追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する

もぐすけ

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第七章 教会

聖女とは

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グレースは聖女就任の儀式が王都の中央大聖堂で行われると聞き、王都のリッチモンド家にしばらく滞在することにした。

グレースが屋敷にいるため、使用人たちは異様に緊張しているが、グレースは上機嫌だった。

「あら、ビル。いつまで下半身素っ裸でいるつもり? もうズボンを履きなさいな」

ビルはズボンを握りしめながら、号泣していた。

そうだ、マークも出してあげよう。

「ハイ、マーク。もう、牢から出ていいのよ。ほら、泣かないで、以前の職場に戻りなさい」

だが、グレースはセバスチャンには厳しかった。

「セバスチャン、腕、治っちゃったのね。もう一度、折っておくか!」

「ご、ご当主様、何卒、何卒お許しを」

「ふん、次に私に顔を見せたら、折るからね。お下がりっ」

『なあ、セバスチャンだけなぜ許さないんだ?』

「死んだメイドたちね、セバスチャンがリチャードに教えたのよ。妖精がいないメイドは誰だと聞かれて、すぐに教えるなんて、女性への配慮が全く足りないわ!」

セバスチャンは、自分が正しいことをしていると思ってしまっている。このセバスチャンの無神経さがグレースには許せないのだ。まあいい、セバスチャンの処分は今度考えておこう。

ところで、グレースには、聖女についての知識がほとんどなかった。

ローズに聞いてみたところ、ローズの真ん中の姉が、以前聖女のお付きをやっていたということで、屋敷に招待して、色々と話を聞いてみた。

一番知りたい神との会話についてだが、年に数回神託という形でお告げが下るらしい。

「え? 会話は出来ないのですか?」

「神によるみたいです。おしゃべり好きの神とはわりと話せるみたいです。女神の場合は、神託自体が会話調らしいです」

そうか、やはり話せるのか。

「聖女って何をすればいいのですか?」

「それも聖女それぞれです。私の付いた聖女さまは一日中祈ってました」

「一日中ですか!?」

私には絶対に無理だ。

「でも、全く祈らない方もいますよ。結論から言うと、特に聖女だからって、神のために何かしなくてはいけないということはないんです。神託も鼻ほじりながらでも聞けるらしいです」

鼻ほじり……? お姉さま、伯爵令嬢の表現としてどうかしら? でも、とても良く理解できる表現だわ。

「ひょっとして楽勝ですか?」

「ええ、楽勝です。聖女って一番楽して稼げる職業だと思います。給料も地位も教皇と同じなのに、ただ各種式典に出席するだけでいいのです」

なるほど。聖女の給料は各種式典の出席料か。神のためにすることは何もないが、人のためにすることはあるということか。

「各種式典の頻度はどれぐらいですか?」

「月に数回です。王都での開催がほとんどですので、王都にいないと大変ですよ」

そこは我慢するしかないか。

「聖女は神にとっては、人の窓口というだけの存在なんです。実は窓口は誰でもよくて、別におっさんでもいいそうです。でも、教会の広告塔としての役割がありますので、代々見目麗しい乙女が選ばれます」

神からすれば、恐らく人は誰でも同じなのだろう。例えば、私がカエルの窓口を選ぶとしたら、確かにおっさんガエルでも乙女ガエルでも、どっちでもいい。

『グレースの広告塔としての価値は計り知れんぞ。世界で一番有名な美人さんだからな。教会は大儲けだと思うぞ』

(嫌だ、シルバ、美人さんだなんて……)

「あのう……」

急にモジモジして顔を赤くした私を見て、お姉さまが怪訝な顔をし始めたので、質問は終わりにして、丁寧にお礼を言って、お帰り頂いた。

お土産に肉まんを包んだので、帰ってご家族で楽しんで頂ければ良いのだが。

ああ、聖女になる日が待ち遠しい。
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