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処罰
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「なあ、この街を逃げ出すってのはどうだ?」
俺はダメ元で提案してみた。
組合長室から出た俺たちは、ロビーの四人席に座って、今後について話し合いをしていた。
「組合に睨まれたら冒険者としてやっていけないわ。それにじじいには私たち兄妹はとても世話になっていて、裏切るなんて出来ないわよ」
じじいって、世話になった人への呼び方じゃないな。
「組合長が育ての親なんでしょ? キースに聞いたことがあるわ。それよりジーク、マモルを出してよ。話したいのよ」
「そう言われてもなあ。簡単に出し入れ出来ないぞ。おい、ちょっと待て、俺を殺したら、マモルも間違いなく死ぬぞ」
リサからまた殺気が漏れて来たので、釘を刺しておく。
「何言ってんのよ、殺すわけないじゃない。ああ、早くマモルに会って、虐めたいよう」
何なんだコイツは。愛の形が変過ぎるぜ。
「ちょっと色々試してみるぜ。マモルがいることは確かだからな」
「もうリサは一緒で仕方ないとして、問題はイメルダよ。一緒に育って妹みたいで、私には従順だけど、私以外には何をするか分からないわ。みんなも知っているとは思うけど」
「仕方ないって何よ。マモルと私が一緒にいるのは当たり前のことだからね。そのイメルダって、挨拶する程度で噂しか知らないけど、人格以外は組合長の後継者と言われているわね」
「そうよ。素行が悪いからB級神官だけど、実力は間違いなくS級よ。今は私にはまだ勝てないと思うけど、追い抜かれたら、私の言うことも聞いてくれるかどうか。実際、兄さんの言うことは全く聞かなくなったから」
「そういえば、マモルの記憶にじいさんに関するものがなかったが、強いのか、あのじいさん」
アンジェラがリサの方を向いて、二人で頷いたあと、話をしてくれた。
「S級冒険者しか知らない話だから、秘密にしてね。強いなんてもんじゃないわ。S級実技試験の相手で、仮面をつけて出て来るんだけど、じじいだってバレバレよ。じじいは全職種でS級を超えている化け物なの。でも、ジークなら勝てるかもよ?」
やはりフォースの力なのだろうか。
「そういえば、俺って『踊り子』って職種なんだが、等級はないぞ」
「うふふ、マモルが私を喜ばそうとせっせと鍛えていた職種ね。冒険者組合のリストにはないのよ。申請はできるから、申請してみる?」
せっせどころか極めまくってるんだが、リサは知っているのか?
「パーティ登録のついでに申請するといいよ。イメルダを連れてくるわね。それでパーティ登録しましょう」
噂をすれば何とか。アンジェラが席を立とうとしたとき、多くの取り巻きを連れて、イメルダが組合のホールに入って来た。
イメルダはアンジェラを見つけて、取り巻きを置いたまま、嬉しそうに駆け寄って来る。
「アン姉様、ダンジョンからお戻りだったんですの?」
「ええ、今日戻ったところなの。イメルダ、ちょうど良かったわ。今、呼びに行こうと思っていたところなの。仲間にもご挨拶なさい」
「リサ様、ご機嫌よう」
リサが微笑み返している。へえ、こんな顔もできるんだな。
「こら、マモル、アン姉様の隣に図々しく座ってんじゃねーよ。テメーはリサ様の奴隷だろうがっ」
俺はいきなり平手打ちをされ、鳩尾に膝を入れられた。相変わらず、相手の至近距離からの攻撃は見切れないが、こんな高校生のような女子のスカートの中身が気になるとは、俺もまだまだ修行が足りないか。バッチリと中身を拝ませてもらった。
そのとき、ふと思った。マモルが好き放題殴られたり蹴られたりしていたのは、パンツを見るためだったのではないか。足を上げたら見えるし、転がれば丸見えなのだ。男に殴られたときも、大抵は女が止めに来て、パンツを見ることができる。
「ちょっとイメルダ、私のジークに何てことするの!?」
俺の思考はアンジェラの叫びで中断された。
「え? ジーク? マモルじゃないんですか?」
人違いしてしまったかとイメルダは慌てたが、リサが大丈夫よと声をかけている。
「マモルよ。蹴っても大丈夫よ」
大丈夫じゃねえよ。
「???」
イメルダはわけがわからないという顔をしていた。
俺はダメ元で提案してみた。
組合長室から出た俺たちは、ロビーの四人席に座って、今後について話し合いをしていた。
「組合に睨まれたら冒険者としてやっていけないわ。それにじじいには私たち兄妹はとても世話になっていて、裏切るなんて出来ないわよ」
じじいって、世話になった人への呼び方じゃないな。
「組合長が育ての親なんでしょ? キースに聞いたことがあるわ。それよりジーク、マモルを出してよ。話したいのよ」
「そう言われてもなあ。簡単に出し入れ出来ないぞ。おい、ちょっと待て、俺を殺したら、マモルも間違いなく死ぬぞ」
リサからまた殺気が漏れて来たので、釘を刺しておく。
「何言ってんのよ、殺すわけないじゃない。ああ、早くマモルに会って、虐めたいよう」
何なんだコイツは。愛の形が変過ぎるぜ。
「ちょっと色々試してみるぜ。マモルがいることは確かだからな」
「もうリサは一緒で仕方ないとして、問題はイメルダよ。一緒に育って妹みたいで、私には従順だけど、私以外には何をするか分からないわ。みんなも知っているとは思うけど」
「仕方ないって何よ。マモルと私が一緒にいるのは当たり前のことだからね。そのイメルダって、挨拶する程度で噂しか知らないけど、人格以外は組合長の後継者と言われているわね」
「そうよ。素行が悪いからB級神官だけど、実力は間違いなくS級よ。今は私にはまだ勝てないと思うけど、追い抜かれたら、私の言うことも聞いてくれるかどうか。実際、兄さんの言うことは全く聞かなくなったから」
「そういえば、マモルの記憶にじいさんに関するものがなかったが、強いのか、あのじいさん」
アンジェラがリサの方を向いて、二人で頷いたあと、話をしてくれた。
「S級冒険者しか知らない話だから、秘密にしてね。強いなんてもんじゃないわ。S級実技試験の相手で、仮面をつけて出て来るんだけど、じじいだってバレバレよ。じじいは全職種でS級を超えている化け物なの。でも、ジークなら勝てるかもよ?」
やはりフォースの力なのだろうか。
「そういえば、俺って『踊り子』って職種なんだが、等級はないぞ」
「うふふ、マモルが私を喜ばそうとせっせと鍛えていた職種ね。冒険者組合のリストにはないのよ。申請はできるから、申請してみる?」
せっせどころか極めまくってるんだが、リサは知っているのか?
「パーティ登録のついでに申請するといいよ。イメルダを連れてくるわね。それでパーティ登録しましょう」
噂をすれば何とか。アンジェラが席を立とうとしたとき、多くの取り巻きを連れて、イメルダが組合のホールに入って来た。
イメルダはアンジェラを見つけて、取り巻きを置いたまま、嬉しそうに駆け寄って来る。
「アン姉様、ダンジョンからお戻りだったんですの?」
「ええ、今日戻ったところなの。イメルダ、ちょうど良かったわ。今、呼びに行こうと思っていたところなの。仲間にもご挨拶なさい」
「リサ様、ご機嫌よう」
リサが微笑み返している。へえ、こんな顔もできるんだな。
「こら、マモル、アン姉様の隣に図々しく座ってんじゃねーよ。テメーはリサ様の奴隷だろうがっ」
俺はいきなり平手打ちをされ、鳩尾に膝を入れられた。相変わらず、相手の至近距離からの攻撃は見切れないが、こんな高校生のような女子のスカートの中身が気になるとは、俺もまだまだ修行が足りないか。バッチリと中身を拝ませてもらった。
そのとき、ふと思った。マモルが好き放題殴られたり蹴られたりしていたのは、パンツを見るためだったのではないか。足を上げたら見えるし、転がれば丸見えなのだ。男に殴られたときも、大抵は女が止めに来て、パンツを見ることができる。
「ちょっとイメルダ、私のジークに何てことするの!?」
俺の思考はアンジェラの叫びで中断された。
「え? ジーク? マモルじゃないんですか?」
人違いしてしまったかとイメルダは慌てたが、リサが大丈夫よと声をかけている。
「マモルよ。蹴っても大丈夫よ」
大丈夫じゃねえよ。
「???」
イメルダはわけがわからないという顔をしていた。
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