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ヒロイン(?)からのエイプリルフール【後】
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その言葉にヴィクトリアは飛び上がるように驚いた。
今日のお菓子であるイチゴのムース。その上には薄いピンクの生クリームがふんわりと乗っていて、その上には半分チョコのかかったイチゴが乗っている。
ヴィクトリアはそれに手を出し、失敗したのだった。口の端にクリームが付いているだなんて、貴族の令嬢としては叱責ものだ。
まだ成人していない学生同士であろうと、失敗は失敗として広まってしまう。些細なことが後々足を引っ張るだなんてことは日常茶飯事で、ヴィクトリアは常々それには気を付けていたのに…。こんなことで失敗してしまうだなんて…と、彼女はおろおろしてしまった。
そんな彼女を見つめていたアビゲイルが立ち上がる。そしてヴィクトリアの隣までやってくると、少しかがみ少女の透き通る肌に付着したクリームをすい、と指でぬぐい取り、そしてそれを自分の口に入れてしまったのだった。
「え、は…?ええぇ…?!」
もちろんそんなことをされて、ヴィクトリアが反応しないわけがない。
『アーサーさまにだって、そんなことはされたことが無かったのにっ!いや、そんな隙を見せたことも無いから、当たり前だけど…!』などと顔を真っ赤にしながら、ブツブツとつぶやくヴィクトリア。
「ふふ。顔を真っ赤にして…ヴィクトリアさんってばかわいい♡また顔にクリームが付いちゃったら、私が食べてあげますね?」
先ほどヴィクトリアの顔についていたクリームをぬぐい取った指に、キスをしながらそんなことを言うアビゲイル。女性としては背の高い彼女のそのしぐさば、どこか色気が漂うものだった。
それを間近で見たヴィクトリアは『あ』とか『う』とか、意味のない言葉しか口にすることができなかった。もう彼女は、耳まで真っ赤になってしまっている。アビゲイルにはそれが面白くてたまらないのだろう。
くすくすと笑うと『冗談ですよ』と言って、自分の席に戻った。そして行儀が悪いのだがテーブルに両肘をついてその上に顔を乗せると、とろりとした心からの笑みを浮かべてこう言った。
「ヴィクトリアさんが可愛いからって、襲ったりなんてしませんよ?私達、お友達じゃないですか。……さて、ここまでが出題です。どこが嘘かわかりましたか?」
様々なことがこの短時間の内に起こり、混乱していたヴィクトリアにはアビゲイルの言葉のどこに嘘があるのか、3回の質問を使ってもわからなかった。
降参するから答えを教えて?と言ってもアビゲイルははぐらかすだけで、ヴィクトリアに答えは教えなかった。そして二人はじゃれ合うように中庭から姿を消し、残されたカップやお菓子、それから椅子や机などはメイド達が片付けていった。
彼女達がここにいたのが嘘のように、中庭は普段の様子に戻る。甘い香りもすぐに風がさらっていくだろう。
さて、二人のやり取りをのぞき見していたあなたには、アビゲイルの嘘が見破れただろうか?
今日のお菓子であるイチゴのムース。その上には薄いピンクの生クリームがふんわりと乗っていて、その上には半分チョコのかかったイチゴが乗っている。
ヴィクトリアはそれに手を出し、失敗したのだった。口の端にクリームが付いているだなんて、貴族の令嬢としては叱責ものだ。
まだ成人していない学生同士であろうと、失敗は失敗として広まってしまう。些細なことが後々足を引っ張るだなんてことは日常茶飯事で、ヴィクトリアは常々それには気を付けていたのに…。こんなことで失敗してしまうだなんて…と、彼女はおろおろしてしまった。
そんな彼女を見つめていたアビゲイルが立ち上がる。そしてヴィクトリアの隣までやってくると、少しかがみ少女の透き通る肌に付着したクリームをすい、と指でぬぐい取り、そしてそれを自分の口に入れてしまったのだった。
「え、は…?ええぇ…?!」
もちろんそんなことをされて、ヴィクトリアが反応しないわけがない。
『アーサーさまにだって、そんなことはされたことが無かったのにっ!いや、そんな隙を見せたことも無いから、当たり前だけど…!』などと顔を真っ赤にしながら、ブツブツとつぶやくヴィクトリア。
「ふふ。顔を真っ赤にして…ヴィクトリアさんってばかわいい♡また顔にクリームが付いちゃったら、私が食べてあげますね?」
先ほどヴィクトリアの顔についていたクリームをぬぐい取った指に、キスをしながらそんなことを言うアビゲイル。女性としては背の高い彼女のそのしぐさば、どこか色気が漂うものだった。
それを間近で見たヴィクトリアは『あ』とか『う』とか、意味のない言葉しか口にすることができなかった。もう彼女は、耳まで真っ赤になってしまっている。アビゲイルにはそれが面白くてたまらないのだろう。
くすくすと笑うと『冗談ですよ』と言って、自分の席に戻った。そして行儀が悪いのだがテーブルに両肘をついてその上に顔を乗せると、とろりとした心からの笑みを浮かべてこう言った。
「ヴィクトリアさんが可愛いからって、襲ったりなんてしませんよ?私達、お友達じゃないですか。……さて、ここまでが出題です。どこが嘘かわかりましたか?」
様々なことがこの短時間の内に起こり、混乱していたヴィクトリアにはアビゲイルの言葉のどこに嘘があるのか、3回の質問を使ってもわからなかった。
降参するから答えを教えて?と言ってもアビゲイルははぐらかすだけで、ヴィクトリアに答えは教えなかった。そして二人はじゃれ合うように中庭から姿を消し、残されたカップやお菓子、それから椅子や机などはメイド達が片付けていった。
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