ダンジョンで同棲生活始めました ひと回り年下の彼女と優雅に大豪邸でイチャイチャしてたら、勇者だの魔王だのと五月蝿い奴らが邪魔するんです

もぐすけ

文字の大きさ
7 / 39
第一章 イグアスのダンジョン

冒険者組合

しおりを挟む
15年ぶりの冒険者組合は何も変わっていなかった。

イグアスは俺の冒険者デビューの町だ。17歳で冒険者になり、ここで5年間暮らした。王都でニックに嵌められた俺は、逃げるようにしてこの町まで戻ってきたのだ。

だが、この町でも俺は人々にけなされ、蔑まれ、いたたまれなくなった俺は、懐かしいイグアスのダンジョンに籠ることになったのだった。

ルシアに手を引っ張られ、ホールに入ったが、男女2人組のパーティはさほど珍しくなく、ちらっと見られる程度だ。

俺は少し安心して、ベンチに座り、手続きはルシアに任せることにした。

ルシアにはなじみの受付がいるらしく、そこでリヤカーの貸し出し申請をしている。受付のお姉さんが俺の方をちらちら見ている。あの受付のお姉さんは覚えている。まだいたのか。性格のいい娘さんだった。

「ルシアちゃん、男の冒険者たちとダンジョンに入ったって噂を聞いて、ずいぶんと心配してたのよ。大丈夫だった?」

「うん、大丈夫よ。いいお客さんだった。サーベルタイガーを4匹倒したので、リヤカーをお借りしたいです」

「あら、それは凄いわね。手続きしておくから、持って行っていいわよ。はい、これがカギよ」

「お姉さん、ありがとう」

「でも、あの男、何だか人相の良くない人ね。あなた綺麗なんだから、気をつけなよ」

というような会話があったとルシアから聞いた。最後のフレーズの「あなた綺麗なんだから」を俺に言いたかったらしい。

「そうか」

俺はそう答えるにとどめた。「実は俺もさっき気づいたんだが、顔立ちは確かに綺麗だよな」などとは決して言わないのだ。

俺たちはリヤカーを持ち出して、ダンジョンに戻った。リヤカーをダンジョンの入り口のリヤカー置き場に置いて、ダンジョンに入る。

ダンジョン1階で、ルシアが前を全開にして、サーベルタイガー4匹がどさっと出て来るところを俺はルシアの背中越しに見た。

あ、この光景は見たことがある。

聖女が格納持ちだったが、彼女の場合は格納空間との窓口が足元にあった。そのため、ローブの下はいつもミニスカートだった。彼女は格納から大きなものを出すときは、ローブの裾をまくっていた。俺たちに決して足を見せなかったので、いつも後ろから見ていたが、その時を思い出した。

多くの格納持ちは窓口が体から十分に離れていて、服は邪魔にならない。ルシアと聖女が特別なのだろう。聖女の格納の広さは有名だったが、格納空間が広いと窓口が体に近づくのかもしれない。

ルシアは魔物の処置に慣れているようで、すぐに血抜きを始めた。

俺は処置が終わったものから、一匹ずつダンジョンから背負って持ち出して、4匹全部をリヤカーに積み上げた。

重力魔法を使うと驚かれて、噂になってしまうので、俺がダンジョンから1匹ずつ背負って持ち出した、

サーベルタイガーは地下7階にはほとんど生息しておらず、地下6階をメインにしている魔物ということで、今回の換金対象とすることにした。毛皮、肉、牙が高く売れる。

地下7階に魔物がいなくなったことは、いずれ大ニュースになると思うので、それに関わっていることを知られないように、慎重に行動する必要があるのだ。

こうしてリヤカーに乗せた4匹を冒険者組合の裏にある、解体受付まで持っていくと、スキンヘッドのマッチョなオヤジが受付に座って、俺の方を睨んでいた。

うげっ、まだあのオヤジがここの担当かよ。少し老けたが、相変わらず筋肉隆々だな。

「オヤジさん、この4匹の買取りをお願いします」

ルシアがオヤジに話しかけた。

「ルシア、新しいパーティか?」

オヤジが俺の方をちらっと見た。

「ううん、お客さんよ」

「そうか。どれ、見せてみな」

オヤジがサーベルタイガーを検分している。

「どうやって殺したんだ? どこにも傷がないが」

「それ、秘密なのよ。買取に殺傷手段の申告は必要ですか?」

「いや、必要ねえ。全く傷がない上物だ。処置も完璧で肉の状態もいい。最高額で引き取らせてもらう」

「ありがとう、オヤジさん」

オヤジが声を潜めてルシアにささやいた。

「ルシア、いい客、捕まえたな。お前さんは綺麗なんだから、変なことされないように気をつけろよ」

最後のオヤジの言葉が聞こえなかったのだが、ルシアが後で教えてくれた。この娘はなぜ俺に綺麗アピールをするんだろう。

買取り票を手にして、組合の精算所に行く途中で、俺はルシアに話しかけた。

「ルシア、冒険者組合に知り合いがたくさんいるようだな」

ルシアが精算所に買取り票を手渡しながら、答えた。

「さっきのお姉さんと今のオヤジさんだけよ。前のパーティでは組合関係の事務作業は全部私がやっていて、あの2人には何度もお世話になっているのよ」

精算所の職員からのお金は俺が預かることにした。女が大金を持つのは危険だ。

組合から出たところで、俺はルシアに話した。

「あの2人、俺が10年前にこの町から出るときに、冒険者組合にいたぞ。お姉さんは人懐こくて性格がよくて、オヤジさんは見た目はああだが、世話好きな人だよな」

「え? おじさんも知っていたのね? なぜ挨拶しなかったの?」

「ルシア、俺は世間の嫌われ者なんだ。旧知の人に蔑まれるのは嫌だし、ここにまだいることは知られたくない」

俺は正直に心の内を話した。

「そうね。なかなか難しいもんだよね」

俺がこの娘といて疲れないのは、この部分だ。世間から逃げている俺に説教めいたことを一切言わないのだ。

俺が力なく笑っていると、ルシアが元気よく俺の肩をたたいた。

「さあっ、商店街に行って、生活用品を買いまくるわよっ。まずは購入品を乗せるリヤカーを買うわよ!」

ルシアはそういって俺の手を掴んで、商店街へと引っ張って行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします

ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに 11年後、もう一人 聖女認定された。 王子は同じ聖女なら美人がいいと 元の聖女を偽物として追放した。 後に二人に天罰が降る。 これが この体に入る前の世界で読んだ Web小説の本編。 だけど、読者からの激しいクレームに遭い 救済続編が書かれた。 その激しいクレームを入れた 読者の一人が私だった。 異世界の追放予定の聖女の中に 入り込んだ私は小説の知識を 活用して対策をした。 大人しく追放なんてさせない! * 作り話です。 * 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。 * 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。 * 掲載は3日に一度。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

処理中です...