スケルトンに転生した。冒険者に倒され続ける毎日だったが、冒険者を倒すとレベルアップするんだな

もぐすけ

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王都篇

必然の出会い

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 サーシャはマーガレットを縛り上げ、馬車の荷台に放り込み、馬を走らせた。

 先ほどまでは怒りに任せて行動してしまったが、マーガレットを連れ去ったのは、かなりまずいことだとようやく気づいた。

(教会を本気にさせてしまいますわ)

 ただ、普通に聖女修行したかっただけの自分の人生、そして、その人生はおじ様が用意してくれたものなのに、それを理不尽に滅茶苦茶にしたマーガレットの仕打ちはどうしても許せなかった。

 聖女候補はサーシャを除いて全員が貴族の令嬢だ。サーシャのみ平民で、しかも、孤児だ。マーガレットは極端だが、他の聖女候補や教師陣もサーシャには冷たかった。

 この国というか、人間社会は、立場の弱い者を虐めて搾取することを是としている。奴隷は最も弱い立場にあり、尊厳や命までもが簡単に踏み躙られる。そこから脱却したと思ったのだが、自由市民も貴族からすれば、奴隷と同じだった。

(おじ様は誰にでも平等に接してくれますのに。おじ様が王様だったらよろしかったのに)

 サーシャはボーンに会いたい一心でミントに向かおうとしていたが、自分のしでかしたことで、ボーンに迷惑がかかることに今更ながら気づいた。

(おじ様のところには帰れませんわ)

 サーシャは馬を反転させ、元来た道を戻り、聖女宿舎に帰った。

 聖女宿舎では聖女候補たちが従業員たちの手当てを済ませて、食堂に集まって善後策を話し合っていた。

 サーシャはマーガレットの縄をほどいて解放した。サーシャは聖女候補たちに訴えた。

「マーガレットが執拗に私に嫌がらせをして来たことは皆さんもご存知かと思いますわ。独房に入れられて、餓死させられるところでしたが、そうまでして、私に聖女修行をさせない理由を教えて頂きたいの。そのために戻って来ましたわ」

 マーガレットはすっかり怯えて何も言えなかったが、マーガレットが従えている二人が口々に言った。

「あなたが貴族ではないからですわ」

「そうですわ。ここは貴族の世界、平民はお呼びでなくてよ」

「あなたがどんなに強くても、私たちはあなたを排除し続けるわ」

 残りの聖女候補たちも同じ考えであることは、目や口元で分かった。

「分かりましたわ。出て行きます……」

 サーシャはまだ十四歳だ。今は身分社会の絶対的な壁に屈するしかなかった。

(おじ様、私、悔しい……。おじ様が大切にしてくれる私を大切にしないこの人たちを許せない)

 サーシャは再び聖女宿舎を出て、馬にまたがり、王都の冒険者組合に向かった。このままミントに帰ることも考えたのだが、リズやアリサは頑張っているはずだ。彼女たちを裏切れないと思い、三年間、自分なりに修行してみようと考えたのだ。

 王都は聖女宿舎から馬で十分ほど行ったところにある。王都は城塞都市だが、自由民であれば出入りは自由だ。

 冒険者組合に入ると、昼過ぎだったので、人はまばらだった。組合が混むのは朝夕だ。

 掲示板で仕事を探していると、誰かが近づいてくる。さっさくナンパかとサーシャはウンザリしたが、意外にも声をかけて来たのは、二十歳ぐらいの美しい女性だった。

「あなた、確かあのスケルトンの仲間よね。一人なの? 仲間はどうしたの?」

 サーシャは霊視ができる。よく注意しないと分からなかったが、目の前にいる女性に霊体が二つ見えた。

「憑依?」

 女性がピクリとして、サーシャをじっと見て、驚いている。

「あなた、レベルがとんでもないじゃない。あ、ごめんなさい。鑑定しちゃったわ。憑依がバレたのは霊視のスキルね」

「スケルトンクイーンのお姉様?」

「そう。クレアと呼んで。あなたは?」

「サーシャですわ」

「あなた凄い美少女だから、すぐにあのスケルトンの仲間だと分かったけど、他の仲間はどうしたの?」

 サーシャは涙をぽろぽろ流し始めた。

「あらら。さてはあのロリコンに変なことされたのね。いきなり私の腕を握ったり、スケベトンなのよ、あの男はっ」

「い、いえ、違いますわ」

「話を聞かせて。そうね、仕事探しているのでしょう? 私が雇うってのでどう? そこの貼り紙が私のよ。護衛を探しているのだけど、あなた以上に強い人はいないでしょ。それに女性だと気が休まるわ。給与は弾むわよ。冒険者組合通す? それとも、私と直接契約する?」

 相変わらずペースの速い人だと思いつつも、サーシャはこの女性となら、いい修行ができるのではないかと思った。

「お願いしますわ。契約はどちらでも構いませんわ」

「じゃあ、直接契約で。よろしくね。さあ、行くわよっ。事情は行く途中で聞くわ」

「どこですの?」

「王宮よ」
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