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第四章 温泉宿
王家の状況
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朝食の食堂でエリーゼさんから組合情報が共有された。フローラさんも情報共有のために参加している。
「昨夜、討伐完了の認定が降りました。振込手続きは今日行われ、早ければ今日中に振り込まれるそうです。報酬は非課税ですので、まるまる5億円が手に入りますよっ」
おおっ、という歓声と、この温泉今日まで? という残念そうな声が聞こえる。
「今後の予定については、フローラさんからお話ししていただきます」
フローラさんが「おはよう」とみんなに改めて挨拶してから、話を始めた。
「王家のことがあるので、貴族であるカトリーヌとオスカルといっしょに今後について話したわ。まずは王家のことについては、オスカルからお願い」
オスカルさんがこほんと咳払いしてから、説明を始めた。
「皆も知っている通り、今の王はカイザー・イル・フント・デ・アルデランドだ。名君と言われているが、聡明さは狡猾さともいえるし、慈悲深さは計算の上とも考えられる。私も何度か謁見したことがあるが、要するに油断ならない人物だ」
(王様ってのは名前が長いね)
「まず、政治の話からする。カトリーヌのお父上のロミエール侯爵が宰相を務めている。カトリーヌには申し訳ないが、ロミエール侯爵は無能で、王の傀儡だ。王は実力主義で有能な人物を好条件で登用するが、権力のある地位は自分の傀儡の貴族を配置して、政治を完全に掌握している」
(官僚と大臣のような感じか)
「次に財政についてだが、税収は主に国税と関税だ。国税は全国一律で収入の20%で、各自の所得申告によって税額が決められている。これとは別に国民には地方税が課せられるが、これは領主の税収となっている。関税は品目によって税率が決められている。その他、塩の専売での収入、国内各地の金山、銀山は直轄が義務付けられていて、そこでの収入がある。財政は安定しており、貯蓄も多い」
(すごいな、さすがに累進課税ではないし、間接税もないようだけど、かなり近代的な税制じゃないか)
「次に王室の話をする。正妃はエリタエール家から嫁いでいるマリアンヌ様、その他側室が30名以上いる。リンリン、負けているぞ」
(いや、制限しているのはあなたたちですし、俺はまだ5歳です)
「王子は15人、王女が20人いるけど、覚えておかないといけないのが、皇太子の第五王子と実質的に長兄の第二王子だ。第一王子は病床に伏しているので、いないものとして考えていい。ほかの王子たちは、この2人の王子のどちらかについているが、第五王子よりも人望の厚い第二王子の勢力の方が強い」
「第二王子って、シルビアさんの婚約者ですよね?」
「先日入籍されたので、すでに夫になっている。第二王子が能力が高いのに皇太子に立てられなかったのは、カトリーヌを追いかけまわしていたからだ。カトリーヌをあきらめて身を固めたので、これから巻き返すと見られている。第五王子は生母がマリアンヌ様で嫡子だから皇太子になったのだが、実力主義のカイザー王は皇太子を廃するのではないかとの噂が出ている」
(うーん、どこかの宮廷ドラマみたいだな)
「なぜこんなに詳しく王家のことを話すかというと、王家が我々リンズの囲い込みを狙っているあらだ」
(ほう、そういう展開ですか)
「昨夜、討伐完了の認定が降りました。振込手続きは今日行われ、早ければ今日中に振り込まれるそうです。報酬は非課税ですので、まるまる5億円が手に入りますよっ」
おおっ、という歓声と、この温泉今日まで? という残念そうな声が聞こえる。
「今後の予定については、フローラさんからお話ししていただきます」
フローラさんが「おはよう」とみんなに改めて挨拶してから、話を始めた。
「王家のことがあるので、貴族であるカトリーヌとオスカルといっしょに今後について話したわ。まずは王家のことについては、オスカルからお願い」
オスカルさんがこほんと咳払いしてから、説明を始めた。
「皆も知っている通り、今の王はカイザー・イル・フント・デ・アルデランドだ。名君と言われているが、聡明さは狡猾さともいえるし、慈悲深さは計算の上とも考えられる。私も何度か謁見したことがあるが、要するに油断ならない人物だ」
(王様ってのは名前が長いね)
「まず、政治の話からする。カトリーヌのお父上のロミエール侯爵が宰相を務めている。カトリーヌには申し訳ないが、ロミエール侯爵は無能で、王の傀儡だ。王は実力主義で有能な人物を好条件で登用するが、権力のある地位は自分の傀儡の貴族を配置して、政治を完全に掌握している」
(官僚と大臣のような感じか)
「次に財政についてだが、税収は主に国税と関税だ。国税は全国一律で収入の20%で、各自の所得申告によって税額が決められている。これとは別に国民には地方税が課せられるが、これは領主の税収となっている。関税は品目によって税率が決められている。その他、塩の専売での収入、国内各地の金山、銀山は直轄が義務付けられていて、そこでの収入がある。財政は安定しており、貯蓄も多い」
(すごいな、さすがに累進課税ではないし、間接税もないようだけど、かなり近代的な税制じゃないか)
「次に王室の話をする。正妃はエリタエール家から嫁いでいるマリアンヌ様、その他側室が30名以上いる。リンリン、負けているぞ」
(いや、制限しているのはあなたたちですし、俺はまだ5歳です)
「王子は15人、王女が20人いるけど、覚えておかないといけないのが、皇太子の第五王子と実質的に長兄の第二王子だ。第一王子は病床に伏しているので、いないものとして考えていい。ほかの王子たちは、この2人の王子のどちらかについているが、第五王子よりも人望の厚い第二王子の勢力の方が強い」
「第二王子って、シルビアさんの婚約者ですよね?」
「先日入籍されたので、すでに夫になっている。第二王子が能力が高いのに皇太子に立てられなかったのは、カトリーヌを追いかけまわしていたからだ。カトリーヌをあきらめて身を固めたので、これから巻き返すと見られている。第五王子は生母がマリアンヌ様で嫡子だから皇太子になったのだが、実力主義のカイザー王は皇太子を廃するのではないかとの噂が出ている」
(うーん、どこかの宮廷ドラマみたいだな)
「なぜこんなに詳しく王家のことを話すかというと、王家が我々リンズの囲い込みを狙っているあらだ」
(ほう、そういう展開ですか)
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