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第八章 神の統治
ゆうき神国
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俺はキララの王国、ミサトは帝国を好きにすることにした。その話を王宮にいるキララにしたところ、大喜びしてくれて、国名を「ゆうき神国」に変更したいという。ここまで信仰されると、悪い気はしない。キララに対する庇護欲が一層強くなった。
ミサトとは、両国の一年後の人口増加率で勝負することになった。賞品はキララだ。俺が勝てば、キララをお妾さんにしていいという。負ければ、キララには人間の男と結婚してもらう。正直、俺はどっちでもいいので、ミサトとできる10回券を副賞に付けてもらった。
俺はキララと一緒に人口を増やすための作戦を練るため、王都に来ていた。ミサトは帝都にいるはずだ。キララに賞品のことを話したら、目の色が変わった。
「絶対に勝ちましょう。命をかけて勝ちに行きます」
キララは何でこうも俺のお妾さんになりたいのだろうか。よく分からないな。
「人口増加は富国にもつながります。すぐに臣下を集めて策を検討します。強制的に交わらせたり、不特定多数との乱行を国がバックアップするなど、手段を選ばないつもりです。また、出産に賞金を出したり、子育て支援の各種施策を打ち出すことも考えます」
キララはそう言って、すぐに政務に戻っていった。
王国の人口は約百万人ほどだ。一方の帝国は二千万人以上いるらしい。人口増加率は人口が少ない方が各種施策の効果が現れやすいので、今回の勝負は断然王国が有利だ。ミサトが何を考えているのか分からないが、勝てるときに勝っておきたい。
エリコさんは醤油の醸造プロジェクトにかかりっきりで、王宮にはいない。俺はもうやることがなくなってしまった。しばらくメルサに会っていないので、権現した姿を見せに行ってみるか。俺は学校に行くことにした。
学校に来るのは久しぶりだ。まずは権現しない状態で教室に向かう。教室に入ると数学の授業中だった。
メルサがちょこんと座っている姿が見えた。さすがに貴族の娘らしく背筋をのばして姿勢が良い。俺はメルサの横まで歩いて行き、小声で囁いた。
「メルチン、ゆうくんだ。久しぶり。休み時間にいつもの校舎の裏にこられるか?」
メルサは少し驚いたようだが、前を向いたまま少し微笑んで、二、三回頷いた。
「じゃあ、後で校舎裏で」
数学の授業には興味がないため、そう言って俺は教室を後にした。その後、職員室や保健室や体育館などを一通り見回って、校舎裏でメルサを待った。
授業終了のベルが鳴り、しばらくしてメルサが歩いて来た。権現して姿を現した俺を見て驚いている。
「やあ、メルチン、姿を見せられるようになったんだ」
「ゆうくん、格好良すぎですっ」
メルサがきゃあきゃあ言い始めた。俺はこっちの世界では最高レベルのイケメンらしいのだが、俺自身がそう思っていないし、こういう反応に慣れていないため、どう対応していいか、正直よく分からない。メルサが喜んでくれるなら、まあいいか。
「しばらく学校には来なくなるから、それを伝えようと思ってな」
「え? もう会えないのでしょうか?」
「女王のところにいることが多いので、会いたくなったら王宮を訪ねて来るといい。女王には話を通しておくよ」
「ミサト様もご一緒なのですか?」
「ちょっとミサトとゲームしていてね。彼女は王宮には来ないけど、毎日一緒にいるよ。今は古代寺という魔区の東の寺に住んでいるんだけど、もうすぐ東の森の先の帝国に引っ越す予定なんだ」
「父から帝国のことは聞いています。私も神霊様にしっかりとお仕えするようにと言われました」
「ははは、神霊様だなんて。今まで通りゆうくんで頼むよ。キララも俺のことはゆうくんと呼んでるから。それに俺に仕えるなんてしなくていいよ。メルチンの好きに生きるといいさ。気に食わない奴がいたらシメてやるから、いつでも相談に来るといい」
「ありがとうございます。ところで、ゆうくんは王国の神社や遺跡には興味はないのでしょうか」
「神社は配下の霊王の何人かが昔この国にいたときに人間たちに作らせたものなんだ。だから、配下から聞いてたけど、遺跡ってのは初耳だな」
「北の湖のほとりにあるダンジョンと西の藪神社の先の海の中にある海底神殿が有名です」
「そうか、アイツらは聞かないと答えないからなあ。そんな面白そうなものがあるのか。どこまで探検されているんだ?」
「先王の時代に何度か調査団を出していますが、強力な魔物がいて、よく分かっていないんです。ゆうくん達なら楽勝ではないでしょうか」
「ちょっと配下に聞いてみるよ。行くとなったら、連れて行ってほしいのか?」
「はい、是非、お願いします! ゲンムも一緒に」
「分かったよ。ミサトにも聞いてみよ」
休み時間の終わりを告げるベルが鳴り、メルサは授業に戻った。
そうか、まだまだこの世界には面白いところがありそうだな。他にもないか、ワインに聞いてみるか。俺はワイン達のいる古代寺へと向かった。
ミサトとは、両国の一年後の人口増加率で勝負することになった。賞品はキララだ。俺が勝てば、キララをお妾さんにしていいという。負ければ、キララには人間の男と結婚してもらう。正直、俺はどっちでもいいので、ミサトとできる10回券を副賞に付けてもらった。
俺はキララと一緒に人口を増やすための作戦を練るため、王都に来ていた。ミサトは帝都にいるはずだ。キララに賞品のことを話したら、目の色が変わった。
「絶対に勝ちましょう。命をかけて勝ちに行きます」
キララは何でこうも俺のお妾さんになりたいのだろうか。よく分からないな。
「人口増加は富国にもつながります。すぐに臣下を集めて策を検討します。強制的に交わらせたり、不特定多数との乱行を国がバックアップするなど、手段を選ばないつもりです。また、出産に賞金を出したり、子育て支援の各種施策を打ち出すことも考えます」
キララはそう言って、すぐに政務に戻っていった。
王国の人口は約百万人ほどだ。一方の帝国は二千万人以上いるらしい。人口増加率は人口が少ない方が各種施策の効果が現れやすいので、今回の勝負は断然王国が有利だ。ミサトが何を考えているのか分からないが、勝てるときに勝っておきたい。
エリコさんは醤油の醸造プロジェクトにかかりっきりで、王宮にはいない。俺はもうやることがなくなってしまった。しばらくメルサに会っていないので、権現した姿を見せに行ってみるか。俺は学校に行くことにした。
学校に来るのは久しぶりだ。まずは権現しない状態で教室に向かう。教室に入ると数学の授業中だった。
メルサがちょこんと座っている姿が見えた。さすがに貴族の娘らしく背筋をのばして姿勢が良い。俺はメルサの横まで歩いて行き、小声で囁いた。
「メルチン、ゆうくんだ。久しぶり。休み時間にいつもの校舎の裏にこられるか?」
メルサは少し驚いたようだが、前を向いたまま少し微笑んで、二、三回頷いた。
「じゃあ、後で校舎裏で」
数学の授業には興味がないため、そう言って俺は教室を後にした。その後、職員室や保健室や体育館などを一通り見回って、校舎裏でメルサを待った。
授業終了のベルが鳴り、しばらくしてメルサが歩いて来た。権現して姿を現した俺を見て驚いている。
「やあ、メルチン、姿を見せられるようになったんだ」
「ゆうくん、格好良すぎですっ」
メルサがきゃあきゃあ言い始めた。俺はこっちの世界では最高レベルのイケメンらしいのだが、俺自身がそう思っていないし、こういう反応に慣れていないため、どう対応していいか、正直よく分からない。メルサが喜んでくれるなら、まあいいか。
「しばらく学校には来なくなるから、それを伝えようと思ってな」
「え? もう会えないのでしょうか?」
「女王のところにいることが多いので、会いたくなったら王宮を訪ねて来るといい。女王には話を通しておくよ」
「ミサト様もご一緒なのですか?」
「ちょっとミサトとゲームしていてね。彼女は王宮には来ないけど、毎日一緒にいるよ。今は古代寺という魔区の東の寺に住んでいるんだけど、もうすぐ東の森の先の帝国に引っ越す予定なんだ」
「父から帝国のことは聞いています。私も神霊様にしっかりとお仕えするようにと言われました」
「ははは、神霊様だなんて。今まで通りゆうくんで頼むよ。キララも俺のことはゆうくんと呼んでるから。それに俺に仕えるなんてしなくていいよ。メルチンの好きに生きるといいさ。気に食わない奴がいたらシメてやるから、いつでも相談に来るといい」
「ありがとうございます。ところで、ゆうくんは王国の神社や遺跡には興味はないのでしょうか」
「神社は配下の霊王の何人かが昔この国にいたときに人間たちに作らせたものなんだ。だから、配下から聞いてたけど、遺跡ってのは初耳だな」
「北の湖のほとりにあるダンジョンと西の藪神社の先の海の中にある海底神殿が有名です」
「そうか、アイツらは聞かないと答えないからなあ。そんな面白そうなものがあるのか。どこまで探検されているんだ?」
「先王の時代に何度か調査団を出していますが、強力な魔物がいて、よく分かっていないんです。ゆうくん達なら楽勝ではないでしょうか」
「ちょっと配下に聞いてみるよ。行くとなったら、連れて行ってほしいのか?」
「はい、是非、お願いします! ゲンムも一緒に」
「分かったよ。ミサトにも聞いてみよ」
休み時間の終わりを告げるベルが鳴り、メルサは授業に戻った。
そうか、まだまだこの世界には面白いところがありそうだな。他にもないか、ワインに聞いてみるか。俺はワイン達のいる古代寺へと向かった。
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