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第二章 小屋
盗賊志願の子
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いきなり目の前で仲間が前のめりに倒れたため、後ろでにやついていた男たちは、引き締まった顔になり、戦闘隊形を作った。
組合のなかで攻撃用の武器や攻撃魔法を使うのはご法度だ。そのため、武器は装備しない。
「おい、小僧何をした」
「何もしていませんよ。お疲れのようで、眠ってしまわれたようですよ」
おれはできるだけ優しく説明した。
「なんだと、気持ち悪いガキだな。ちょっと痛い目みせてやる」
あれ? 優しい心が効かない?
仕方ない、チャームだ。
「っと、坊ちゃん、失礼しました。はい、こいつは連れて帰ります」
小僧にまさに殴りかかろうとした仲間が、殴るのをやめて、眠っている仲間を連れて戻ってきた。
見守っていた3人は何が何だかわからないが、戻ってきた男が、目を八の字にして
「さあさ、みなさん、帰りましょう」
というので、気味が悪くて仕方がない。
しばらく、3人は、リンリンと八の字の目の仲間を交互に見ていたが、この場は退散した方がいいと判断し、眠っている仲間をおぶって、すごすごと帰って行った。
俺は鼻血を出して介抱されている女の子にお礼をしようと思い、近づいて行くと、周りの人が俺を避けるように道を開けていく。
得体のしれないガキってとこか。
そういった連中には構わず、治療中の女の子に声をかける。
「助けてくれようとしてありがとうございました。大丈夫ですか」
女の子が鼻血を出したままポカーンとして俺を見ている。
多分15,6歳のお姉さんだと思う。くりっとした目をした色素薄い系の可愛らしい女性だ。
「けがは大丈夫ですか?」
女の子は我に返ったようで、慌てて答える。
「だ、大丈夫です。私何もしていないです。そんなに感謝していだくなんて恐縮です。大丈夫か、だなんて、そんな・・・」
女の子の顔がピンク色に染まる。
しまった、つい優しくしてしまった。
おわっ、突然後ろからものすごい力で引き寄せられた。フローラさんだった。
「リンリン君、行くわよ」
「はい」
「あの・・」
女の子が声をかけてくる。
「なに?」
フローラさんがどすの利いた声で答える。
「私、あなたのパーティに入りたいんです。盗賊のルミです」
女の子が一生懸命リンリンに対して売り込みをしてきた。
「面接は来週まとめてやるので、その時にお願いします。ルミさん、さっきは助けようとしてくれて、とても嬉しかったです」
フローラさんがあまりにも怖いので、またルミさんに優しく語りかけてしまった。
「は、はい、わかりました」
ルミさんはまた顔をピンク色にしている。この人、肌がきれいだなあ。
突然俺の目の前にフローラさんの美しい顔が現れる。顔が近いです。フローラさんっ。
「リンリン君、あなた、直接女の子に話すのだめね。ノーよ、わかる? ダメなのよ」
「は、はい、わかりました」
今のフローラさんは少し怖かった。
組合のなかで攻撃用の武器や攻撃魔法を使うのはご法度だ。そのため、武器は装備しない。
「おい、小僧何をした」
「何もしていませんよ。お疲れのようで、眠ってしまわれたようですよ」
おれはできるだけ優しく説明した。
「なんだと、気持ち悪いガキだな。ちょっと痛い目みせてやる」
あれ? 優しい心が効かない?
仕方ない、チャームだ。
「っと、坊ちゃん、失礼しました。はい、こいつは連れて帰ります」
小僧にまさに殴りかかろうとした仲間が、殴るのをやめて、眠っている仲間を連れて戻ってきた。
見守っていた3人は何が何だかわからないが、戻ってきた男が、目を八の字にして
「さあさ、みなさん、帰りましょう」
というので、気味が悪くて仕方がない。
しばらく、3人は、リンリンと八の字の目の仲間を交互に見ていたが、この場は退散した方がいいと判断し、眠っている仲間をおぶって、すごすごと帰って行った。
俺は鼻血を出して介抱されている女の子にお礼をしようと思い、近づいて行くと、周りの人が俺を避けるように道を開けていく。
得体のしれないガキってとこか。
そういった連中には構わず、治療中の女の子に声をかける。
「助けてくれようとしてありがとうございました。大丈夫ですか」
女の子が鼻血を出したままポカーンとして俺を見ている。
多分15,6歳のお姉さんだと思う。くりっとした目をした色素薄い系の可愛らしい女性だ。
「けがは大丈夫ですか?」
女の子は我に返ったようで、慌てて答える。
「だ、大丈夫です。私何もしていないです。そんなに感謝していだくなんて恐縮です。大丈夫か、だなんて、そんな・・・」
女の子の顔がピンク色に染まる。
しまった、つい優しくしてしまった。
おわっ、突然後ろからものすごい力で引き寄せられた。フローラさんだった。
「リンリン君、行くわよ」
「はい」
「あの・・」
女の子が声をかけてくる。
「なに?」
フローラさんがどすの利いた声で答える。
「私、あなたのパーティに入りたいんです。盗賊のルミです」
女の子が一生懸命リンリンに対して売り込みをしてきた。
「面接は来週まとめてやるので、その時にお願いします。ルミさん、さっきは助けようとしてくれて、とても嬉しかったです」
フローラさんがあまりにも怖いので、またルミさんに優しく語りかけてしまった。
「は、はい、わかりました」
ルミさんはまた顔をピンク色にしている。この人、肌がきれいだなあ。
突然俺の目の前にフローラさんの美しい顔が現れる。顔が近いです。フローラさんっ。
「リンリン君、あなた、直接女の子に話すのだめね。ノーよ、わかる? ダメなのよ」
「は、はい、わかりました」
今のフローラさんは少し怖かった。
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