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ケジメを付けさせてもらいました

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「エドワードを仕留めました。まだ生きてますが、瀕死の状態です。あ、ソフィアが殺しちゃうかも!?」

 私はゼクウたちにエドワードの状況を報告した。私の位置からしか、ソフィアたちの姿は見えないのだ。

 結果から言うと、ソフィアは思いとどまった。後で聞いたら、私が殺さなかったのに、何か理由があるかもしれないと思ったからだという。

 近くにいるソフィアに影響が出ないようにしただけで、死んでくれてもよかったのだが。

 エドワードが戦闘不能となり、国王の次に地位の高いソフィアがすぐに総大将を代行し、王国軍は魔国軍に降伏した。兵士からの抵抗はなかった。あの魔法を見せられたうえに、総大将である国王を狙い撃ちされては、戦意を喪失して当然だろう。

 私たちは、国境の街ダゴダまで進軍し、街を制圧した。この地方の領主の邸宅を没収し、軍の本部を置いた。ここをとりあえずは、王国征服の拠点としたのだ。

 まずは身柄を確保しているソフィアから話を聞くことにした。ソフィアが話しやすいように、私とシエルとアナスタシアとの四人の会談形式にした。

 部屋に入ってきたソフィアは、シエルを見ると嫌そうな顔をした。十年ぶりに見るソフィアは相変わらず綺麗だったが、少し疲れている感じだった。

「エルザお姉様、よくぞご無事でっ」

 ソフィアは私を見て、満面の笑顔になった。大人の顔になったが、私によく見せていた笑顔と変わらない。私とソフィアの関係は、昔のままであることを私は確信した。

「ええ、あなたは苦労したのかしら?」

「エドワードとのことはそちらの二人からお聞きになったのですね。苦労したのは、ここ数ヶ月だけです。それまで、エドワードは優しかったです」

「……エドワードが優しかった?」

 何かの冗談かと思った。

「多分、僕とソフィアが再度ペアになることを恐れて演技したのでしょう」

 シエルが会話に加わると、ソフィアはシエルに対してぷいっとソッポを向いた。シエルは相当ソフィアに嫌われているようだ。

 こういうのは放っておこう。

 ソフィアは私に向き直って、話を続けた

「でも、この数ヶ月は酷かったです。言うことを聞かないと、子供や親兄弟を殺すと脅されてました」

「自分の子供も!? 相変わらず下衆い男ね。で、エドワードはどうしたのかしら?」

「エドワードの直轄部隊に預けて来ました」

「それって、ひょっとしてパルマ部隊?」

 シエルだと話してくれないため、アナスタシアが彼の代わりに質問した。

「ええ、そうよ。アナ、まだそんな男と一緒にいるの?」

「私たち、結婚したのよ」

 アナは夫をそんな男呼ばわりされて、少しムッとしている。

「え……!? な、んで? エルザ姉様は?」

「え? 私? 私は魔国の皇太子殿下と婚約しているのよ」

 なぜ突然ソフィアが私のことを聞いたのか不思議だったが、いい機会なので話しておいた。

「はあっ!?」

 ソフィアが心底驚いたという顔をしている。

 女子の会話はすぐにこっちの方向に向かってしまう。シエルに議長役を代わってほしいが、ソフィアが話さなくなってしまうから、私が続けるしかない。

「そういう話は後にして、まずは国の話をしましょう。パルマ部隊が王の直轄なの?」

「はい。エドワードが力でねじ伏せて、直属の部下にしています。経緯はともあれ、瀕死の王は、直属の部隊に任せるのが一番ですよね。案の定、誰からも文句は出ませんでした」

 そう言って、ソフィアは小悪魔的な笑みを浮かべた。

「恐らくパルマ家は、王を治療すると言いながら、生かさず、殺さずの状態にするだろう」

 シエルがそう呟いても、ソフィアは素知らぬ顔をしている。

 王に恨みを持つパルマ家に瀕死の王を預けるとは、ソフィアもなかなかやってくれる。

 田舎から出て来たばかりで、私に頼ってばかりだったあのソフィアが、強かになったものだ。

 私はソフィアに単刀直入に聞いてみた。

「ソフィア、あなた王国を掌握できる?」
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