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12.共和国・人探し

二百四十四話 拘束と回収

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244話 情報入手の尋問

巻いて縛ると直ぐに後ろに振り向き杖を持っている手を掴み床に倒す、そのローブ
を捲り上げて2人に確認する、赤みを帯びた茶色い髪と青い目・・・2人には似てない
「違うそいつではないな」
やはりか、となるともう1人の拘束した方か?もうここにはいない可能性もあるが
腹部を殴り飛ばし壁にぶつける、うまく意識を飛ばせたようだ・・・しかし盾持ちが
起き上がって来た、良く見れば他の者達と違い全身に軽量の鎧を着けている
それにまだ魔法の効果は残っているようだ、この中でのリーダー格なんだろうか?
にしては指示も出さないし、既に逃げ腰になっている・・・恐らく下っ端、さっきの
剣持ちの方が上だろうな、こいつは魔法使いを護るためのただの盾役って所か
「1人だけいい装備をしているな、お前がリーダーか?」
「そっそうだ、それがなんだ!」
やはり違うな、声が震えているし落ち着きも無い、何より周りが見えていない
「後ろだ」
「えっ!?」
敵の言葉に従ってあっさりと後ろを向き背を向ける、兵士としての能力も無いな
その後ろから頭を掴んで軽く持ち上げて床へと叩き付ける、戦いの経験が無いのか
簡単に無力化する事が出来た、そして隣では拘束したのが身を捩って抜け出そうと
しているが、急いでやったためか適当に全身を縛るように巻き付けたが、上手く
いったのか簡単には抜けれなくなっている、最悪力づくで抜けられるかもと思って
いたがそこまで力は無かったようだ、近づいてローブを捲る・・・現れたのは金髪で
赤い右目と紫の左目、顔立ちで判別出来ないがこっちの方が髪色が近い
「そうだ!その子だ、本当よく生きていてくれた・・・」
「その子さえ回収出来れば他のは1人だけでいい」
なら魔法使いを持っていこう、まだ無詠唱で発動は出来ないようだからこの中で
1番戦闘力と危険性が低い、2人の持っていた短剣と杖を回収し気絶している赤髪を
近くにあった少しボロめのロープで縛って担ぐ、取り敢えず此処を離れないとな
「なんなのアンタは!人攫い!?その手を離しなさい!」
「随分強気だな・・・いや、そう言うしかないだけか?まぁいい目的はお前だ」
「私・・・?」
「そうだ、他は敵対したから無力化しただけにすぎん、死んではいないだろう?」
まぁ2人は死に掛けてはいるかもしれないが、とは言え別に生きている必要もない
だろうし死んでいても少し騒ぎにはなってしまうとしても誰も困る事はないだろう
それに共和国側としては暗躍している怪しい集団が居なくなった事で助かるのかも
しれない位しかないと思うし・・・そこは私に関係ないだろうからどうでもいい事だ
2人分を担いで階段を登れば風と飛ばされている砂の勢いが増している、中央通り
の方が何やら騒がしくなっていて様子をうかがっていると、兵士や住人達が家の壁
や屋根と防衛用の城壁に積もる砂の対処や修復をしており気付かれていないようだ
入り込んでくる砂の対処で魔法使いが壁を造ったり兵士達もあちこちに分散し作業
しているようだから、今回の事は少しの間気付かれないだろう・・・それにしても外
では街中に吹く風より強めの風が壁を叩きつけているし幾らか魔道具の防壁は機能
しているんだろう、だがその機能はあの様子からしてまだまだ時間が掛かりそうで
そして困った事がこの天候の悪化だ、遠くには砂嵐が見えるしこの状態であの砂漠
を行くのは少し厳しい・・・自分1人だけなら最悪転移を乱発してどうにか出来るが
2人を背負って、しかも1人は安全に連れて行かないといけない訳だから安全を考慮
すれば最低限嵐が静まるまでは移動できないしこの町から出れない、ふーむ・・・
あちこちから怒号が聞こえてくる、このままだと治安も低下していくか?聞こえて
来る話からするとあの砂嵐は珍しいようだ、それが防壁の停止と重なったと・・・
ただ運が悪かったのか、それとも意図的な物なのか?砂嵐と言えども魔法や魔道具
で再現できてしまうとなると・・・作為的な物を感じずにはいられない、とは言っても
そんな事をする意味や理由が分からないし、違うのではないかと言う結論が出る
法国や教国の残党が何かをしでかしたのかとも、ふと思いついたがそれは無いか
残党がここまでやるとしてもそれだけの意味と意思が無いだろうし、それまでに
費やした労力とこの結果で得られる物が釣り合うとは思えない、もしくは最近話が
出てきたとか言う邪教団の可能性もあるか?何にせよ関わらないなら気にしても
仕方がない事か、取り敢えず今日はもう日が暮れているし明日までは待つとするか
・・・と決めたはいいもののどこで過ごすかが問題だ、奴らの拠点を1日だけ使うか?
流石にこの2人を担いで宿に泊まるのは・・・無理だろうな、幾らどこも混乱の中に
あると言え直ぐに誘拐と思われるか、そうでなくても怪しまれるに決まっている
2人の妹の方は別に拘束を解いて着いて来てもらってもいいんだが・・・兄弟や帝国の
重要人物やらから保護や奪還を依頼された・・・と言っても信用される訳も無いし
そう言った依頼書も無い、あった所で幾らでも偽造が出来る物なら信用はされない
困った事に信用してもらうだけのモノが無く、結局拘束して運ぶ位しか出来ない
「ふーむ、色々行動が縛られてしまったな」
隣に居る兄弟2人の姿は全く見えていないようだし、2人を見せたり2人に説明して
貰う事も出来ない・・・多分城に行くどころか帝国の都市まで近づけたら2人の姿は
見えるようになると思うんだが・・・どうせそれまではこのまま行くしかないか
「何だったら剣と王冠を見せれば・・・いや剣は俺の影響で変異してしまったから
見せるなら王冠だけだな」
「ただあの子は見た事があったか?私達の知る限りでは無かったと思うが・・・」
「いや父上に会った時に見たはず・・・ん?いや父上が王だとすら知らない?」
「恐らく貴族の子としか教わってないだろうからな・・・まぁ小さい頃と言えど薄々
気付いてはいるかもしれん」
「一応見せてみるか?」
「見せるだけ見せていいと思うぞ、覚えていれば反応があるだろう」
「それよりまず名前の確認からいこう、今は別の名を使っているだろうからな・・・
後別に我らの許可なんぞ要らんぞ?既に主の物故な」
それもそうか・・・まぁ自分を捕まえに来た怪しい人物、それも敵対している相手へ
正直に本名など名乗ってくれるとは思えないが、呼び方位は知っておきたい
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