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第二章 地上の動き
魔王と勇者
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昨夜はゆっくりと休み、朝は遅く起きてきた。
ブランチをリビングで済ませた後、紅茶を飲みながら、難しい話をすることになった。
ルミエールがまずは説明を始めた。
「ここに来た目的を最初に話します。私はこのたび聖女に選出されました。メリンダは勇者に選定されました。魔王が復活したらしいので、ライルさんを我々勇者パーティにスカウトに来ました」
ルシアは勇者と聖女と魔王と聞いて驚いている。だが、ライルはすぐには信じなかった。
「ちょっと待て、おかしなことを言うな。聖女はいいとして、勇者と魔王復活は、すぐには信じられない。そもそもニックはどうなった?」
「ニックの勇者は剥奪されました。そのあと、ニックは事故死しました」
この部分はスターシアが代わりに答えた。
「ニックが死んだ?」
ライルは独り言のように呟いた。
「歩いているときに転んで、頭打って死んじゃいました」
ナタリーが補足して、神官らしく十字を切った。
「何だそれは。自業自得だな。そうか、ニックは死んだか」
ライルはあまりな死因に呆気にとられたが、かなり溜飲を下げることが出来た。
「それでメリンダが勇者に?」
ライルがメリンダに確かめると、メリンダは「うん」とうなずいた。
「でも、なぜもう魔王が復活するんだ? 一度倒れたら、100年は復活しないはずではなかったか?」
「普通はそうなんですが、これまでもまれにこういうことはあったそうです」
ルミエールも同じ疑問を持ったのだが、教会からはそう説明されたのだった。
「そうか。それで俺をパーティに誘いにわざわざここまで来てくれたのか。だが、かわいい妹のために参加したいところではあるが、俺は一人では魔法を使えなくなってしまった。足手まといだ。それに、俺はルシアとずっと一緒にいたい」
ライルの発言はルシアには嬉しかったが、
「私はライルについて行く。勇者パーティーに入るなら、私も入る。そうすれば、ライルも魔法を思う存分使えるでしょう」
と言った。
「ルシア」
「ライル」
ライルとルシアは二人で手を取り合って、完全に2人の世界を作り始めた。
昨日から仲のいいところを見せつけられてきたが、こんなラブラブな二人だけの雰囲気を作られては、さすがにメリンダたちもドン引きだ。
「ねえ、こんなラブラブな2人をパーティに入れて、私たち、精神的にやっていけるかな?」
ナタリーが心配そうにメリンダたちの反応をうかがった。
「だ、大丈夫よ、きっと」
とメリンダ。
「ええ、見ないようにすれば良いわよ」
とルミエール。
「じきに慣れるはず」
最後はスターシアだった。
ライルの魔法と経験は必要だし、いてくれると安心する精神的な支柱になる。ラブラブは我慢するしかない。
しばらくラブラブしていたルシアが、ハッとして真剣な表情になった。何かに集中しているようだ。
「誰か階段を降りてきた」
ルシアが緊迫した声でライルに伝えた。
(まさか、ここから階段を降りる音が聞こえるの?)
とメリンダたちは信じられなかったが、ライルは緊張した面持ちで、索敵魔法を発した。
「1人だれかがこちらに向かっている。結界を張るぞ」
全員に緊張が走る。
「すぐに着替えて戦闘態勢を取ろう」
ライルが全員に指示を出し、それぞれが自室に準備のために向かった。
外の様子を映し出す不思議な鏡がリビングにある。いち早く準備を終えたルシアが、その鏡を見ていたところ、侵入者は神父のような恰好をしていた。顔も映しだされたが、その顔にルシアは見覚えがあった。
「孤児院の神父よ。私を貴族に売った神父だわ」
「なんだと!?」
ライルはすぐに結界を狭めて、空気を抜き始めた。
「兄さん、こいつ、魔王よ」
メリンダが鏡を見て叫んだ。勇者は魔王の憑依を見抜く力がある。魔王も勇者の刻印を見る能力があるが、魔王にはメリンダの姿は見えないため、まだ気づかれていない。
「そうか、神父に憑依したのだな。よし、飛んで火に入る夏の魔王だな。ここで滅ぼそう」
魔王は空気を抜かれても呼吸をしているようだ。一度やられた魔法への対応はすでに済んでいるようだった。
「ふふふ。クリエイトエアーか。なるほどね」
ライルはにやりとした。
「よし、急遽勇者パーティを6人で編成するぞ。お前たち4人はいつも通りの隊形で戦ってくれ。俺とルシアはルミエールの後ろの最後衛で戦わせてもらう。多分それが即席では一番機能するはずだ」
全員が了解して、エントランスホールから飛び出した。
魔王が突然現れた6人に驚いている。そして、勇者の刻印を確認したようだ。
「お前は勇者!」
魔王にとっては想定外だった。ライルとルシアの2人だけのつもりだった。まずいことに聖女までいる。完全に情報収集ミスだった。
魔王はとっさに離脱しようとしたが、地下59階への階段を守るような形で、勇者パーティが布陣していることに気づいた。
「ふん、ここでケリをつけるつもりか」
魔王はこのままでは勝算が低いと思ったため、パーティの動揺を誘う作戦に出た。
「ライル、そこの娘、ルシアの正体をお前は知らないだろう」
ライルは突然の魔王の言葉に戸惑っている。魔王はとっておきの切り札を最初に切ることにした。
「ルシアは古代人と現代人の混血児だ」
(さあ、言ってやったぞ、どうするライル)
魔王はほくそ笑んだ。
ブランチをリビングで済ませた後、紅茶を飲みながら、難しい話をすることになった。
ルミエールがまずは説明を始めた。
「ここに来た目的を最初に話します。私はこのたび聖女に選出されました。メリンダは勇者に選定されました。魔王が復活したらしいので、ライルさんを我々勇者パーティにスカウトに来ました」
ルシアは勇者と聖女と魔王と聞いて驚いている。だが、ライルはすぐには信じなかった。
「ちょっと待て、おかしなことを言うな。聖女はいいとして、勇者と魔王復活は、すぐには信じられない。そもそもニックはどうなった?」
「ニックの勇者は剥奪されました。そのあと、ニックは事故死しました」
この部分はスターシアが代わりに答えた。
「ニックが死んだ?」
ライルは独り言のように呟いた。
「歩いているときに転んで、頭打って死んじゃいました」
ナタリーが補足して、神官らしく十字を切った。
「何だそれは。自業自得だな。そうか、ニックは死んだか」
ライルはあまりな死因に呆気にとられたが、かなり溜飲を下げることが出来た。
「それでメリンダが勇者に?」
ライルがメリンダに確かめると、メリンダは「うん」とうなずいた。
「でも、なぜもう魔王が復活するんだ? 一度倒れたら、100年は復活しないはずではなかったか?」
「普通はそうなんですが、これまでもまれにこういうことはあったそうです」
ルミエールも同じ疑問を持ったのだが、教会からはそう説明されたのだった。
「そうか。それで俺をパーティに誘いにわざわざここまで来てくれたのか。だが、かわいい妹のために参加したいところではあるが、俺は一人では魔法を使えなくなってしまった。足手まといだ。それに、俺はルシアとずっと一緒にいたい」
ライルの発言はルシアには嬉しかったが、
「私はライルについて行く。勇者パーティーに入るなら、私も入る。そうすれば、ライルも魔法を思う存分使えるでしょう」
と言った。
「ルシア」
「ライル」
ライルとルシアは二人で手を取り合って、完全に2人の世界を作り始めた。
昨日から仲のいいところを見せつけられてきたが、こんなラブラブな二人だけの雰囲気を作られては、さすがにメリンダたちもドン引きだ。
「ねえ、こんなラブラブな2人をパーティに入れて、私たち、精神的にやっていけるかな?」
ナタリーが心配そうにメリンダたちの反応をうかがった。
「だ、大丈夫よ、きっと」
とメリンダ。
「ええ、見ないようにすれば良いわよ」
とルミエール。
「じきに慣れるはず」
最後はスターシアだった。
ライルの魔法と経験は必要だし、いてくれると安心する精神的な支柱になる。ラブラブは我慢するしかない。
しばらくラブラブしていたルシアが、ハッとして真剣な表情になった。何かに集中しているようだ。
「誰か階段を降りてきた」
ルシアが緊迫した声でライルに伝えた。
(まさか、ここから階段を降りる音が聞こえるの?)
とメリンダたちは信じられなかったが、ライルは緊張した面持ちで、索敵魔法を発した。
「1人だれかがこちらに向かっている。結界を張るぞ」
全員に緊張が走る。
「すぐに着替えて戦闘態勢を取ろう」
ライルが全員に指示を出し、それぞれが自室に準備のために向かった。
外の様子を映し出す不思議な鏡がリビングにある。いち早く準備を終えたルシアが、その鏡を見ていたところ、侵入者は神父のような恰好をしていた。顔も映しだされたが、その顔にルシアは見覚えがあった。
「孤児院の神父よ。私を貴族に売った神父だわ」
「なんだと!?」
ライルはすぐに結界を狭めて、空気を抜き始めた。
「兄さん、こいつ、魔王よ」
メリンダが鏡を見て叫んだ。勇者は魔王の憑依を見抜く力がある。魔王も勇者の刻印を見る能力があるが、魔王にはメリンダの姿は見えないため、まだ気づかれていない。
「そうか、神父に憑依したのだな。よし、飛んで火に入る夏の魔王だな。ここで滅ぼそう」
魔王は空気を抜かれても呼吸をしているようだ。一度やられた魔法への対応はすでに済んでいるようだった。
「ふふふ。クリエイトエアーか。なるほどね」
ライルはにやりとした。
「よし、急遽勇者パーティを6人で編成するぞ。お前たち4人はいつも通りの隊形で戦ってくれ。俺とルシアはルミエールの後ろの最後衛で戦わせてもらう。多分それが即席では一番機能するはずだ」
全員が了解して、エントランスホールから飛び出した。
魔王が突然現れた6人に驚いている。そして、勇者の刻印を確認したようだ。
「お前は勇者!」
魔王にとっては想定外だった。ライルとルシアの2人だけのつもりだった。まずいことに聖女までいる。完全に情報収集ミスだった。
魔王はとっさに離脱しようとしたが、地下59階への階段を守るような形で、勇者パーティが布陣していることに気づいた。
「ふん、ここでケリをつけるつもりか」
魔王はこのままでは勝算が低いと思ったため、パーティの動揺を誘う作戦に出た。
「ライル、そこの娘、ルシアの正体をお前は知らないだろう」
ライルは突然の魔王の言葉に戸惑っている。魔王はとっておきの切り札を最初に切ることにした。
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(さあ、言ってやったぞ、どうするライル)
魔王はほくそ笑んだ。
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