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ミント篇
アネモネ
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院長の喜ぶ顔を想像している俺は、かなりちょろいと思うが、俺は院長みたいな悪女っぽいのが好きなのだから仕方がない。
嬉々として孤児院に帰って、院長室に入った。
院長は調べ物をしていたようで、机の上にいくつもの文書が開かれていた。
「あら、早かったのですね。憑依されますか?」
俺は頷いて、院長の胸に飛び込んで行った。憑依するためにだが。
「院長、『分裂』と『修復』を手に入れたぞ」
(え? もうですか。さすがボーン様です! すごいですっ)
「院長に喜んでもらおうと必死だったよ」
(また、そんな。でも、嬉しいです)
「それで『授与』を持っている魔物はわかったか?」
(調べました。あっけなく見つかりました。「授与」は人間のスキルです。持っているのは「国王」や「教皇」など役職を人に与えるポジションにいる人物です)
「国王や教皇は簡単には殺せないんじゃないか?」
(はい。ですので、今、他に該当者がいるかどうか調べていたのですが、村の長が持っているケースが多いようです。それで、このデリト村の長はいかがかと)
「近いな」
ミントから見て、ダンジョンの向こう側の山のふもとの村だった。
(ここの村長は村の若い娘を侍らして、やりたい放題の暴君のようです。誅殺しても問題ないかと思います)
「そうか。さっそく殺してくるか」
(え? 今、帰ってこられたばかりですよ。少し休まれては?)
「俺は疲れないんだ。眠らないし、食べないし。善は急げだ。さっそくやっつけて来るよ」
(わかりました。ボーン様、素敵です。ご武運をお祈りしておりますわ)
この契約による憑依だが、さっきも感じたのだが、院長との一体感が半端ない。まるで結婚したての新婚のときのような気分だ。院長のことが愛おしくてたまらなくなってくる。
この不思議な感覚に違和感を感じるべきだった。俺が契約したのはアンデッドと人間の契約ではなく、「魔女の契約」と呼ばれるものだったのだ。俺が院長に感じる親近感はチャームの効果と同じものだった。
院長、すなわち、アネモネは魔女だった。
しかし、このときの俺は、まだアネモネに踊らされていることに全く気付かず、デリト村の村長を殺害し、「授与」のスキルを持って帰って来た。
デリト村の村長はアネモネの言った通り無茶苦茶な男で、殺してしまうのは問題なかった。こんな所で綻びが出ないように、アネモネはここでは嘘をついてはいない。
アネモネがついた嘘は二つだ。
一つ目は契約が「魔女の契約」と呼ばれるものだったこと
もう一つは、最初から若返りの方法を知っていた
ということだ。
アネモネは永遠の若さを維持する方法を知り、契約可能な知能を持ったアンデッドを探していた。悪魔にはチャームは効かないが、人の心を持つアンデッドにはチャームが効くからだ。
そして、霊感を持った少女リズを見つけ、リズの孤児院の院長になり、リズが知的アンデッドを見つけて来るように、リズを何度もダンジョンに潜らせた。
リズを青田売りするつもりは全くなく、あれはリズを冒険者に守らせていたのだった。チェキに冒険者がメモを渡そうとしたのを俺が早とちりして、殺してしまったのだ。
その後、ビートの話を聞いて、リズにアンデッドが狙いであることを疑われないようかなり注意しながら、上手くリズと一緒に凄腕冒険者を投入できたので、俺を捕まえられると確信していた。
ところが、冒険者は帰って来ず、リズが失踪してしまったのでかなり落胆し、諦めて別の場所でもう一度やり直すつもりだった。そこにリズが俺を連れて帰って来たので狂喜した。
その後は、俺の知っている通りだ。俺のチャームには引っかかった振りをしていたらしい。最初の頃は大根役者級で、自分でもかなり恥ずかしかったようだ。
徐々に俺から信頼を得るようにして、たまにチラリとお色気を見せながら、人間に憑依したいという話が出るのをずっと待っていた。
リズとアリサの高等教育をアネモネが俺に勧めてきたのは、それも理由だったのだ。
俺がアネモネに「分裂」と「修復」のスキルを与えた途端、アネモネが上記を一気に説明してくれた。
「ボーン様、騙してしまってごめんなさいね。もう憑依はおしまいよ。あれ、かなり恥ずかしいのよ。で、どうする? 私を殺す?」
アネモネは「偽装」というスキルを持っており、鑑定に虚偽情報を見せることが出来るそうで、実はチャットの魔法を使うことが出来るそうだ。
(憑依されて俺の気持ちは分かったはずだ。もちろん殺さないさ。何だかんだ言って、俺はアネモネのことが好きだからな。アネモネはどこかに行くのか?)
「どこにも行かないわ。魔女の契約でも、ボーン様に対価を支払うのは同じよ。ボーン様が憑依のスキルを授かるまではご一緒するわ。よろしくね」
魔女アネモネとの長い長い腐れ縁の始まりだった。
ーー データ ーー
名前:ボーン
種族:スケルトンナイト レベル2102
魔法:マップ、フィア、フレア、デス、
チャーム、イリュージョン、デュアル
技能:無痛、復活、剣技、拳闘、鑑定、
迷彩、跳躍、俊足、無音、索敵、
集音、投擲、解錠、裁縫、刀技、
忍術、変態、触覚、毒針、怪力、
複眼、操糸、蛍光、営巣、蜜蝋、
集蜜、人形、商才、算術、簿記、
格納、行商、馬術、交渉、契約、
合成、潜水、魚泳、授与
経過日数:85
リズ レベル2102、チャット、ハウント、
スチール、オーラ、サモン、
霊感、睡眠
アリサ レベル2102、サンダー、ライト、
グラビティ、メテオ、タイム、
算術、記憶
サーシャ レベル2102、キュア、クリーン、
デトクス、ガード、オラクル
霊視
嬉々として孤児院に帰って、院長室に入った。
院長は調べ物をしていたようで、机の上にいくつもの文書が開かれていた。
「あら、早かったのですね。憑依されますか?」
俺は頷いて、院長の胸に飛び込んで行った。憑依するためにだが。
「院長、『分裂』と『修復』を手に入れたぞ」
(え? もうですか。さすがボーン様です! すごいですっ)
「院長に喜んでもらおうと必死だったよ」
(また、そんな。でも、嬉しいです)
「それで『授与』を持っている魔物はわかったか?」
(調べました。あっけなく見つかりました。「授与」は人間のスキルです。持っているのは「国王」や「教皇」など役職を人に与えるポジションにいる人物です)
「国王や教皇は簡単には殺せないんじゃないか?」
(はい。ですので、今、他に該当者がいるかどうか調べていたのですが、村の長が持っているケースが多いようです。それで、このデリト村の長はいかがかと)
「近いな」
ミントから見て、ダンジョンの向こう側の山のふもとの村だった。
(ここの村長は村の若い娘を侍らして、やりたい放題の暴君のようです。誅殺しても問題ないかと思います)
「そうか。さっそく殺してくるか」
(え? 今、帰ってこられたばかりですよ。少し休まれては?)
「俺は疲れないんだ。眠らないし、食べないし。善は急げだ。さっそくやっつけて来るよ」
(わかりました。ボーン様、素敵です。ご武運をお祈りしておりますわ)
この契約による憑依だが、さっきも感じたのだが、院長との一体感が半端ない。まるで結婚したての新婚のときのような気分だ。院長のことが愛おしくてたまらなくなってくる。
この不思議な感覚に違和感を感じるべきだった。俺が契約したのはアンデッドと人間の契約ではなく、「魔女の契約」と呼ばれるものだったのだ。俺が院長に感じる親近感はチャームの効果と同じものだった。
院長、すなわち、アネモネは魔女だった。
しかし、このときの俺は、まだアネモネに踊らされていることに全く気付かず、デリト村の村長を殺害し、「授与」のスキルを持って帰って来た。
デリト村の村長はアネモネの言った通り無茶苦茶な男で、殺してしまうのは問題なかった。こんな所で綻びが出ないように、アネモネはここでは嘘をついてはいない。
アネモネがついた嘘は二つだ。
一つ目は契約が「魔女の契約」と呼ばれるものだったこと
もう一つは、最初から若返りの方法を知っていた
ということだ。
アネモネは永遠の若さを維持する方法を知り、契約可能な知能を持ったアンデッドを探していた。悪魔にはチャームは効かないが、人の心を持つアンデッドにはチャームが効くからだ。
そして、霊感を持った少女リズを見つけ、リズの孤児院の院長になり、リズが知的アンデッドを見つけて来るように、リズを何度もダンジョンに潜らせた。
リズを青田売りするつもりは全くなく、あれはリズを冒険者に守らせていたのだった。チェキに冒険者がメモを渡そうとしたのを俺が早とちりして、殺してしまったのだ。
その後、ビートの話を聞いて、リズにアンデッドが狙いであることを疑われないようかなり注意しながら、上手くリズと一緒に凄腕冒険者を投入できたので、俺を捕まえられると確信していた。
ところが、冒険者は帰って来ず、リズが失踪してしまったのでかなり落胆し、諦めて別の場所でもう一度やり直すつもりだった。そこにリズが俺を連れて帰って来たので狂喜した。
その後は、俺の知っている通りだ。俺のチャームには引っかかった振りをしていたらしい。最初の頃は大根役者級で、自分でもかなり恥ずかしかったようだ。
徐々に俺から信頼を得るようにして、たまにチラリとお色気を見せながら、人間に憑依したいという話が出るのをずっと待っていた。
リズとアリサの高等教育をアネモネが俺に勧めてきたのは、それも理由だったのだ。
俺がアネモネに「分裂」と「修復」のスキルを与えた途端、アネモネが上記を一気に説明してくれた。
「ボーン様、騙してしまってごめんなさいね。もう憑依はおしまいよ。あれ、かなり恥ずかしいのよ。で、どうする? 私を殺す?」
アネモネは「偽装」というスキルを持っており、鑑定に虚偽情報を見せることが出来るそうで、実はチャットの魔法を使うことが出来るそうだ。
(憑依されて俺の気持ちは分かったはずだ。もちろん殺さないさ。何だかんだ言って、俺はアネモネのことが好きだからな。アネモネはどこかに行くのか?)
「どこにも行かないわ。魔女の契約でも、ボーン様に対価を支払うのは同じよ。ボーン様が憑依のスキルを授かるまではご一緒するわ。よろしくね」
魔女アネモネとの長い長い腐れ縁の始まりだった。
ーー データ ーー
名前:ボーン
種族:スケルトンナイト レベル2102
魔法:マップ、フィア、フレア、デス、
チャーム、イリュージョン、デュアル
技能:無痛、復活、剣技、拳闘、鑑定、
迷彩、跳躍、俊足、無音、索敵、
集音、投擲、解錠、裁縫、刀技、
忍術、変態、触覚、毒針、怪力、
複眼、操糸、蛍光、営巣、蜜蝋、
集蜜、人形、商才、算術、簿記、
格納、行商、馬術、交渉、契約、
合成、潜水、魚泳、授与
経過日数:85
リズ レベル2102、チャット、ハウント、
スチール、オーラ、サモン、
霊感、睡眠
アリサ レベル2102、サンダー、ライト、
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デトクス、ガード、オラクル
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