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第二章 小屋
母子との出会い
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この世界で初めて歳の近い女の子を見たけど、可愛いじゃないか。将来はさぞかし美人になると思うぞ。
まだ小学生ぐらいの子なので、頭の中身が38歳の俺には特に興奮要素はない。
「はじめまして。川に落ちてしまい、怪我をしてしまいました。傷の手当てをお願い出来ないでしょうか」
俺は出来るだけ優しい口調で話す。
今までの拙い経験だが、「優しい心」Lv9999のスキルは、相手になにか優しいことをしたときにその効果が9999倍になるスキルだと思う。優しくしない限りは、効果はないと思う。
いきなり訪ねてきた知らない子供を入れる家は普通ないと思うが、相手が自分にすごく優しい子供であれば、入れてくれる可能性も出てくるだろう。
「川に落ちちゃったの? ちょっと待っててね。お母さーん。すごく優しい男の子が助けてって」
女の子が親身になってくれているのがわかった。
「マリ、知らない人を入れちゃだめよ」
奥の方からえらく若くて、とてもきれいなお母さんが出てきた。脳内30代の俺にはこっちの方がどストライクだ。
先ほどの女の子と同じ金髪碧眼のゴージャスな美人だ。前世でもこんなにキレイな人は見た記憶がない。
継母もきれいだと思ったが、目の前の人はレベルが違う。
(本当にお母さん?)
一瞬見惚れてしまっていたが、すぐに気を取り直して、お母さんにも出来るだけ優しい口調でお願いしてみる。
「お姉さん、すいません。怪我をしてしまって」
「お母さん」ではなく、「お姉さん」というのも優しさの1つだ。
効果はてきめんだった。
「あら、優しい子ね。こんな目にあって。中に入って待っててね。今、薬箱を持ってくるから」
「すいません。ありがとうございます」
俺は出来るだけ感謝をこめてお礼を言った。「感謝の気持ち」Lv9999も効果を発揮する。
「そんなに感謝されると困っちゃうわ。いいの、いいの、気にしないでね」
人の親切を利用するような行為かもしれないが、当人も喜んでやっているし、これぐらいなら許されるだろう。
お母さんが傷の手当をしてくれた。
その際に、ここがどの辺りかを聞いたのだが、土地勘の全くない子供の俺にはさっぱり分からなかった。
それで思い切って、自分の住んでいるエーデンリッヒ城の場所を聞いたのだが、そんな城は知らないという。
ちょっと待て。この辺であの城を知らないなんてことがあるだろうか。
お母さんが俺の家のことを聞いてきたので、俺は継母に殺されそうになって、ここまで逃げて来たことを思い切って正直に話した。
そして、迷惑だろうが、何でもお手伝いするので、しばらくここに置いてくれないかと必死に懇願した。
<「拝み倒し」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「同情買い」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「母性本能責め」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
(おい、さっきから俺の処世術をことごとく無効化してくれるありがたい加護があるじゃないか)
マリのお母さんは考え込んでいる。
「どこにも行くところがないんです。よろしくお願いします」
「わかったわ。とりあえず、家で預かるわ。あなたのエーデンリッヒというお城がどこにあるのかも町に行ったときに聞いてみるわ」
「ありがとうございます。お姉さん」
「あらお姉さんだなんて。それにそんなに感謝してくれても、何もお返しできないわよ」
マリのお父さんは冒険中に悪魔に襲われて亡くなり、今はマリとお母さんの2人暮らしだそうだ。
小屋の中は外観よりも広かった。中央に暖炉付きのリビングがあり、L字型で奥のキッチンへとつながっている。掃除が行き届いていて、装備品や装飾にごちゃごちゃした感じがなく、すっきりとしていて、上品な感じになっている。壁面は木がそのまま露出していて、木の香りがふんわりとして心地よい。
1階には浴室とトイレのほか、主寝室がある。2階には客室と子供部屋がある。
俺は客室を使うように言われた。
マリは俺という弟ができたことで大喜びで、1日中客室に入り浸り、ずっとおしゃべりしていた。
まだ小学生ぐらいの子なので、頭の中身が38歳の俺には特に興奮要素はない。
「はじめまして。川に落ちてしまい、怪我をしてしまいました。傷の手当てをお願い出来ないでしょうか」
俺は出来るだけ優しい口調で話す。
今までの拙い経験だが、「優しい心」Lv9999のスキルは、相手になにか優しいことをしたときにその効果が9999倍になるスキルだと思う。優しくしない限りは、効果はないと思う。
いきなり訪ねてきた知らない子供を入れる家は普通ないと思うが、相手が自分にすごく優しい子供であれば、入れてくれる可能性も出てくるだろう。
「川に落ちちゃったの? ちょっと待っててね。お母さーん。すごく優しい男の子が助けてって」
女の子が親身になってくれているのがわかった。
「マリ、知らない人を入れちゃだめよ」
奥の方からえらく若くて、とてもきれいなお母さんが出てきた。脳内30代の俺にはこっちの方がどストライクだ。
先ほどの女の子と同じ金髪碧眼のゴージャスな美人だ。前世でもこんなにキレイな人は見た記憶がない。
継母もきれいだと思ったが、目の前の人はレベルが違う。
(本当にお母さん?)
一瞬見惚れてしまっていたが、すぐに気を取り直して、お母さんにも出来るだけ優しい口調でお願いしてみる。
「お姉さん、すいません。怪我をしてしまって」
「お母さん」ではなく、「お姉さん」というのも優しさの1つだ。
効果はてきめんだった。
「あら、優しい子ね。こんな目にあって。中に入って待っててね。今、薬箱を持ってくるから」
「すいません。ありがとうございます」
俺は出来るだけ感謝をこめてお礼を言った。「感謝の気持ち」Lv9999も効果を発揮する。
「そんなに感謝されると困っちゃうわ。いいの、いいの、気にしないでね」
人の親切を利用するような行為かもしれないが、当人も喜んでやっているし、これぐらいなら許されるだろう。
お母さんが傷の手当をしてくれた。
その際に、ここがどの辺りかを聞いたのだが、土地勘の全くない子供の俺にはさっぱり分からなかった。
それで思い切って、自分の住んでいるエーデンリッヒ城の場所を聞いたのだが、そんな城は知らないという。
ちょっと待て。この辺であの城を知らないなんてことがあるだろうか。
お母さんが俺の家のことを聞いてきたので、俺は継母に殺されそうになって、ここまで逃げて来たことを思い切って正直に話した。
そして、迷惑だろうが、何でもお手伝いするので、しばらくここに置いてくれないかと必死に懇願した。
<「拝み倒し」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「同情買い」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「母性本能責め」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
(おい、さっきから俺の処世術をことごとく無効化してくれるありがたい加護があるじゃないか)
マリのお母さんは考え込んでいる。
「どこにも行くところがないんです。よろしくお願いします」
「わかったわ。とりあえず、家で預かるわ。あなたのエーデンリッヒというお城がどこにあるのかも町に行ったときに聞いてみるわ」
「ありがとうございます。お姉さん」
「あらお姉さんだなんて。それにそんなに感謝してくれても、何もお返しできないわよ」
マリのお父さんは冒険中に悪魔に襲われて亡くなり、今はマリとお母さんの2人暮らしだそうだ。
小屋の中は外観よりも広かった。中央に暖炉付きのリビングがあり、L字型で奥のキッチンへとつながっている。掃除が行き届いていて、装備品や装飾にごちゃごちゃした感じがなく、すっきりとしていて、上品な感じになっている。壁面は木がそのまま露出していて、木の香りがふんわりとして心地よい。
1階には浴室とトイレのほか、主寝室がある。2階には客室と子供部屋がある。
俺は客室を使うように言われた。
マリは俺という弟ができたことで大喜びで、1日中客室に入り浸り、ずっとおしゃべりしていた。
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