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貴族のミゲルと奴隷のヒサコ
私にはもうよすがはないのですね
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どうして……?体が、私の意思とは違いミゲルさまに下着を見せるために動いていきます……!
どれだけ体に力を入れても少しも自分の思うように動かせる所がないなんて…っこれが奴隷?これが≪命令≫、なの……?
ミゲルさまは心の奥底まで悪い方ではないと思っていたのに……そうではないと信じていたのに……っ
産まれてから売られるまで私は神殿の奥で育てられて世間とは隔絶されていました。何が良いことなのか。何が悪いことなのかくらいは教えられたとは思います。
しかしそれは狭い世界でしか通用しないものだったのでしょう。昨日までは巫女さまと崇められていたのに翌日にはそこに私の居場所は無くなっていたのです。
目が覚めたらよく知る神官は一人もおらず、ずかずかと神殿に入りこんだ見たこともないような方によって数名の侍女たちと一緒に遠いこの国へと売られてしまいました。
侍女たちは恨めしい恨めしいと涙を流してばかりいましたが私は私に許された神殿の限られた部屋以外の世界を見ることができたことがとても嬉しかった。
彼方まで延々と続く草原も、草に金色の縁をほどこして沈んでいく太陽も、見たことがない不思議な建物も動物も人も匂いも味も。全てが未知に溢れそれに触れてみたかったのです。
奴隷になろうともそれらには触れる機会があると思ったから悲しいだなんて思わなかったのに。
ミゲルさまがわからない。あんなに私を笑わせたり、喜ばせたり、世話を焼いたり………花を、くれたのに………どうして……………?
私にこんなことをさせて何か楽しいのですか?ミゲルさまはこんなことをさせるために私を買ったのですか……?
ひどい………ひどいですミゲルさま……………
涙が、止まりません………助けて………
……………………。でも、誰に助けを求めればいいのでしょうか………?
神が私を助けて下さらないのは売られたことでわかりました。新しく主人になったミゲルさまはこうしていやらしいことをさせてくる方ですので本人に助けを求めるわけにもいきません……
他に……他に誰か……………………いないのですね。私にはもうよすがはないのですね。何をされようとただ一人で耐えしのぐことしか、できないのですね………。
泣き方が、変わった。
先ほどまでは恥辱や屈辱、そんなものが前面に出ていたのに今は全て諦めたような、殻に籠ってしまったような泣き方だ。……これではつまらない。
「ヒサコ……もういいぞ。手を下せ」
ヒサコはパジャマの裾から手を離しそのまま顔を覆ってすすり泣いた。
これじゃまるで俺がいじめたみたいじゃないか。下着を見せることを拒否された時にそこで立ち止まればよかったのか?≪命令≫を、使わなければよかったのか?
「ヒサコ………」
ヒサコはずっと泣いている。俺はベットに座っていてヒサコは立っているから昼間とは違い俺が見上げるようになっている。だから両手で隠された目から未だ涙が流れ続けて肘まで道を作っているのがよく見える。
絨毯にまでぽたりぽたりとしたたる涙に体中の水が出てしまうのではないかと心配になってしまう。こんなに涙を流しても大丈夫、なのか?
思わず小さな体を引き寄せようと肩に手をかけると右手で弾かれた。
まさかヒサコがそんなことをするとは思わず一瞬弾かれたままにしてしまったが気を取り直し今度は更なる速度でヒサコを引き寄せ抱きしめた。
う~とか言いながら俺を叩いたり押したりしていたがそのままにさせて抱きしめ続ける。
細い、細い体だった。
どれだけ体に力を入れても少しも自分の思うように動かせる所がないなんて…っこれが奴隷?これが≪命令≫、なの……?
ミゲルさまは心の奥底まで悪い方ではないと思っていたのに……そうではないと信じていたのに……っ
産まれてから売られるまで私は神殿の奥で育てられて世間とは隔絶されていました。何が良いことなのか。何が悪いことなのかくらいは教えられたとは思います。
しかしそれは狭い世界でしか通用しないものだったのでしょう。昨日までは巫女さまと崇められていたのに翌日にはそこに私の居場所は無くなっていたのです。
目が覚めたらよく知る神官は一人もおらず、ずかずかと神殿に入りこんだ見たこともないような方によって数名の侍女たちと一緒に遠いこの国へと売られてしまいました。
侍女たちは恨めしい恨めしいと涙を流してばかりいましたが私は私に許された神殿の限られた部屋以外の世界を見ることができたことがとても嬉しかった。
彼方まで延々と続く草原も、草に金色の縁をほどこして沈んでいく太陽も、見たことがない不思議な建物も動物も人も匂いも味も。全てが未知に溢れそれに触れてみたかったのです。
奴隷になろうともそれらには触れる機会があると思ったから悲しいだなんて思わなかったのに。
ミゲルさまがわからない。あんなに私を笑わせたり、喜ばせたり、世話を焼いたり………花を、くれたのに………どうして……………?
私にこんなことをさせて何か楽しいのですか?ミゲルさまはこんなことをさせるために私を買ったのですか……?
ひどい………ひどいですミゲルさま……………
涙が、止まりません………助けて………
……………………。でも、誰に助けを求めればいいのでしょうか………?
神が私を助けて下さらないのは売られたことでわかりました。新しく主人になったミゲルさまはこうしていやらしいことをさせてくる方ですので本人に助けを求めるわけにもいきません……
他に……他に誰か……………………いないのですね。私にはもうよすがはないのですね。何をされようとただ一人で耐えしのぐことしか、できないのですね………。
泣き方が、変わった。
先ほどまでは恥辱や屈辱、そんなものが前面に出ていたのに今は全て諦めたような、殻に籠ってしまったような泣き方だ。……これではつまらない。
「ヒサコ……もういいぞ。手を下せ」
ヒサコはパジャマの裾から手を離しそのまま顔を覆ってすすり泣いた。
これじゃまるで俺がいじめたみたいじゃないか。下着を見せることを拒否された時にそこで立ち止まればよかったのか?≪命令≫を、使わなければよかったのか?
「ヒサコ………」
ヒサコはずっと泣いている。俺はベットに座っていてヒサコは立っているから昼間とは違い俺が見上げるようになっている。だから両手で隠された目から未だ涙が流れ続けて肘まで道を作っているのがよく見える。
絨毯にまでぽたりぽたりとしたたる涙に体中の水が出てしまうのではないかと心配になってしまう。こんなに涙を流しても大丈夫、なのか?
思わず小さな体を引き寄せようと肩に手をかけると右手で弾かれた。
まさかヒサコがそんなことをするとは思わず一瞬弾かれたままにしてしまったが気を取り直し今度は更なる速度でヒサコを引き寄せ抱きしめた。
う~とか言いながら俺を叩いたり押したりしていたがそのままにさせて抱きしめ続ける。
細い、細い体だった。
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