英雄の俺が転生憑依した男は、S級冒険者パーティの下働きだった。頭に来た俺は、ダンジョン攻略中に全員の荷物を持ってパーティから逃げ出してやった

もぐすけ

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終結

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 イメルダは天に昇って行ってしまうような高揚感を味わっていた。

 マモルはルックスはかなりいい。実はルックスだけ取って見れば、マモルはイメルダの好みだった。

 だが、優しいだけが取り柄で、全然強くなく、雑用を進んでやるような奴隷男だとイメルダは見ていた。マモルの持ち主であるリサが、マモルへの暴力にお咎めがなかったため、会うたびに腹が立って蹴りを入れていたが、決して怒ったりせず、いつも微笑んでいるだけだった。

(バカじゃないの)

 そう思っていたのだが、ある日マモルは豹変する。あの敬愛するアンジェラがメロメロになるほどの俺様キャラになったのだ。しかも、圧倒的に強い。

 だが、ジークは野生児的な感じがして、エレガントさに欠ける。イメルダの理想は白馬に乗った王子様だった。

(騎士エイデン様、ついに私にも王子様が現れたのね)

 イメルダのお眼鏡にかなうには、イメルダ以上の強者である必要があるが、騎士エイデンは強さの面でも全く問題なかった。

 ジークの剣は蝶のように舞うと聞いていたが、恐らくあれは格下に対してだと思う。リサとの闘いでは爆発的な踏み込みで、力で押す豪剣だった。だが、エイデンは静かに流れるような剣を使う。

 今、フロアボスのクラーケンを相手にリサとエイデンで斬りつけているが、エイデンは優雅に舞う蝶のようだった。

 イメルダの戦闘力はかなり高く、他のパーティでは間違いなくエースアタッカーだが、このパーティでは一番火力が低く、治療役に専念しているため、皆の動きをよく観察することができた。

「きれい……」

 イメルダの目に映るエイデンの姿は非常に美しかった。

 最後にアンジェラの何発目かの雷魔法がクラーケンに直撃し、遂にクラーケンは倒れた。

 フロアの主の部屋にはほかの魔物が入って来ないため、主を倒した後は、主の部屋でしっかりと回復してから次のフロアへと進む方法が定番となっていた。

 ホワイトイーグルも主の部屋で休んでいる。そして、休むと必ず出て来る話になった。

「ねえ、いつジークは戻ってくるのよ」

「マモルも出してよ」

「お嬢様方、私は入れ替わりの方法がよくわからないのです」

「あなたは、その、『異世界』だっけ? そこから来たのよね」

「そうです、リサ様。ジーク殿も同じですが、わかりやすくするため、二重人格と説明されたのでしょう」

「お姉様方、そんな話はよいではございませんか。エイデン様とお話する時間を私にくださいませ」

「おお、イメルダ様、少しランスが汚れております。私が磨いて差し上げます」

「あら、エイデン様にそのような雑務をお願いできませんわ。私がやっておきます」

「イメルダ様、滅相もございません。騎士たるもの、レディのために身を粉にして尽くすことこそ、本望でございます」

イメルダとエイデンから少し距離を置いて、姉二人がこそこそ相談を始めた。

「あれ、ある意味マモルね」

「ジークではないわね。ジークはレディを引ん剝くことしか考えてないからね。でも、マモルは男にも身を粉にして尽くすから、マモルの劣化版ね」

「それにしても困ったわ。ジークだけでなく、エイデンも住みついちゃって、マモルにますます会えないじゃないの」

「リサ、こうなった以上、三人で仲良くシェアするルールを考えた方がいいわよ。イメルダはわがままだから、独り占めしそうよ」

「そうね、公平なルールを決めるしかないわね。1日ごとに代わるとか」

「三日に一日か、仕方ないわね。でも、あの二人、貴族でしょう。腹黒いから、なんだかんだ言って守らない気がするわ」

「その場合は実力行使ね。恐らくエイデンは私たちには攻撃できないわよ」

「了解よ。初めてリサと協力することになるわね。じゃあ、私から話すわよ」

「ええ、任せたわ」

「ちょっとイメルダ、話があるわ。顔かしなさい」

 俺はエイデンの目を通して、外界の様子がわかるが、アンジェラはまるで後輩を体育館に呼び出すヤンキーの先輩のようだった。
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