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13.皇族の帰還・再動

二百六十一話 皇女の帰還

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261話 帝国への帰還

そうして担いだ彼女に気をつけながら走り続ければ、昼ごろには目の前に帝国が
見える場所まで来れた・・・思っていたより早く着いたな、着くのは夜になってから
だと思っていたんだが、丁度人気が無かったため道に近付きながら彼女を降ろす
「うっ・・・ちょっと気持ちわぅる・・・」
後半はしぼんでいき聞こえにくかったが気分を悪くしたようで座り込んだ・・・
「なんで・・・急いだの?別に必要・・・なかったでしょう」
「夜に聞こえたあの声・・・あんまり良くない気がしてな」
「あぁあれ、多分・・・夜鳴鳥だと思うけど」
「夜鳴鳥?」
「仲間が死ぬと名前通り大声で夜に鳴くの」
「じゃあ危険性は特にないのか?」
「さぁ?それ以外情報は特にないから、もしかしたら危険度が高いかもしれない
けど好戦情報が無いのよね・・・別に戦う必要がないから仕方ないんだけど」
「まぁそうだな、殺す意味も無いのに態々殺しに行く事は無い、素材回収なり情報
収集の依頼はあるかもしれんが・・・」
「特に無いんじゃない?特別な見た目って訳でも無くただ鮮やかな翼を持つ黒い鳥
ってだけらしいし、依頼の対象になる事はまず無いでしょうね」
特別な素材を持つ訳でもないなら確かに誰も見向きもしないたまに煩いだけの鳥か
それとも戦うとなると、見返りが危険度に見合わない程に強力で厄介な魔物だから
戦う事が既に損でしかないのか・・・あの叫びから僅かではあったが死の気配に近い
ものを感じたがあれは気のせいでは無かったのか?感覚でしかないが呪属性の即死
の気配が一番近い・・・か?こっちに影響は無いし近づかなければ害も無いだろう
「ふぅ、落ち着いて来たし道なりに行きましょうか」
「あぁここまで来たからもうそっちのペースでいい」
外からも見たいだろうからペースは落ちるだろうが、都市の近くには危険な魔物は
居ないし別に気にする事も無い・・・入口の門までそう距離も無いしな
「・・・そうか、こんな外観をしていたのか」
外壁を眺めその上から覗く城の上部分を見ながら緩やかな坂を降りて行く、近付く
につれて見えるのは城の一番上の屋根部分しか無くなる、そこからは移動速度が上
がって門に近付き数十人と並んでいる列に並ぶ、荷台に魔物の素材を乗せて運んで
いるようで入るのに少し時間が掛かっているようだ、まぁそれは仕方ないし今は
急いでいる訳でも無いから問題は無い、まぁ便利な空間魔法の掛かっている道具が
無い場合素材を回収しようとするならこうなるよな・・・下位や新人は基本的に素材
を回収しないと依頼以外での収入が基本になるから金欠になるとか・・・だからこれ
が普通なんだろうが確かに不便だな、運べる量も多くなく運ぶのに労力も掛かるし
移動速度も落ちる中周囲の魔物に警戒し守らなければならない・・・ある意味では
討伐だけでも喰って行けるようになる中堅からの方が安定するからマシなんだとか
その分基本的な危険度も回収難易度も上がるし偶発的な危険も増えるからマシとは
言い切れない訳だ、そして荷台の確認はさっと確認するだけで直ぐに終っているが
あれは生きている魔物を運んでいるかどうかの確認でしかないのだろう、空間魔法
で拡張しただけの入れ物には基本的に生きている存在を入れる事は出来ないらしい
から確認するのは表に出ている荷台とかだけでいいんだろう、生物も入れる事が出
来る空間魔法が相手ならそもそも対処しようが無いからな・・・検査もこうなるか
「お腹空いたわ・・・そろそろお昼かしら」
空を見上げると陽も丁度真上辺りにある、もうそんな時間だったか・・・夜か朝か位
しか時間は気にしないからそこら辺の時間間隔はずっとあやふやなままだ
「そうだな、先ずは何か腹に入れた方がいいかもしれない、流石に直ぐ城に行って
も食事は出て来ないだろうからな」
「それはそう、とは言えどうやって城に入るの?侵入だって楽じゃないでしょ」
「いやいや、普通に入るに決まっているだろう?皇女の帰還なんだし」
「そうは言っても、はいどうぞ・・・ってすんなり入れてくれる訳ないでしょうよ
そもそも誰も私が皇女だなんて判んないんじゃない?もう10年以上経ってるんだ
から顔を見ても判んないでしょ」
「それはどうだろうな、そう言った事は私にも判る事では無いが・・・私だけでなく
君にもやらねばならない事があるようなのでな」
「やらなきゃいけない事~?」
「君は皇位を継がねばならんだろう?」
「は?こんな長く離れてた私が継げるの?貴族としての教育は幾らか昔に受けは
したけど・・・皇族としての事は何も教わってないってのに」
「大丈夫じゃないか?と言うか他の人達が望んでいるから気にしなくて良い」
「そうなの?別にもう皇族が無くなっても大丈夫そうだけど・・・」
「そう言う訳にもいかないらしい、皇族は随分重要な存在のようでな」
「何でそんな事を知ってるの?皇族と関わりがある・・・にしては随分フランクと
いうか敬意を感じないのよね」
「君の2人の兄と関わりがあってな、色々聞いたんだ」
「そうなの?貴方どう見ても貴族には見えないし個人的な友人にしても、年齢的に
なさそうなんだけど・・・」
「まぁそうだな、貴族じゃないしそもそも帝国の人間でもないから関係なんて当然
ある訳が無い・・・んだが色々あって関わりを持つことになったんだ」
「色々ねぇ、言えない事なの?」
「それは彼ら次第だな、私はただの橋渡し役でしかないから全て聞いている訳でも
無いし、勝手に話す訳にもいかないんだ」
「そっか、でも2人共・・・っていうか皇族私以外10年前にもう死んじゃってるんで
しょ?皇族の役目も情報もどうしろってのよ」
「それは城に着いてからじゃないか?私が受けた依頼は君の救助だけだからな」
「でも今更貴族たちが必要とするかしら?もう問題なく政務は回ってるじゃない」
「その辺に関しては知らん、関わった事が無いからな」
「そこら辺も自分で確認しろって事ね・・・判ったわよ、はぁ・・・」
一通り話し終えた所で自分たちの番になった、冒険者プレートを揃って見せれば
問題なく通る事が出来る、と言うか入国の事を気にしてはいなかったが冒険者登録
をしていたのか、邪魔にならないように人の多い大通りに出てから聞いてみる
「冒険者になっていたのか?」
「そりゃ色々便利で楽だからね」
「法国や教国でも冒険者になれるのか?」
「私は王国で登録したの、あの国の連中で登録してる奴は少ないわよ、って言うか
色々問題が出来ないのよね・・・主に人格や性格の問題で」
「あぁ成程な、それもそうか」
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