英雄の俺が転生憑依した男は、S級冒険者パーティの下働きだった。頭に来た俺は、ダンジョン攻略中に全員の荷物を持ってパーティから逃げ出してやった

もぐすけ

文字の大きさ
23 / 28
終結

シェア

しおりを挟む
 意外とイメルダは聞き分けが良かった。姉と慕う二人との和を重んじたようだった。

 問題はエイデンだ。人格を切り替える方法が分からないというのだ。

 イメルダの説得が成功し、アンジェラはエイデンを問い詰めていた。

「ねえ、エイデン、ちゃんと解放しているの? いくらジークの体でも、適当なこと言ってるとぶっ飛ばすわよ」

「アンジェラ様、滅相もございません。いつもフル解放しているのですが、誰も出てこないのです」

「あなた、私に手出しできる?」

「いいえ、ジーク殿から止められます。同様にリサ様への攻撃はマモル殿から止められます」

「セイレーンからは全員が狂わされたのかしら」

「いいえ、ジーク殿だけです。私とマモル殿で必死に止めたのですが、あの時だけは全く止められませんでした。

 リサもアンジェラに加勢した。

「マモルはどうやって出て来られたのかしら」

「恐らくですが、アンジェラ様を斬って、ジーク殿が、ひどく自己嫌悪、自己否定をされたのだと思います。リサ様の危機でしたので、マモル殿がジーク殿に代わって出て行った感じでした」

「あのときのマモルは格好よかったわ」

「じゃあ、エイデンも自己否定しなさいよ」

 ほら、ほら、と言いながら、アンジェラは指先から電気を発して、エイデンの胸や肩に放電している。

「い、痛いですよ。そんな簡単に自己否定出来ないです」

「お姉様、おやめになって!」

 イメルダがエイデンをかばって、アンジェラの前に出た。

「イメルダからもエイデンに言ってよ。私たちは三人で仲良くジークたちをシェアすることに決めたんだからね」

 リサはエイデンを見て言った。

「確かマモルは代わり方が何となく分かったって言ってたわ。マモルならエイデンと切り替わることができるんじゃないかしら。マモル、ジーク、マモル、エイデンって感じで切り替わるしかないんじゃない?」

「リサ、あなたねえ、私たちが歩調を乱してどうすんのよ。エイデンは腹黒貴族よ。きっとマモルを何らかの方法で封じているんだわ」

「アンジェラ様、私は貴族である前に騎士です。レディの前で不正は行いません」

「そうでしてよ、お姉様、私も貴族である前にお姉様の妹ですわ。フェアに行きますわ」

「悪かったわよ。もう一週間以上もジークに会えなくて、どうかしそうなのよ。私を斬ったことは気にしなくっていいって、慰めてあげたいのよ」

「アンジェラ様、ジーク殿とマモル殿と我々は五感を共有していますので、今、アンジェラ様が話されている内容はジーク殿には届いています」

「そ、そうなの! ジーク、元気出してね……。ちょっと待ってよ、じゃあキスとかの感触も共有しているの?」

「は、はい。アンジェラ様とジーク殿の熱いキッスは、私も少々困りました。それと、ジーク殿は女性の下着に興味があるようで、パンツが見える決定的瞬間を絶対に逃さないのです。アンジェラ様、イメルダ様のパンツはしっかりと見られてます」

「「「!!!」」」

「じゃ、じゃあ何!? 私がジークとエッチしたら、三人とエッチしてるってことになるの!?」

「ある意味そうなるかと……。でも、私は紳士ゆえ、目を瞑って別のことを考えることをお約束します!」

「し、信用できるかっ」

「エイデンはさておき、ジークは絶対にガン見するはずよ。マモルとの約束、どうしてくれるのよっ!」

「何なのよ、この生き物は……! 私たち、とんでもないものを好きになっちゃったんじゃない!?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

処理中です...