英雄の俺が転生憑依した男は、S級冒険者パーティの下働きだった。頭に来た俺は、ダンジョン攻略中に全員の荷物を持ってパーティから逃げ出してやった

もぐすけ

文字の大きさ
12 / 28
追跡

オヤジ全開

しおりを挟む
 俺はウィンドカッターを撃ち、アンジェラのローブの胸の辺りを切り裂いた。アンジェラの真っ白な胸が露わになった。大きくても張りのある乳房とピンク色の乳首で、実に綺麗な胸をしている。

「きゃっ」

 アンジェラが可愛らしい声を出して胸を隠してうずくまった。

「すまん。下着をつけてなかったのか。そんなつもりはなかった。謝る」

 俺は深々と頭を下げた。もちろんそんなつもりだったのだが、きゃっ、なんて言われると、オヤジ心がくすぐられて、もう少しエッチなことをしてみたくなる。

「次はスカートを短くしてみようか?」

 自分でもどうかと思うくらいオヤジ全開になってしまった。師匠がため息をついている。アンジェラがきっと俺を睨んだ。追い詰められたアンジェラの周囲が揺らめき出した。

 俺はこれを待っていた。そうなのだ。俺はアンジェラを追い詰めたかっただけなのだ。スケベ心を出したわけではない。後で師匠にしっかりと説明しておかねばなるまい。

 アンジェラがモモ師匠から学んだ魔導書の秘奥義「サクラ吹雪」を唱えている。

「おいおい、こんなところでそんなのぶっ放したら、みんな死んじゃうんじゃないか?」

 観客がざわめき出す。

「制御出来るわよ。死になさい、この変態っ!」

 アンジェラはやはり魔法の天才だ。魔法を発生させるのは簡単だが、対象への方向付けが難しい。だが、アンジェラは強大な魔法の力全てを俺に向けて来た。

 「絶対魔法防御」は魔法による物理現象が起きる前に魔法を無効化する魔法だ。魔法によって引き起こされた物理現象は魔法ではないため、「絶対物理防御」で対応する。要は、魔法に対しては、この二つの秘奥義を同時に発現させる必要がある。これが実に難しいのだ。

 師匠は呆れるほど簡単にやってのけるのだが、俺はなかなか両方を同時にこなすことができずにいた。一年の最後の方になって、ようやくホムンクルス十体からの魔法を無効化できるようになったが、アンジェラの秘奥義はどれほどのものだろうか。

 魔法が着火されると、化学反応が連鎖的に発生するが、次々に連鎖されないように「絶対魔法防御」で発火前の原料の方を中和する。その間に実体化した物理現象が襲ってくるため、「絶対物理防御」で物理現象の方も中和する。

 多種多様の現象が同時進行で発生するため、分析と対応でやることが沢山ありすぎて大忙しなのだが、この絶対防御シリーズはその演算を猛烈なスピードでこなす能力と時間を与えてくれる。

 やっべえ、ギリギリ間に合った。すっげえ魔法だな。もう少しでサクラの花びらになっちゃうところだったぜ。いざというときは助けて欲しいと師匠に頼み込んでついて来てもらったが、何とか自分だけで対処できたようだ。

「何だ? もう終わりか?」

 涼しい顔で立っている俺を見て、アンジェラはへなへなと座り込んでしまった。

「何なのよ…。マモル、あなた化け物なの……?」

 実際には冷や汗ものだったが、そんなことはおくびにもだしてはいけない。何してんの、という態度が非常に重要なのだ。

「化け物? 師匠じゃあるまいし。俺は普通の青年だぜ。じゃあ、次はスカートだな」

 俺はアンジェラが弱いところを見せるたびに興奮してしまい、スケベ心を抑えることが出来ない。

「こら、女の子をいじめんじゃないわよ」

 俺は師匠から頭を小突かれた。

「いや、師匠。アンジェラは女の子ってタマじゃないですよ。ここで心をへし折っておかないと、世の中のためにならないですよ」

「あの子泣いちゃってるわよ」

 まさかと思ってアンジェラを見ると大粒の涙を流していた。何だか観客の視線も冷たい。

「もう、分かりましたよ」

 俺は座り込んで肩を落として泣いているアンジェラの背中をポンポンと叩いた。

「アンジェラ、お前、魔法の天才なんだから、男虐めて遊んでないで、もっと修行しろよ」

 アンジェラの手を取って起こしてやろうとした瞬間、アンジェラが魔法の起動準備をしたので、俺は慌てて手を離した。コイツ、直接精神魔法を流し込もうとしやがった。

「ちっ、バレたみたいね。どうやって魔法を感知してるのよ。あなた、私のおっぱい見ておいて、ちゃんと責任取りなさいよっ」

「いや、おっぱい見たのは俺だけじゃない……ぞ?」

 観客たちを見たが、全員が目を逸らしていた。

「あなたのパーティに入ってあげるから、修行に付き合いなさいよっ」

「いや、お前、これまで俺にして来たこと、チャラにできると思ってんのか」

「小さなことグダグダ言わないでよ。兄さん、私、マモルと一緒に行くから」

「ああ」

 キースが簡単に許している。

「ああ、じゃねえだろ。俺たちは敵同士だぞ!」

「マモル、いや、マモルさん。俺たち兄妹は早くに両親を亡くして、世の中に舐められないよう強くあろうと頑張って来ました。俺たちよりも強い人には素直に敬意を表します。妹のこと、よろしくお願いします」

 何だかいい話になってるぞ。観客にも泣いているやつがいる。こんなはずではなかったのだ。アンジェラをああして、こうしたかったのだ。

 ああっ、もう、仕方ない。こいつらとはこの辺りで手打ちとしてやるか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

処理中です...