奴隷の少女を最終的に妻に迎えたいので買ってきた

たかはし

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魔術師のジュルブと奴隷のティルム

「僕は研究がしたいんだ」

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「悩んでるねぇ。ああ、そうだ。ついでに君を買った理由も言っておこうか」

うーんって手を顎につけて考え込んでるティルムは見た目も相まって子供にしか見えない。
なかなか可愛らしいものだ。まあ僕の研究にかわいさは必要ないけど。

「僕が魔術師というのは見た目でわかると思うけどそれだけじゃなくてね。他にも剣士や医術師、モンク。あとはそうだな召喚師なんかもしたことがある。どれもスキルが目当てで転職してみたけどなかなか楽しかったよ。でもそれもこれも全部研究のためだ」

剣士の技は己の強化と武器を使っての攻撃力アップ、医術師はそのまま癒す力を。モンクはレベル15になると覚える範囲攻撃で召喚師はそのまま契約したものを呼び出す力を欲してだ。
そのどれもが研究に必要な素材を集めるために必要なスキルであって、モンスターを倒そうなどということは小指の先ほども無い。



「そう、研究。僕は研究がしたいんだ。君達トレント族には不思議な力があるという……たとえばある病を治す薬になるだとか、別種族と過ごすと幸福をもたらすとか、恋をすると花を咲かせるとか、死んだら大木になるとか。………そういった話にはきりがない」

「だというのにそれらの真贋は放置されたまま、その噂だけが大陸を駆け巡ったことで君達は乱獲され今では純粋なトレント族は1000にも満たないと言われている。まあハイブリッド種の方はその10倍はいるようだけどそちらも研究はされていないんだよねぇ」

ハイブリット種に至っては掛け合わされた種が多すぎる上に親とは違う種を掛け合わせているから種が固定されず選択肢が無尽蔵に増えすぎている。
まったく。初めてのハイブリッド種を研究する者がいなかったのは本当に愚かしいことだよ。
過去の文献を探しトレント族やハイブリッド種のことについて語られているものを1つだって見つけられなかった時にも盛大にため息をついたものだ。
そしてまたこうして思いだすだけでも同じように、いや更に大きなため息をついてしまう。
ティリスはそれに少しおびえてしまっているようだ。



「全く、大変な損失だよ。ここ2、30年くらいは王政がうまくいって平和だというのにねぇ?…………。いや、平和だからこそこの分野は研究されないのか?まあいい。そんな宝の山をそのままにしておくなんてもったいないことは無いから、僕がくまなく研究をして君達の真の姿を………皆に見せてあげようね」

僕は真剣なまなざしで……いや、友が言うには僕が言う真剣なまなざしは濁った瞳で狂気じみている上に口が笑っているから更に恐ろしそうに見えるとか言っていたがそれがまじめに世のため人のために研究をしている人に対する言葉だろうか。いやそんなはずがない!!!僕は断固反対するぞ!!!

ん。脱線したが僕は真剣なまなざしでティルムの手を取りキスをし、そして研究を始めることにした。




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