118 / 143
第十章 ダムール帝国
リンリンの洗礼
しおりを挟む
「ねえ、これからどうするの?」
ロザンヌにメイリンが聞いた。3人は温泉宿のロザンヌの部屋にいた。
「マリ様に会わせる前に、旦那様を好きになっていないとまずいわね」
「え? 私、子供を好きになるとは思えないんですが」
テレジアは戸惑っている。
「そうね。人間だったら1分で好きになるけど、確かに悪魔だと少し時間かかるかもね」
そうつぶやいたメイリンだったが、全く心配はしていなかった。
「とりあえず、宵の口に3人で旦那様に会いましょう」
「はあ」
テレジアはなぜロザンヌとメイリンがこんなに自信満々なのかが、よくわからなかった。
どうやらリンリンが帰ってきたようだ。旅館が急に慌ただしくなり、黄色い歓声がそこかしこで湧き上がる。
「あのう、私はどうすればいいのでしょうか?」
テレジアが今は主人のメイリンにたずねた。
「ここにいれば大丈夫よ。夕方はね、私たちの時間なのよ。もちろんあなたもね」
しばらくして、部屋がノックされた。
「ロザンヌさん、メイリンさん、入りますよ」
「「はーい」」
2人の甘えた声にテレジアはぎょっとした。さっきまでりりしかった2人が完全に甘える女になってしまっている。
リンリンが入ってきた。自分を見つけて驚いている。見た目は普通の子供だ。
「あなたはどなたですか?」
「ダムール帝国のテレジアです。よろしくお願いします」
テレジアは主人の主人であるリンリンに失礼がないよう丁寧に挨拶した。
「あ、どうも、リンリンです。でも、ダムール帝国は姫は出さないって、マリから聞きましたけど?」
リンリンがロザンヌたちの方を向いてたずねた。
「旦那様、いろいろあって、ダムール帝国は深く反省したのです。で、テレジアが私たちの弟子になりたいということで、連れて来ました」
ロザンヌが答えた。
「そうなんですか。えっと、今日の宵の口はどうします?」
「「もちろんいつも通りでお願いします」」
ロザンヌとメイリンがこれは譲らないとばかりに答えた。
「そ、そうですか。そ、そのう、いつも通りなんですかね? テレジアさんいらっしゃいますが」
「弟子なら師匠の日常を知らないとダメだと思うんです」
メイリンが力強く答えた。
「そ、そんなもんですかね? プライベートまで関わる必要はないような気がしますが。まあ、お任せします」
「旦那様、今日の夕食はいかがいたしましょうか」
「え? ふ、普通でいいですよ」
「あれ? 女体盛りやわかめ水は今日はやらないのですか?」
メイリンがすがるような目で聞いてくる。
「ええ、今日はお客様がいらっしゃるので」
「そうなんですか」
2人はちょっと残念そうだったが、客人がいる前であんなことができるわけない。
「お風呂は食事の先にしますか? 後にしますか?」
ロザンヌが色気のある声で聞いて来た。
「そうそう、汗かいたので、先にお風呂にしたいんですけど、お客さんはどうするんですか?」
「「もちろん一緒に入りますよ」」
ロザンヌとメイリンが同時に答えた。
「「えっ?」」
リンリンとテレジアが同時に驚いた。
メイリンとテレジアがこそこそと話し始めた。
(あの、メイリン様、私もいっしょにお風呂に入るのでしょうか)
(そうよ。当たり前でしょ)
(そ、その、裸で入るんでしょうか)
(当たり前じゃない。あなたの国ではお風呂は裸で入らないの?)
(いえ、そういう訳では・・・)
(あなたね、私たちの弟子になったんだから、覚悟決めなさいよ)
(・・・わかりました)
***
リンリンが先に入っている貸切風呂に3人で入っていった。
まさかテレジアが裸で入ってくるとは思っていなかったようで、リンリンが目のやり場に困っている。
「それではお背中お流しします」
ロザンヌがいつものように自分の大切なところを泡立てて、リンリンの背中を流そうとする。
「す、ストォップ!ストップです、ロザンヌさん。そこ、メイリンさんもストップ!」
ロザンヌとメイリンは、あそこを泡立てたまま、きょとんとしている。
「そ、その、今日は泡踊りはやめです。普通に、健全に洗いましょう」
ロザンヌとメイリンはまたもや残念そうだ。
テレジアはこの3人が何をやっているのかさっぱりわからない。
「今日の旦那様はいまいちノリが悪いですね。お疲れですか?」
ロザンヌが少し心配して聞いて来た。
「いや、ほら、テレジアさんがいるじゃないですか」
実はテレジアは先ほどから奇妙な感覚にとらわれていた。目の前の子供がテレジアを気遣ってくれるたびに、無上の喜びを感じるのだ。彼を抱きしめたいという欲求がふつふつと湧いてくる。
「じゃあ、リンちゃま、テレジアの体を洗ってあげてくださいな」
「え? 初対面の人の体を洗ったりなんかできないですよ。それにテレジアさん、死んじゃいませんか?」
「あ、それは大丈夫です。もう儀式は済ませました」
体を洗われるだけで死ぬってなんなの? でも、今のリンリンの気遣いの言葉で、テレジアはもう我慢できなくなった。
「あの、リンリンちゃま、よろしければ、その、洗っていただけないでしょうか」
「え? なぜ・・?」
「もう、旦那様、乙女が恥を忍んで自分からお願いしているのに、無粋な質問はなしですよ」
やはりテレジアもそう来るだろうと読んでいたロザンヌがテレジアをフォローする。
「じゃあ、ちょっとだけですよ」
ちっちゃな手でタオルを持って、リンリンがテレジアの綺麗な背中をごしごし流し始める。
リンリンは思った。
(いや、テレジアさんって、ロザンヌさんやメイリンさんと同格の破格の美女だよね。いかん、いかん、努めて冷静にゴシゴシしよう)
だが、ゴシゴシすると、背中の左右から少し見えている丸いボールも揺れているのが見える。ダメだ。よこしまな気持ちにスイッチが入ってしまった。
テレジアがびくりとする。
こうなるともうリンリンも歯止めが効かない。背中だけおとなしく流すつもりが、声を出さないように一生懸命我慢している相手の反応が楽しくて、つい全身をくまなく洗って差し上げてしまった。
鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス
いつの間にかそんなことを考えながら、体を洗ってしまっていたリンリンであった。
その結果、気がついたら、風呂場に昇天してぶっ倒れてしまっているテレジアが転がっていた。
体洗っただけなのにな。
失神しているテレジアを隅の方に置いて、リンリンはロザンヌ、メイリンとの本日の2回戦目を決めた。
ロザンヌにメイリンが聞いた。3人は温泉宿のロザンヌの部屋にいた。
「マリ様に会わせる前に、旦那様を好きになっていないとまずいわね」
「え? 私、子供を好きになるとは思えないんですが」
テレジアは戸惑っている。
「そうね。人間だったら1分で好きになるけど、確かに悪魔だと少し時間かかるかもね」
そうつぶやいたメイリンだったが、全く心配はしていなかった。
「とりあえず、宵の口に3人で旦那様に会いましょう」
「はあ」
テレジアはなぜロザンヌとメイリンがこんなに自信満々なのかが、よくわからなかった。
どうやらリンリンが帰ってきたようだ。旅館が急に慌ただしくなり、黄色い歓声がそこかしこで湧き上がる。
「あのう、私はどうすればいいのでしょうか?」
テレジアが今は主人のメイリンにたずねた。
「ここにいれば大丈夫よ。夕方はね、私たちの時間なのよ。もちろんあなたもね」
しばらくして、部屋がノックされた。
「ロザンヌさん、メイリンさん、入りますよ」
「「はーい」」
2人の甘えた声にテレジアはぎょっとした。さっきまでりりしかった2人が完全に甘える女になってしまっている。
リンリンが入ってきた。自分を見つけて驚いている。見た目は普通の子供だ。
「あなたはどなたですか?」
「ダムール帝国のテレジアです。よろしくお願いします」
テレジアは主人の主人であるリンリンに失礼がないよう丁寧に挨拶した。
「あ、どうも、リンリンです。でも、ダムール帝国は姫は出さないって、マリから聞きましたけど?」
リンリンがロザンヌたちの方を向いてたずねた。
「旦那様、いろいろあって、ダムール帝国は深く反省したのです。で、テレジアが私たちの弟子になりたいということで、連れて来ました」
ロザンヌが答えた。
「そうなんですか。えっと、今日の宵の口はどうします?」
「「もちろんいつも通りでお願いします」」
ロザンヌとメイリンがこれは譲らないとばかりに答えた。
「そ、そうですか。そ、そのう、いつも通りなんですかね? テレジアさんいらっしゃいますが」
「弟子なら師匠の日常を知らないとダメだと思うんです」
メイリンが力強く答えた。
「そ、そんなもんですかね? プライベートまで関わる必要はないような気がしますが。まあ、お任せします」
「旦那様、今日の夕食はいかがいたしましょうか」
「え? ふ、普通でいいですよ」
「あれ? 女体盛りやわかめ水は今日はやらないのですか?」
メイリンがすがるような目で聞いてくる。
「ええ、今日はお客様がいらっしゃるので」
「そうなんですか」
2人はちょっと残念そうだったが、客人がいる前であんなことができるわけない。
「お風呂は食事の先にしますか? 後にしますか?」
ロザンヌが色気のある声で聞いて来た。
「そうそう、汗かいたので、先にお風呂にしたいんですけど、お客さんはどうするんですか?」
「「もちろん一緒に入りますよ」」
ロザンヌとメイリンが同時に答えた。
「「えっ?」」
リンリンとテレジアが同時に驚いた。
メイリンとテレジアがこそこそと話し始めた。
(あの、メイリン様、私もいっしょにお風呂に入るのでしょうか)
(そうよ。当たり前でしょ)
(そ、その、裸で入るんでしょうか)
(当たり前じゃない。あなたの国ではお風呂は裸で入らないの?)
(いえ、そういう訳では・・・)
(あなたね、私たちの弟子になったんだから、覚悟決めなさいよ)
(・・・わかりました)
***
リンリンが先に入っている貸切風呂に3人で入っていった。
まさかテレジアが裸で入ってくるとは思っていなかったようで、リンリンが目のやり場に困っている。
「それではお背中お流しします」
ロザンヌがいつものように自分の大切なところを泡立てて、リンリンの背中を流そうとする。
「す、ストォップ!ストップです、ロザンヌさん。そこ、メイリンさんもストップ!」
ロザンヌとメイリンは、あそこを泡立てたまま、きょとんとしている。
「そ、その、今日は泡踊りはやめです。普通に、健全に洗いましょう」
ロザンヌとメイリンはまたもや残念そうだ。
テレジアはこの3人が何をやっているのかさっぱりわからない。
「今日の旦那様はいまいちノリが悪いですね。お疲れですか?」
ロザンヌが少し心配して聞いて来た。
「いや、ほら、テレジアさんがいるじゃないですか」
実はテレジアは先ほどから奇妙な感覚にとらわれていた。目の前の子供がテレジアを気遣ってくれるたびに、無上の喜びを感じるのだ。彼を抱きしめたいという欲求がふつふつと湧いてくる。
「じゃあ、リンちゃま、テレジアの体を洗ってあげてくださいな」
「え? 初対面の人の体を洗ったりなんかできないですよ。それにテレジアさん、死んじゃいませんか?」
「あ、それは大丈夫です。もう儀式は済ませました」
体を洗われるだけで死ぬってなんなの? でも、今のリンリンの気遣いの言葉で、テレジアはもう我慢できなくなった。
「あの、リンリンちゃま、よろしければ、その、洗っていただけないでしょうか」
「え? なぜ・・?」
「もう、旦那様、乙女が恥を忍んで自分からお願いしているのに、無粋な質問はなしですよ」
やはりテレジアもそう来るだろうと読んでいたロザンヌがテレジアをフォローする。
「じゃあ、ちょっとだけですよ」
ちっちゃな手でタオルを持って、リンリンがテレジアの綺麗な背中をごしごし流し始める。
リンリンは思った。
(いや、テレジアさんって、ロザンヌさんやメイリンさんと同格の破格の美女だよね。いかん、いかん、努めて冷静にゴシゴシしよう)
だが、ゴシゴシすると、背中の左右から少し見えている丸いボールも揺れているのが見える。ダメだ。よこしまな気持ちにスイッチが入ってしまった。
テレジアがびくりとする。
こうなるともうリンリンも歯止めが効かない。背中だけおとなしく流すつもりが、声を出さないように一生懸命我慢している相手の反応が楽しくて、つい全身をくまなく洗って差し上げてしまった。
鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス
いつの間にかそんなことを考えながら、体を洗ってしまっていたリンリンであった。
その結果、気がついたら、風呂場に昇天してぶっ倒れてしまっているテレジアが転がっていた。
体洗っただけなのにな。
失神しているテレジアを隅の方に置いて、リンリンはロザンヌ、メイリンとの本日の2回戦目を決めた。
0
あなたにおすすめの小説
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる