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第七章 教会
アンタッチャブル
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グレースは正式にリッチモンド公爵の爵位を継承した。
そして、同時に生涯独身を宣言した。
実は生涯独身宣言をする女性は少なくない。妖精の加護を一生受けるという宣言なのだ。
妖精は情け容赦ないため、お尻を触ろうとしただけで、相手を殺すこともある。そのため、この世界では婚前交渉が行われることはまずない。また、誰が妖精の加護持ちかわからないため、成人女性に対する性犯罪は非常に少なく、あっても未遂のまま加害者は撃退されてしまう。
女性を守る妖精の凶悪さはもともと世に知られるところなのだが、シルバの凶悪さはその中でも抜きんでており、史上最悪と言われるようになっていた。
シルバの凶悪さが一気に有名になったのは、マルクス一派の血の粛清事件である。王の御前で、68名の王家の家臣を人間ヨーヨーという方法で、散々脅したうえ、8名を墜落死させ、残りを骨折などの重傷に処した事件である。
『俺が凶悪ではなく、グレースが凶悪なんだが……』
実際、王が何度もやめてやってくれというのを無視して、人間ヨーヨーを続けるようにシルバに指示したのはグレースだった。この日以来、王はグレースを恐れるようになった。
だが、シルバのこの心の叫びは、誰にも聞かれることはなかった。
***
本日、王都ではエドワード皇太子とテイル・リッチモンドの婚礼の儀が開かれていた。リッチモンド家からはグレース、エカテリーナ、アニーが招待されていた。
だが、グレースは出席を辞退していた。
「元婚約者の結婚式に呼ぶなんて、どんな罰ゲームよ」
というのが欠席の理由だが、単にテンタクル山から出たくなかったからである。
グレースはリッチモンド公爵となった後も、相変わらず、山でシルバと二人きりのスローライフを堪能していたのだ。
実はもう一つ理由があった。結婚ができるテイルが羨ましくて仕方がなかったからだ。グレースは二カ月後に予定されているアニーの結婚式も出席を辞退しているが、このときには「結婚式は嫌いだから」と正直に理由を述べていた。
皇太子であろうと王であろうと、グレースには文句は言えないため、グレースの不参加を王室は苦笑いで了承するしかなかった。
ちなみにアニーもテイルも、グレースのことを心の底から恐れていたため、ホッと胸を撫で下ろしたのであった。
従姉たちだけではなく、グレースを知る人からはもともと恐れられていたグレースだが、この一件で、王も皇太子もグレースには何も言えないことが証明され、これ以降、グレースは「アンタッチャブル」と言われるようになった。
グレースは、王家をもしのぐ王国最強の貴族の当主であり、単騎で国全部を相手にできる軍事力を持ち、指一つで全国各地の官吏を思いのまま動かせる政治力を持つ。そして、世界中にシルバ料理のレストランチェーンを展開する大富豪でもあった。
そんなグレースの次の標的は教会であった。
そして、同時に生涯独身を宣言した。
実は生涯独身宣言をする女性は少なくない。妖精の加護を一生受けるという宣言なのだ。
妖精は情け容赦ないため、お尻を触ろうとしただけで、相手を殺すこともある。そのため、この世界では婚前交渉が行われることはまずない。また、誰が妖精の加護持ちかわからないため、成人女性に対する性犯罪は非常に少なく、あっても未遂のまま加害者は撃退されてしまう。
女性を守る妖精の凶悪さはもともと世に知られるところなのだが、シルバの凶悪さはその中でも抜きんでており、史上最悪と言われるようになっていた。
シルバの凶悪さが一気に有名になったのは、マルクス一派の血の粛清事件である。王の御前で、68名の王家の家臣を人間ヨーヨーという方法で、散々脅したうえ、8名を墜落死させ、残りを骨折などの重傷に処した事件である。
『俺が凶悪ではなく、グレースが凶悪なんだが……』
実際、王が何度もやめてやってくれというのを無視して、人間ヨーヨーを続けるようにシルバに指示したのはグレースだった。この日以来、王はグレースを恐れるようになった。
だが、シルバのこの心の叫びは、誰にも聞かれることはなかった。
***
本日、王都ではエドワード皇太子とテイル・リッチモンドの婚礼の儀が開かれていた。リッチモンド家からはグレース、エカテリーナ、アニーが招待されていた。
だが、グレースは出席を辞退していた。
「元婚約者の結婚式に呼ぶなんて、どんな罰ゲームよ」
というのが欠席の理由だが、単にテンタクル山から出たくなかったからである。
グレースはリッチモンド公爵となった後も、相変わらず、山でシルバと二人きりのスローライフを堪能していたのだ。
実はもう一つ理由があった。結婚ができるテイルが羨ましくて仕方がなかったからだ。グレースは二カ月後に予定されているアニーの結婚式も出席を辞退しているが、このときには「結婚式は嫌いだから」と正直に理由を述べていた。
皇太子であろうと王であろうと、グレースには文句は言えないため、グレースの不参加を王室は苦笑いで了承するしかなかった。
ちなみにアニーもテイルも、グレースのことを心の底から恐れていたため、ホッと胸を撫で下ろしたのであった。
従姉たちだけではなく、グレースを知る人からはもともと恐れられていたグレースだが、この一件で、王も皇太子もグレースには何も言えないことが証明され、これ以降、グレースは「アンタッチャブル」と言われるようになった。
グレースは、王家をもしのぐ王国最強の貴族の当主であり、単騎で国全部を相手にできる軍事力を持ち、指一つで全国各地の官吏を思いのまま動かせる政治力を持つ。そして、世界中にシルバ料理のレストランチェーンを展開する大富豪でもあった。
そんなグレースの次の標的は教会であった。
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