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積もる話をしました
しおりを挟む私たちは応接室を借りて、三人で話を始めた。
落ち着いた感じの調度品が揃えられた素敵な部屋だった。
イチさんという方がお茶を淹れてくれたが、私は何だか無性に喉が渇いていて、お水を頂くようお願いしたところ、たっぷりとお水も用意してくれた。
少々はしたなかったが、私はお水を三杯ほど立て続けに飲み干してから、話を始めた。
「シエルさん、ソフィアはどうしたのかしら?」
私は先ほどからソフィアの姿がないことが気になっていた。
「ソフィアはエドワードに嫁ぎました。エドワードは国王になっています。ソフィアは王妃となり、王女と王子を産んでいます」
私は驚きを隠せなかった。ソフィアが私にシエルを譲ってくれようとでもしたのだろうか。
「それは驚いたわね。エドワードが王になったのはさて置き、まさかソフィアさんが。あなたたちは恋人同士だと思っていたのだけれど……」
「いいえ、それは違います。私はエドワードの素行を問題視したパルマ家から密令を受けて、学園に入学したのです。ソフィアとペアになるのは最も重要な使命でした」
何てことかしら。二人の邪魔をしないよう努力していたのに。でも、ソフィアには受け入れられる話ではなかったはずだ。
「ソフィアは傷ついたのではなくて?」
満面の笑顔で、いいパートナーに出会えてよかったと喜んでいたソフィアの顔が思い浮かんだ。
「はい、物凄く傷ついたはずです」
アナスタシアが代わりに答えた。
シエルが驚いてアナスタシアを見ている。
「アナさんはシエルさんのペア魔法のパートナーかしら?」
「はい、ソフィアの後釜でパートナーになりました。私からシエル様に申し込みました。もう十年になります」
私は二人の関係に違和感を感じた。
「なぜ同級生なのにシエル様って呼んでいるの? お二人はご結婚されてはいないのかしら?」
「シエル様は私の雇い主なのです」
「部下ってこと? 十年間も?」
「はい、学園にいるときからですので、ちょうど十年です」
シエル、悪いやつだ!
「シエルさん、女の子の気持ち、分かっているの!?」
私はシエルを思わず睨んだ。
「ア、アナにはエルザ様の石化を解いた後に、結婚を申し込むつもりでしたっ」
シエルが慌てて弁明した。
「シエル様っ! ご自分のお気持ちを偽ってはなりません!」
一瞬びっくりして固まっていたアナスタシアが、我に返って叫んだ。
「いや、しかし……」
「イチさんに聞きましたっ。魔族は晩婚化が進んでいるらしく、二十六でも全然大丈夫だそうです。私、魔国でいい男をみつけますから、ご心配なくっ」
「どういうことなの? シエルさんには好きな女性がいらっしゃるの?」
そんな女性はいなかったように思ったが、私が眠っていた間に好きな女性が現れたのであろうか。
「いえ、そんなことはない、です」
「ほら、私のことは好きではないのです」
「いや、そういうわけでは……」
何だかシエルの歯切れが悪い。十年前の聡明で大人びた感じが無くなってしまっている気がする。
シエルにもう少し色々と突っ込みたかったのだが、何だか先ほどから眠くて仕方がない……。
まずい、意識が……
「あ、エルザ様っ、どうされましたかっ!」
「イチさんを呼んできますっ」
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