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第八章 妖精界
賭け
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女神はグレースが転生したときの話を始めた。
『あの子の転生の話をしているのに、あなたのことばかり心配するのよ、あの子は。でね、そんなに心配する価値のある男じゃないって言ったのよ、私は』
俺は妖精王にあっちに行けと手でシッシッをするのだが、こいつは居座ったままだ。よく考えたら、こいつの城なので仕方ないか。
「それで賭けをしたんですか?」
『そうよ。お前たち人間風情がどこまでやれるのかを見せてもらうと思ったのよ』
「ひょっとして俺が三百年修行したのも賭けの一つですか?」
『そうよ。一日でも手を抜いたら、お前の記憶はなくなるようにしておいたのよ』
あっぶねえ。毎日手を抜かずに頑張って来たが、休もうと思ったことは、そういえば、一日もなかったな。俺は本当にグレースに申し訳ないと思って、頑張らないと後悔の念で押し潰されそうだったからな。
「手を抜くなんて考えたことなかったです。一生懸命やらないとグレースに申し訳なくて」
「ジルドが頑張ってたのはそういう理由があったのね」
妖精王が会話に加わって来た。
お前が俺の修行を見ていたのは、最後の十年ぐらいだろう。部外者のくせに普通に会話に入ってくるとは、空気の読めないやつだ。
『まあ、予想外だったわ。第一関門をまさか突破するとはね。第二関門はグレースがお前を好きになるかどうかだったんだけど、話ができないのは流石に反則だから、話が出来る獣にしたのよ。でも、これも見事にクリアしたわね』
モフドラにしたのは、それが理由だったのか。でも、厳密に言うと、猫の俺はダメで、人型の俺が好きみたいだぞ。これは黙っておこうか。
『三つ目は、今世に絶望して、来世に望みを託したりしないことよ。あなたは一貫して大丈夫だったわね。来世があるってことを知っていても、前世を非常に後悔していて、今世で幸せになろうと最後まで足掻いている。百点満点よ。見直したわ』
そう言われると素直に嬉しい。三百年前はボロカスに言われたような気がする。
『グレースは危なかったわね。でも、克服したみたいよ。猫のあなたと一生添い遂げるって、さっき言ってたわよ』
「グレースと話して来たのですか?」
『ええ、さっき呼ばれたのよ。私はこう見えても結構情け深いのよ。でも、心中する奴は嫌いだから、ホロっと来て手を貸さないように記憶を消してたのよ。最後の関門は私の記憶を呼び起こすことよ』
この賭けに乗ってくれるということで、すごく人に親身な女神様だとわかる。でも、記憶が戻るってハードル高いような気がする。
「記憶が戻る条件って何だったんですか」
『彼女とあなたの両方が私を召喚することよ。彼女は聖女の力を使って、私を先ほど召喚したのよ。そして、あなたは妖精王の力を使って、私を召喚した』
え? 俺は妖精王を見た。そうか、権能を使ってくれていたのか。こいつ、気持ちの悪いやつだな。
『約束通り、彼女の望みを叶えてくるわよ。あ、そうそう、私を呼んだのよね。用件は何?」
「彼女の望みを叶える方法があるかどうかを聞きたかったのです」
『ふふふ、あるわよ』
そう言い残して、女神の気配は消えた。
『あの子の転生の話をしているのに、あなたのことばかり心配するのよ、あの子は。でね、そんなに心配する価値のある男じゃないって言ったのよ、私は』
俺は妖精王にあっちに行けと手でシッシッをするのだが、こいつは居座ったままだ。よく考えたら、こいつの城なので仕方ないか。
「それで賭けをしたんですか?」
『そうよ。お前たち人間風情がどこまでやれるのかを見せてもらうと思ったのよ』
「ひょっとして俺が三百年修行したのも賭けの一つですか?」
『そうよ。一日でも手を抜いたら、お前の記憶はなくなるようにしておいたのよ』
あっぶねえ。毎日手を抜かずに頑張って来たが、休もうと思ったことは、そういえば、一日もなかったな。俺は本当にグレースに申し訳ないと思って、頑張らないと後悔の念で押し潰されそうだったからな。
「手を抜くなんて考えたことなかったです。一生懸命やらないとグレースに申し訳なくて」
「ジルドが頑張ってたのはそういう理由があったのね」
妖精王が会話に加わって来た。
お前が俺の修行を見ていたのは、最後の十年ぐらいだろう。部外者のくせに普通に会話に入ってくるとは、空気の読めないやつだ。
『まあ、予想外だったわ。第一関門をまさか突破するとはね。第二関門はグレースがお前を好きになるかどうかだったんだけど、話ができないのは流石に反則だから、話が出来る獣にしたのよ。でも、これも見事にクリアしたわね』
モフドラにしたのは、それが理由だったのか。でも、厳密に言うと、猫の俺はダメで、人型の俺が好きみたいだぞ。これは黙っておこうか。
『三つ目は、今世に絶望して、来世に望みを託したりしないことよ。あなたは一貫して大丈夫だったわね。来世があるってことを知っていても、前世を非常に後悔していて、今世で幸せになろうと最後まで足掻いている。百点満点よ。見直したわ』
そう言われると素直に嬉しい。三百年前はボロカスに言われたような気がする。
『グレースは危なかったわね。でも、克服したみたいよ。猫のあなたと一生添い遂げるって、さっき言ってたわよ』
「グレースと話して来たのですか?」
『ええ、さっき呼ばれたのよ。私はこう見えても結構情け深いのよ。でも、心中する奴は嫌いだから、ホロっと来て手を貸さないように記憶を消してたのよ。最後の関門は私の記憶を呼び起こすことよ』
この賭けに乗ってくれるということで、すごく人に親身な女神様だとわかる。でも、記憶が戻るってハードル高いような気がする。
「記憶が戻る条件って何だったんですか」
『彼女とあなたの両方が私を召喚することよ。彼女は聖女の力を使って、私を先ほど召喚したのよ。そして、あなたは妖精王の力を使って、私を召喚した』
え? 俺は妖精王を見た。そうか、権能を使ってくれていたのか。こいつ、気持ちの悪いやつだな。
『約束通り、彼女の望みを叶えてくるわよ。あ、そうそう、私を呼んだのよね。用件は何?」
「彼女の望みを叶える方法があるかどうかを聞きたかったのです」
『ふふふ、あるわよ』
そう言い残して、女神の気配は消えた。
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