愛のない結婚はごめんですわ

もぐすけ

文字の大きさ
14 / 29

積もる話をしました

しおりを挟む

 私たちは応接室を借りて、三人で話を始めた。

 落ち着いた感じの調度品が揃えられた素敵な部屋だった。

 イチさんという方がお茶を淹れてくれたが、私は何だか無性に喉が渇いていて、お水を頂くようお願いしたところ、たっぷりとお水も用意してくれた。

 少々はしたなかったが、私はお水を三杯ほど立て続けに飲み干してから、話を始めた。

「シエルさん、ソフィアはどうしたのかしら?」

 私は先ほどからソフィアの姿がないことが気になっていた。

「ソフィアはエドワードに嫁ぎました。エドワードは国王になっています。ソフィアは王妃となり、王女と王子を産んでいます」

 私は驚きを隠せなかった。ソフィアが私にシエルを譲ってくれようとでもしたのだろうか。

「それは驚いたわね。エドワードが王になったのはさて置き、まさかソフィアさんが。あなたたちは恋人同士だと思っていたのだけれど……」

「いいえ、それは違います。私はエドワードの素行を問題視したパルマ家から密令を受けて、学園に入学したのです。ソフィアとペアになるのは最も重要な使命でした」

 何てことかしら。二人の邪魔をしないよう努力していたのに。でも、ソフィアには受け入れられる話ではなかったはずだ。

「ソフィアは傷ついたのではなくて?」

 満面の笑顔で、いいパートナーに出会えてよかったと喜んでいたソフィアの顔が思い浮かんだ。

「はい、物凄く傷ついたはずです」

 アナスタシアが代わりに答えた。

 シエルが驚いてアナスタシアを見ている。

「アナさんはシエルさんのペア魔法のパートナーかしら?」

「はい、ソフィアの後釜でパートナーになりました。私からシエル様に申し込みました。もう十年になります」

 私は二人の関係に違和感を感じた。

「なぜ同級生なのにシエル様って呼んでいるの? お二人はご結婚されてはいないのかしら?」

「シエル様は私の雇い主なのです」

「部下ってこと? 十年間も?」

「はい、学園にいるときからですので、ちょうど十年です」

 シエル、悪いやつだ!

「シエルさん、女の子の気持ち、分かっているの!?」

 私はシエルを思わず睨んだ。

「ア、アナにはエルザ様の石化を解いた後に、結婚を申し込むつもりでしたっ」

 シエルが慌てて弁明した。

「シエル様っ! ご自分のお気持ちを偽ってはなりません!」

 一瞬びっくりして固まっていたアナスタシアが、我に返って叫んだ。

「いや、しかし……」

「イチさんに聞きましたっ。魔族は晩婚化が進んでいるらしく、二十六でも全然大丈夫だそうです。私、魔国でいい男をみつけますから、ご心配なくっ」

「どういうことなの? シエルさんには好きな女性がいらっしゃるの?」

 そんな女性はいなかったように思ったが、私が眠っていた間に好きな女性が現れたのであろうか。

「いえ、そんなことはない、です」

「ほら、私のことは好きではないのです」

「いや、そういうわけでは……」

 何だかシエルの歯切れが悪い。十年前の聡明で大人びた感じが無くなってしまっている気がする。

 シエルにもう少し色々と突っ込みたかったのだが、何だか先ほどから眠くて仕方がない……。

 まずい、意識が……

「あ、エルザ様っ、どうされましたかっ!」

「イチさんを呼んできますっ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

邪魔者な私なもので

あんど もあ
ファンタジー
婚約者のウィレル様が、私の妹を食事に誘ったと報告をしてきました。なんて親切な方なのでしょう。でも、シェフが家にいるのになぜレストランに行くのですか?  天然な人の良いお嬢さまが、意図せずざまぁをする話。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約破棄されたので頑張るのをやめました 〜昼寝と紅茶だけの公爵令嬢なのに、なぜか全部うまくいきます〜あ

鍛高譚
恋愛
王太子から婚約破棄された衝撃で階段から落ちた公爵令嬢シャル・ド・ネ・アルベール。 目覚めた彼女は、なんと前世の記憶——ブラック企業で働き詰めだったOL・佐伯ゆかりとしての人生を思い出してしまう。 無理して働いた末に過労死した前世の反省から、シャルは決意する。 「もう頑張らない。今度の人生は“好き”と“昼寝”だけで満たしますわ!」 貴族としての特権をフル活用し、ワイン造りやスイーツ作りなど“趣味”の延長でゆるゆる領地改革。 気づけば国王にも称賛され、周囲の評価はうなぎのぼり!? 一方、彼女を見下していた王太子と“真実の愛()”の令嬢は社交界で大炎上。 誰もざまぁされろなんて言ってないのに……勝手に転がり落ちていく元関係者たち。 本人はただ紅茶とスコーンを楽しんでいるだけなのに―― そんな“努力しない系”令嬢が、理想の白い結婚相手と出会い、 甘くてふわふわ、そしてちょっぴり痛快な自由ライフを満喫する ざまぁ(他力本願)×スローライフ×ちょっと恋愛な物語です♪

処理中です...