

神格がこの死体の方が高い。
食べて取り込むということは
死体に負けて取り込まれるという事。
それは榊乃葉氏《せんせい》の死を意味する。

「いやだ。ピンセットもあるし。
  こんなもの。川に捨ててしまえばいい。」

「それでは解決しないんだ。レイラちゃん。」

「任せてレイラちゃん。」

─しゅううう…



─すぅうう。

「…にぃちゃん?」

「ああ、にぃちゃん!
  にぃちゃんの気配が消えた!」

「おい、狐女!どうしてくれる!!
  にぃちゃんが死んでしまった。」



「はぁああ。」

「…いいだろう。」

「ライガ、レフ、白虎、紺、紅、甫。
  お前の守護獣を回復させてやろう。」

「ただし、お前は何度も同じ過ちを繰り返す!
  これは呪いだ!いつか消えると思うなよ!」

蛇神の気配が薄く少しずつ存在が色褪せていく。

「にぃちゃん。独りにはしないよ。」

─しゅううう…



─すぅうう。

「お姉ちゃん。また会ったね。
   お姉ちゃんは変われなかったんだね。」

この状況を変えられるのはおひぃ様ただ1人だ。
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