初体験が5歳という伝説の「女使い」冒険者の物語 〜 スキル「優しい心」は心の傷ついた女性を虜にしてしまう極悪のモテスキルだった

もぐすけ

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第十章 ダムール帝国

リンリンの洗礼

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「ねえ、これからどうするの?」

ロザンヌにメイリンが聞いた。3人は温泉宿のロザンヌの部屋にいた。

「マリ様に会わせる前に、旦那様を好きになっていないとまずいわね」

「え? 私、子供を好きになるとは思えないんですが」

テレジアは戸惑っている。

「そうね。人間だったら1分で好きになるけど、確かに悪魔だと少し時間かかるかもね」

そうつぶやいたメイリンだったが、全く心配はしていなかった。

「とりあえず、宵の口に3人で旦那様に会いましょう」

「はあ」

テレジアはなぜロザンヌとメイリンがこんなに自信満々なのかが、よくわからなかった。

どうやらリンリンが帰ってきたようだ。旅館が急に慌ただしくなり、黄色い歓声がそこかしこで湧き上がる。

「あのう、私はどうすればいいのでしょうか?」

テレジアが今は主人のメイリンにたずねた。

「ここにいれば大丈夫よ。夕方はね、私たちの時間なのよ。もちろんあなたもね」

しばらくして、部屋がノックされた。

「ロザンヌさん、メイリンさん、入りますよ」

「「はーい」」

2人の甘えた声にテレジアはぎょっとした。さっきまでりりしかった2人が完全に甘える女になってしまっている。

リンリンが入ってきた。自分を見つけて驚いている。見た目は普通の子供だ。

「あなたはどなたですか?」

「ダムール帝国のテレジアです。よろしくお願いします」

テレジアは主人の主人であるリンリンに失礼がないよう丁寧に挨拶した。

「あ、どうも、リンリンです。でも、ダムール帝国は姫は出さないって、マリから聞きましたけど?」

リンリンがロザンヌたちの方を向いてたずねた。

「旦那様、いろいろあって、ダムール帝国は深く反省したのです。で、テレジアが私たちの弟子になりたいということで、連れて来ました」

ロザンヌが答えた。

「そうなんですか。えっと、今日の宵の口はどうします?」

「「もちろんいつも通りでお願いします」」

ロザンヌとメイリンがこれは譲らないとばかりに答えた。

「そ、そうですか。そ、そのう、いつも通りなんですかね? テレジアさんいらっしゃいますが」

「弟子なら師匠の日常を知らないとダメだと思うんです」

メイリンが力強く答えた。

「そ、そんなもんですかね? プライベートまで関わる必要はないような気がしますが。まあ、お任せします」

「旦那様、今日の夕食はいかがいたしましょうか」

「え? ふ、普通でいいですよ」

「あれ? 女体盛りやわかめ水は今日はやらないのですか?」

メイリンがすがるような目で聞いてくる。

「ええ、今日はお客様がいらっしゃるので」

「そうなんですか」

2人はちょっと残念そうだったが、客人がいる前であんなことができるわけない。

「お風呂は食事の先にしますか? 後にしますか?」

ロザンヌが色気のある声で聞いて来た。

「そうそう、汗かいたので、先にお風呂にしたいんですけど、お客さんはどうするんですか?」

「「もちろん一緒に入りますよ」」

ロザンヌとメイリンが同時に答えた。

「「えっ?」」

リンリンとテレジアが同時に驚いた。

メイリンとテレジアがこそこそと話し始めた。

(あの、メイリン様、私もいっしょにお風呂に入るのでしょうか)

(そうよ。当たり前でしょ)

(そ、その、裸で入るんでしょうか)

(当たり前じゃない。あなたの国ではお風呂は裸で入らないの?)

(いえ、そういう訳では・・・)

(あなたね、私たちの弟子になったんだから、覚悟決めなさいよ)

(・・・わかりました)

***

リンリンが先に入っている貸切風呂に3人で入っていった。

まさかテレジアが裸で入ってくるとは思っていなかったようで、リンリンが目のやり場に困っている。

「それではお背中お流しします」

ロザンヌがいつものように自分の大切なところを泡立てて、リンリンの背中を流そうとする。

「す、ストォップ!ストップです、ロザンヌさん。そこ、メイリンさんもストップ!」

ロザンヌとメイリンは、あそこを泡立てたまま、きょとんとしている。

「そ、その、今日は泡踊りはやめです。普通に、健全に洗いましょう」

ロザンヌとメイリンはまたもや残念そうだ。

テレジアはこの3人が何をやっているのかさっぱりわからない。

「今日の旦那様はいまいちノリが悪いですね。お疲れですか?」

ロザンヌが少し心配して聞いて来た。

「いや、ほら、テレジアさんがいるじゃないですか」

実はテレジアは先ほどから奇妙な感覚にとらわれていた。目の前の子供がテレジアを気遣ってくれるたびに、無上の喜びを感じるのだ。彼を抱きしめたいという欲求がふつふつと湧いてくる。

「じゃあ、リンちゃま、テレジアの体を洗ってあげてくださいな」

「え? 初対面の人の体を洗ったりなんかできないですよ。それにテレジアさん、死んじゃいませんか?」

「あ、それは大丈夫です。もう儀式は済ませました」

体を洗われるだけで死ぬってなんなの? でも、今のリンリンの気遣いの言葉で、テレジアはもう我慢できなくなった。

「あの、リンリンちゃま、よろしければ、その、洗っていただけないでしょうか」

「え? なぜ・・?」

「もう、旦那様、乙女が恥を忍んで自分からお願いしているのに、無粋な質問はなしですよ」

やはりテレジアもそう来るだろうと読んでいたロザンヌがテレジアをフォローする。

「じゃあ、ちょっとだけですよ」

ちっちゃな手でタオルを持って、リンリンがテレジアの綺麗な背中をごしごし流し始める。

リンリンは思った。

(いや、テレジアさんって、ロザンヌさんやメイリンさんと同格の破格の美女だよね。いかん、いかん、努めて冷静にゴシゴシしよう)

だが、ゴシゴシすると、背中の左右から少し見えている丸いボールも揺れているのが見える。ダメだ。よこしまな気持ちにスイッチが入ってしまった。

テレジアがびくりとする。

こうなるともうリンリンも歯止めが効かない。背中だけおとなしく流すつもりが、声を出さないように一生懸命我慢している相手の反応が楽しくて、つい全身をくまなく洗って差し上げてしまった。

鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス

いつの間にかそんなことを考えながら、体を洗ってしまっていたリンリンであった。

その結果、気がついたら、風呂場に昇天してぶっ倒れてしまっているテレジアが転がっていた。

体洗っただけなのにな。

失神しているテレジアを隅の方に置いて、リンリンはロザンヌ、メイリンとの本日の2回戦目を決めた。
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