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第一章 イグアスのダンジョン
共同生活の開始
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おじさん? いやいや、俺はまだ32だぞ。でも、15、6歳からするとおじさんか。
「ライルだ。おじさんではない。まだ32歳だぞ」
「あ、すいません。髭のせいでしょうか。もっと年配の方かと思いました」
この娘、子供のわりにしっかりとした言葉遣いだな。
「ルシア、と呼ぶぞ。あの5人は何者だ?」
「冒険者です。魔力供給の契約を結んで、今日ダンジョンに潜りました。あ、わかってます。男性5人組の冒険者パーティといっしょに潜ることの危険性は。でも、今は魔力売りの仕事はほとんどなくて、客を選んでいる状況ではないのです」
そう言われてみると、ルシアはやつれていて、生活苦が感じられる。俺も人のことは言えないが。
「俺はここに半年ほど住んでいるので、外の状況はわからないが、魔力売りはいい商売だったように記憶しているが、何かあったのか?」
俺がここに住んでいると聞いて、ルシアは驚いたような顔をしている。
「ここに住んでいるのですか。半年住んでいるのであれば、3カ月前の魔法改革はご存知ないですね」
ルシアの説明によると、魔力消費量が従来の5分の1になる魔法が発明されたそうだ。その結果、魔力の補充ニーズがほとんどなくなってしまい、マジックポーションの価格も下落して、魔力売りはほぼ開店休業状態になっているらしい。
その結果、ルシアは今までいたパーティを解雇され、飲まず食わずの生活になってしまっていて、危険だとはわかっていても、今回のような仕事を受けざるを得なかったようだ。
「ところで、おじさんはなんでこんなところに住んでいるのですか?」
こいつ、まだ俺をおじさんと呼ぶか。
「ここだと飯に困らんからだ」
セーフティゾーンには遭難防止のために、冒険者組合から毎日食料が配給されるシュータが用意されている。
娘が俺をまじまじと見始めた。ちっ、気づかれたか。
「ライル・スピンフィールド!?」
娘が大きな声を出した。俺ってば、偽名を語るのに抵抗があるんだよなあ。
「人をフルネームで呼び捨てにするな。俺の名前を知っているってことは、どういう人間かも知っているだろう」
俺は半年前、勇者パーティの魔法使いとして魔王を倒した。しかし、その戦いで、4人パーティの戦士と聖女が死亡し、俺は魔力を無理やり何度も絞り出した結果、もう二度と魔力を生成できなくなってしまった。そして、勇者のニックは、手柄を一人占めにするため、2人が死亡した原因を俺の責任だと虚偽の発表をして、俺を社会的に抹殺したのだ。
「戦士と聖女を殺しちゃった残念魔法使い……」
おうおう、ストレートに言ってくれる。
「そういうことだ。もう用はないだろう。帰ってくれ」
ところが、ルシアはなかなか帰らない。
「おじさん、ここはおじさんの家じゃないよ」
む? なんだ? 急にルシアの態度がでかくなったような気がする。
「私もここに住むわよ」
「なっ、何を言っている!?」
「おじさん、頭いいね。確かにここなら、食べるものに困らないわ。あと私の魔力は時間とともに回復するの。無限にあるのと同じだから、二人で協力すればお風呂とかも大丈夫よね。日光もおじさん、出せるでしょ。日に当たらないと健康に良くないよ」
もう私決めたから、とか言って、部屋の真ん中に線を引くような動きをして、こっち側が私、おじさんはこっち側ね、と勝手に言い出している。
「おい」
「なによ」
「ちっ、勝手にしろ」
こうして奇妙な2人の暮らしが始まった。
「ライルだ。おじさんではない。まだ32歳だぞ」
「あ、すいません。髭のせいでしょうか。もっと年配の方かと思いました」
この娘、子供のわりにしっかりとした言葉遣いだな。
「ルシア、と呼ぶぞ。あの5人は何者だ?」
「冒険者です。魔力供給の契約を結んで、今日ダンジョンに潜りました。あ、わかってます。男性5人組の冒険者パーティといっしょに潜ることの危険性は。でも、今は魔力売りの仕事はほとんどなくて、客を選んでいる状況ではないのです」
そう言われてみると、ルシアはやつれていて、生活苦が感じられる。俺も人のことは言えないが。
「俺はここに半年ほど住んでいるので、外の状況はわからないが、魔力売りはいい商売だったように記憶しているが、何かあったのか?」
俺がここに住んでいると聞いて、ルシアは驚いたような顔をしている。
「ここに住んでいるのですか。半年住んでいるのであれば、3カ月前の魔法改革はご存知ないですね」
ルシアの説明によると、魔力消費量が従来の5分の1になる魔法が発明されたそうだ。その結果、魔力の補充ニーズがほとんどなくなってしまい、マジックポーションの価格も下落して、魔力売りはほぼ開店休業状態になっているらしい。
その結果、ルシアは今までいたパーティを解雇され、飲まず食わずの生活になってしまっていて、危険だとはわかっていても、今回のような仕事を受けざるを得なかったようだ。
「ところで、おじさんはなんでこんなところに住んでいるのですか?」
こいつ、まだ俺をおじさんと呼ぶか。
「ここだと飯に困らんからだ」
セーフティゾーンには遭難防止のために、冒険者組合から毎日食料が配給されるシュータが用意されている。
娘が俺をまじまじと見始めた。ちっ、気づかれたか。
「ライル・スピンフィールド!?」
娘が大きな声を出した。俺ってば、偽名を語るのに抵抗があるんだよなあ。
「人をフルネームで呼び捨てにするな。俺の名前を知っているってことは、どういう人間かも知っているだろう」
俺は半年前、勇者パーティの魔法使いとして魔王を倒した。しかし、その戦いで、4人パーティの戦士と聖女が死亡し、俺は魔力を無理やり何度も絞り出した結果、もう二度と魔力を生成できなくなってしまった。そして、勇者のニックは、手柄を一人占めにするため、2人が死亡した原因を俺の責任だと虚偽の発表をして、俺を社会的に抹殺したのだ。
「戦士と聖女を殺しちゃった残念魔法使い……」
おうおう、ストレートに言ってくれる。
「そういうことだ。もう用はないだろう。帰ってくれ」
ところが、ルシアはなかなか帰らない。
「おじさん、ここはおじさんの家じゃないよ」
む? なんだ? 急にルシアの態度がでかくなったような気がする。
「私もここに住むわよ」
「なっ、何を言っている!?」
「おじさん、頭いいね。確かにここなら、食べるものに困らないわ。あと私の魔力は時間とともに回復するの。無限にあるのと同じだから、二人で協力すればお風呂とかも大丈夫よね。日光もおじさん、出せるでしょ。日に当たらないと健康に良くないよ」
もう私決めたから、とか言って、部屋の真ん中に線を引くような動きをして、こっち側が私、おじさんはこっち側ね、と勝手に言い出している。
「おい」
「なによ」
「ちっ、勝手にしろ」
こうして奇妙な2人の暮らしが始まった。
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