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最終章
結婚式
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グレースとシルバの結婚式は中央大聖堂で大々的に行われた。
聖女の地位はすでにマリアンヌに譲位していた。
参列者は国王夫妻、皇太子夫妻をはじめとする王室の面々、教皇、聖女および枢機卿などの教会関係者、リッチモンド家を含めた国中の貴族と国内の有名な召喚士たち、など総勢2000名が参列した。
真っ白でゴージャスなウェディングドレスに身を包まれたグレースは、とても美しく輝いていた。
一般人も少し遠くから結婚式の様子を見ることができる。誰もがその息を飲むような美しさにため息をつくなか、皮肉な笑いを浮かべる面々がいた。グレースに恨みを持つものたちである。血の粛清で死を免れた王の家臣たち、いいように虐げられてきた使用人たち、そして、懲罰待ちのリッチモンド公爵殺害の教会関与者である。
もともとは彼らが先にグレースに仕掛けたのであり、仕返しされるのは自業自得なのだが、こういう輩はもともと心が貧しいものが多く、当然のようにグレースを逆恨みし、復讐の機会を虎視眈々と狙っていた。
妖精が猫から梟に変わったが、依然グレースは強大な力を持っており、世界中の妖精たちの指揮権もいまだに保持しているようだ。梟は妖精王だとの噂もあり、とてもグレースに手を出せる状況ではなかったが、それも今日までだ。
今日の初夜でグレースはこの若者と契りを交す。妖精は契りを交した瞬間に妖精界に帰る習わしだ。敵対者たちは水面下で結託し、グレースへの襲撃を計画していた。彼らは、グレースを幸せの頂点から不幸のどん底に叩き落してやると意気込んでいた。
教皇とマリアンヌは、そんな彼らとは距離を置いていた。超常的な力さえなければ、グレースは脅威ではなくなるため、あえて排除する必要はない。グレースがリッチモンド公爵であり、レストランチェーンの大富豪であることは、妖精とは無関係だ。軍事力や政治力がなくなれば、むしろ味方にしたい相手なのだ。
そんなマリアンヌにグレースはブーケを手渡して、耳元でささやいた。
「マリアンヌ、あなたのこと許しちゃうわ。あなたと教皇の思惑は知っていたけど、こうしてシルバと結婚できたのは、あなたたちのおかげなの。ありがとう」
グレースはマリアンヌを抱擁した。
マリアンヌは予想外の言葉にひどく狼狽したが、グレースが敵でなくなることは非常にありがたい。
「お姉さま、真の意味での仲直りですね。これからもよろしくお願いします」
教皇も二人の抱擁を見て、グレースとは協調路線で行くことに決めた。
様々な思惑が飛び交うなか、グレースとシルバの結婚式は無事終了した。グレースもシルバも、終始笑顔で、幸せ全開といった感じだった。
***
その夜、リッチモンド邸のグレースの寝室にて、二人は結ばれた。
ベッドの中で紅潮した顔のグレースがシルバに囁いた。
「シルバは何処にいたの?」
シルバが横で私の髪を触りながら答えた。
「孤児院で育てられて、18歳のとき、召喚士に弟子入りしたんだよ。ほら、妖精王を召喚した人だよ。グレースに前世の俺がついているときには近づけなくてさ。居なくなってからも、マリアンヌの妖精が怖くて近づけないと考えて、召喚の儀式なら会えると思ったんだ」
「そうだったのね」
「それにしても妖精王が新たな守護妖精とはな。性格悪かったろう」
なぜシルバは過去形で話すのだろうか。今日で終わりで、もういなくなったと思っているのね。
「桃ちゃんね。ちょっと変だけど、優しいよ。シルバは知っているのでしょう?」
シルバは苦笑いしている。ああ、こういう表情もこれからずっと間近で見られるのね。
「桃ちゃんか、傑作だな。あいつの発生時からよく知ってるが、ひとことで言うと、変態だよな」
「え? そうなの? これからもずっと桃ちゃんとは一緒よ」
「は? 今日までじゃないの!? あの変態とずっと一緒なの!?」
聞いてないよ、というシルバの絶叫がこだました。
そして、このときを待っていた総勢200名の不審者たちが、夜の闇にうごめく。彼らは静かにリッチモンド邸への侵入を開始した。
聖女の地位はすでにマリアンヌに譲位していた。
参列者は国王夫妻、皇太子夫妻をはじめとする王室の面々、教皇、聖女および枢機卿などの教会関係者、リッチモンド家を含めた国中の貴族と国内の有名な召喚士たち、など総勢2000名が参列した。
真っ白でゴージャスなウェディングドレスに身を包まれたグレースは、とても美しく輝いていた。
一般人も少し遠くから結婚式の様子を見ることができる。誰もがその息を飲むような美しさにため息をつくなか、皮肉な笑いを浮かべる面々がいた。グレースに恨みを持つものたちである。血の粛清で死を免れた王の家臣たち、いいように虐げられてきた使用人たち、そして、懲罰待ちのリッチモンド公爵殺害の教会関与者である。
もともとは彼らが先にグレースに仕掛けたのであり、仕返しされるのは自業自得なのだが、こういう輩はもともと心が貧しいものが多く、当然のようにグレースを逆恨みし、復讐の機会を虎視眈々と狙っていた。
妖精が猫から梟に変わったが、依然グレースは強大な力を持っており、世界中の妖精たちの指揮権もいまだに保持しているようだ。梟は妖精王だとの噂もあり、とてもグレースに手を出せる状況ではなかったが、それも今日までだ。
今日の初夜でグレースはこの若者と契りを交す。妖精は契りを交した瞬間に妖精界に帰る習わしだ。敵対者たちは水面下で結託し、グレースへの襲撃を計画していた。彼らは、グレースを幸せの頂点から不幸のどん底に叩き落してやると意気込んでいた。
教皇とマリアンヌは、そんな彼らとは距離を置いていた。超常的な力さえなければ、グレースは脅威ではなくなるため、あえて排除する必要はない。グレースがリッチモンド公爵であり、レストランチェーンの大富豪であることは、妖精とは無関係だ。軍事力や政治力がなくなれば、むしろ味方にしたい相手なのだ。
そんなマリアンヌにグレースはブーケを手渡して、耳元でささやいた。
「マリアンヌ、あなたのこと許しちゃうわ。あなたと教皇の思惑は知っていたけど、こうしてシルバと結婚できたのは、あなたたちのおかげなの。ありがとう」
グレースはマリアンヌを抱擁した。
マリアンヌは予想外の言葉にひどく狼狽したが、グレースが敵でなくなることは非常にありがたい。
「お姉さま、真の意味での仲直りですね。これからもよろしくお願いします」
教皇も二人の抱擁を見て、グレースとは協調路線で行くことに決めた。
様々な思惑が飛び交うなか、グレースとシルバの結婚式は無事終了した。グレースもシルバも、終始笑顔で、幸せ全開といった感じだった。
***
その夜、リッチモンド邸のグレースの寝室にて、二人は結ばれた。
ベッドの中で紅潮した顔のグレースがシルバに囁いた。
「シルバは何処にいたの?」
シルバが横で私の髪を触りながら答えた。
「孤児院で育てられて、18歳のとき、召喚士に弟子入りしたんだよ。ほら、妖精王を召喚した人だよ。グレースに前世の俺がついているときには近づけなくてさ。居なくなってからも、マリアンヌの妖精が怖くて近づけないと考えて、召喚の儀式なら会えると思ったんだ」
「そうだったのね」
「それにしても妖精王が新たな守護妖精とはな。性格悪かったろう」
なぜシルバは過去形で話すのだろうか。今日で終わりで、もういなくなったと思っているのね。
「桃ちゃんね。ちょっと変だけど、優しいよ。シルバは知っているのでしょう?」
シルバは苦笑いしている。ああ、こういう表情もこれからずっと間近で見られるのね。
「桃ちゃんか、傑作だな。あいつの発生時からよく知ってるが、ひとことで言うと、変態だよな」
「え? そうなの? これからもずっと桃ちゃんとは一緒よ」
「は? 今日までじゃないの!? あの変態とずっと一緒なの!?」
聞いてないよ、というシルバの絶叫がこだました。
そして、このときを待っていた総勢200名の不審者たちが、夜の闇にうごめく。彼らは静かにリッチモンド邸への侵入を開始した。
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