ダンジョンで同棲生活始めました ひと回り年下の彼女と優雅に大豪邸でイチャイチャしてたら、勇者だの魔王だのと五月蝿い奴らが邪魔するんです

もぐすけ

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第一章 イグアスのダンジョン

地下7階の実験

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地下7階まで来た。もう一度、探索魔法をかけてみる。地下7階に冒険者はいない。

「ルシア、今から、地下7階全てを真空状態にする。生活魔法のバキュームを使う。いいな?」

ルシアが頷く。万一に備え、セーフティゾーンで魔法を使う。

俺は最初に地下7階をまるまるポリエチレンの膜で覆った。そして、バキュームを同時に20箇所で起動した。地下7階の空気がみるみるうちに薄くなっていく。実はこの方法は魔王戦で使った戦法とほぼ同じだ。

ルシアの方を見たが、まだ魔力に余裕があるどころか、魔力が減っていないという。使用量よりも回復量の方が多いのだ。

こいつ、訓練なんて要らないんじゃないのか。

結局、ルシアの魔力量は減らなかった。

「よし、地下7階の魔物全てが窒息死している。今から回収に行くぞ」

ルシアは魔物が全て死んでしまったことにとても驚いていた。

「全部、やっつけたの?」

「アンデッドには効かないが、肺呼吸している魔物は全滅のはずだ」

「おじさん、すごいね」

「いや、俺は生活魔法を使っただけだ。すごいのはこの膨大な魔力をいとも簡単に提供出来るお前だ」

あれ? ルシア、喜んでいるのか?

「私、初めて自分に自信が持てたよ。おじさん、ありがとう」

ルシアは本当に嬉しそうだ。何だ、笑うと可愛いじゃないか。よく見ると、顔のパーツは整っている。そうか、痩せすぎてて、色気がないのか。

「何よ。人の顔見て驚いたりして」

こいつ、なんでいつもこんなに鋭いんだ。

「いや、収納はどうする?」

「そうね、ちょっと後ろ向いててくれる?」

シュルシュルと服を着替えている音が聞こえる。しばらくして、

「いいよ。こっちを向いて」

と言われて、振り向いたら、ローブに着替えていた。

「このローブの下は真っ裸なのよ」

マジか。あれ? 全く興奮しないぞ。幼児体形だと萌えないなあ。

「ちょっと、その能面みたいな顔やめてくれる。いやらしい顔より腹が立つわ」

本当に失礼しちゃうわ、と言いながら、ルシアはスタスタと前を歩いて行く。そして、魔物の死体を見つけるたびに、ローブの前をバッと開いていた。その後、閉じると魔物は消えていた。

後ろからは裸は見えないが、スタスタ、バッ、スタスタ、バッを続けているルシアの後ろ姿を見守っている俺って、落ちぶれるところまで落ちぶれたなあ、と思った。

その後もいつまで経ってもスタバを続けているルシアを見て、またしても規格外の出来事が発生していることに俺は気づいてしまった。

「おい、いったいどこまで入るんだ、お前の収納は?」

「分からないのよ。生まれてから一度も一杯になったことがないのよ」

これはとんでもないぞ。

「おい、このことを知っている奴はいるのか?」

俺の口調がちょっと怖かったようだ。ルシアが少し怯えた表情になっている。

「恥ずかしいから誰にも言ってない」

俺はルシアを怯えさせないように出来るだけ優しく諭した。

「俺みたいな人生諦めているやつが相手で、本当によかったな、ルシア。お前、国にでも知られたら、一生倉庫係だぞ。絶対に知られるなよ」

結局、1時間以上かけて、全魔物を回収した。地下7階全体がセーフティゾーンになってしまった。

その後、地上に出て、俺はルシアに言った。

「ルシア、この魔物を少しずつ売れば、贅沢はできないが、一生暮らしていけるぞ。その魔物全てをお前のものにしていいから、このまま地上で暮らせばいい」

「そうね、それもいいわね。でも、この獲物たち、どうやって格納から出して売ればいいのかしら。知られたら、私は一生倉庫女なんでしょう?」

「お前、信頼できる奴とかいないのか?」

「いるわよ」

なんだ、いるのか。

「じゃあ、そいつに頼め」

「分かったわ。じゃあ、お願いね」

「何が?」

「私が信頼出来るのはあなただけよ、おじさん」

こいつは会ったばかりの俺に何を言ってるんだ?

「俺たちは……」

ルシアは俺に最後まで言わせなかった。

「ええ、会ったばかりよ。でも、おじさんは私の命を救ってくれた。その上、私の魔力量や格納のスキルのことを知っても、私を利用することなど微塵も考えず、私のことだけを考えて気遣ってくれた。こんな人、今まで私の前に現れたことはないわ」

「俺はもう人生を諦めているから……」

「そんなことは私には関係ないわよ。私はこれまでずっと虐げられて生きて来たわ。私は私を1人の人間として見てくれる人から離れたりしないから。さあ、生活用品を買いに行くわよ」

こいつは逞しいな。実はルシアとさっき別れるといったん決めたとき、とても寂しい気持ちになった。ルシアに飽きられるまで、俺もこいつと一緒にいたいかな。

「分かった。1人ぼっちだったとは知らなかった。もう少し付き合ってやる。じゃあ、まずは獲物を運ぶためのリヤカーを冒険者組合から借りて来てくれ。俺は出入り禁止だから外で待っている」

「さっきの冒険者のカードを使えばいいよ。あいつら街に来たばかりで、顔バレしないから、大丈夫だよ」

俺はバレたときのことが怖くて、随分躊躇していたのだが、最終的にはルシアに強引に連れられて、半年ぶりに冒険者組合に入った。
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